クソあほ項羽と劉邦こばなし

100少々(社会復帰中) @suikoden109

樊噲「近くでよく見せてくれ！」 盧綰「曇り一つない！」 夏侯嬰「これほど見事なほくろ見たことねえ！」 男「量より質！」 樊「!?」 男「俺は自身のほくろを一点に凝縮する奥義を会得したのだ」 盧「なんてこった…」 夏「劉兄いに勝ち目なんてねえじゃねえか」 劉邦「なんだと！」 男「見せてみろ」

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劉「おら！」 男「…醜い」 劉「!?」 樊「全くだ」 盧「数ばっか多くても雑魚ばっかじゃ話にならねえし」 夏「俺たちも量より質の男を兄貴分に乗り換えよう」 男「歓迎する」 劉「おい！」 樊「俺が屠殺屋で稼げてるのも、量じゃなく質で勝負してるからだぜ」 劉「…待ちな。質の男よ」 男「むっ！」

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劉「俺はまだ発展途上なのよ」 男「なに？」 盧「中年の穀潰しが言ったところで」 劉「黙れ！」 夏「何が言いたい？」 劉「樊噲！てめえが質で勝負できるようになるため、まず何をした？」 樊「獣や家畜をとにかく捌いた」 劉「量があってこその質じゃねえのか！」 樊「!?」 男「…不覚」 劉「失せろ」

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劉邦…ノリと勢いだけでその場を乗り切った。 樊噲…量も質も両方大事ではないかと寝る時に気づいた。 盧綰…兄いよりマシな男だったら別に乗り換えても良かったんじゃねえか？ 夏侯嬰…兄いはてめえの命のためならガキを放り投げそうな奴だからな！ 男…ほくろの質を磨いて来たが、詭弁の前に散る。

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蕭何…劉邦が勝ったとの報に驚いた。 曹参…土壇場に強いのかもしれんぞ、あいつは。

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夏侯嬰「大変だ！蕭何さん！」 蕭何「何事です？」 夏「劉兄いが大変なんだ！」 蕭「いつものことじゃないですか」 曹参「何があったんだ？」 夏「ほくろが制御できねえほど増殖しちまったんだ！」 蕭「今すぐ見に行きましょう！曹参！」 曹(こいつ…) 夏「あそこだ！」 蕭「うわ！」 曹「なんだ!?」

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劉邦「…」 樊噲「助けにきてくれたのか、二人とも！」 蕭「見に来ただけです」 盧綰(そういう人だった) 曹「七十二じゃ済まないな」 周勃「みるみる増えていくのだ」 曹「なぜ…」 蕭「気持ち悪いなあ」 樊「また増えた！」 蕭「…？」 曹「どうした」 蕭「もともとほくろがあった所を見てください」

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樊「？」 蕭「ほくろが無くなっています」 盧「なんだって！」 蕭「もしや人体の細胞と劉邦のほくろが入れ替わろうとしているのでは」 夏「細胞の数は？」 蕭「六十兆です」 樊「想像もつかん…」 蕭「劉邦がほくろに乗っ取られますよ！」 曹「それで誰が困る？」 樊「別に」 盧「そうだな」 劉「…」

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樊噲…いつも通り肉屋に卸に行った。 盧綰…いつも通り畑仕事。 夏侯嬰…いつも通り御者。 周勃…いつも通り簀織。 蕭何…いつも通り仕事。 曹参…いつも通りダラダラ仕事。 劉邦…ほくろ以外の身体が硬質化してきた。

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夏侯嬰「蕭何さん！」 蕭何「…繁忙期なんですが」 夏「劉兄いがさなぎになっちまった！」 蕭「すぐ見に行きましょう！」 曹参「じゃあ、そういうことで」 県令「貴様ら！」 樊噲「えらい事になった」 蕭「そこまでして働きたくないのか、こいつは…」 盧綰「一理ある」 周勃「大鍋で煮てみないか？」

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夏「何言ってんだ！」 周「繭から絹ができるように、良い簀の材料になるかもしれん」 樊「お前兄いの素材を使った簀を使いたいか？」 蕭「死刑囚を座らせるのに使うのがお似合いだな」 盧「本当に発想がえげつねえよな、あんた」 蕭「失礼な」 曹「ん？」 劉「…」 樊「今動かなかったか？」 劉「！」

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蕭「変態だ！」 盧「おお！これが変態か！」 夏「変態！」 樊「変態兄い！」 周「笛なら任せろ！」 劉「！！」 周「♪〜」 蕭・曹・樊・盧・夏「変態！変態！変態！変態！」 劉「！！！」 曹「脱皮するぞ！」 蕭「完全変態だ！」 劉「…てめえら」 樊「変わりねえじゃねえか」 盧「がっかりさせんな」

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劉邦…肌のターンオーバーが大胆な年だったという。 樊噲…どうすんだよこの蛹のゴミ… 盧綰…ちゃんと片付けろよ！ 夏侯嬰…両方の意味で変態だもんな。 周勃…蛹の素材が悍ましくて触りたくなかった。 蕭何…やっぱり茶番か。 曹参…帰ろうぜ。 県令…ツートップの仕事を肩代わりさせられ疲労困憊。

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子「鬼は〜外！」 子「福は〜内！」 蕭何「おや？子どもたちは何をしているんです？」 樊噲「村の年中行事さ！」 盧綰「家内安全を願って村の名産の黒豆を撒くんだ」 蕭「劉邦から抽出したほくろを撒いてるのかと」 子「えっ…」 子「嘘」 樊「ふざけんな蕭何！」 盧「あの外道役人を外に追い払え！」

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子「役人は外！」 子「長城からも外！」 蕭「何をする！」 曹参「劉邦は？」 夏侯嬰「どうせ穀潰しだから…」 婆「お通しの黒豆だよ」 劉邦「あいよ」 蕭「劉邦！あんたまさかほくろ食べて七十ニまで増やしたんじゃないんでしょうな！」 劉「…」 樊「蕭何！」 盧「この店一番の名物だというのに…」

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蕭「…なんだ。黒豆か」 夏「俺らが大好きな黒豆の煮物だったんだがよ」 蕭「ああ。だからほくろまみれの下品な中年と仲がいいんですね」 婆「…」 樊「婆さん！泣くんじゃねえ！」 盧「俺らでこの外道役人一生長城送りにしてやるから！」 蕭「なんだと！」 劉「食って詫びろ、蕭何」 蕭「ほくろを？」

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劉邦…さすがにこれ以上は許せねえやな。 樊噲…字の書ける奴に頼んで、嘆願書を送りつけてやろうぜ。 盧綰…子どもたちも婆さんにも酷いトラウマ植えつけやがって… 夏侯嬰…俺が長城まで着払いで届けてやるよ。 曹参…婆さん。酒をくれ。 蕭何…私がここからいなくなっていいというのか、あんたら！

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樊噲「…くそっ！」 盧綰「俺の勝ちだ」 蕭何「働きもしないでなに遊んでるんです？」 夏侯嬰「なぜいる！」 蕭「あんたらごときの嘆願書なんざでこの私を罪人にでっち上げられると思ってたんですか？」 周勃「くそっ！」 曹参「嬉々としながら嘆願書を燃やしてたぞ、この男」 劉邦「ろくでなしが…」

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蕭「なんの遊びです？」 樊「劉兄いのほくろ取りゲームだ」 盧「七十二のほくろを取り合い、ポイントを競うのさ」 蕭「また心底くだらない遊びを」 曹「そう言いながら、姿勢が前のめりになっているお前はなんだ？」 蕭「だまらっしゃい！」 周「やるか？」 蕭「ほくろ貸しなさい、劉邦」 劉「はあ!?」

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蕭「それでは始めましょう」 樊「では俺から」 劉「…」 樊「どうだ！」 蕭「初手から欲張りますね…」 盧「よし…」 劉「…」 盧「まずこれで」 夏「俺は…」 劉「…」 夏「これだ」 蕭「ダウト！」 夏「!?」 蕭「吹出物を囲みました！一回休み！」 夏「しまった！」 劉(なんなんだよこの外道役人…)

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曹参「ふむ…」 劉「…」 曹「これで」 周「俺は…」 劉「!?」 蕭「周勃！」 周「ほくろだけじゃねえ方が面白いだろ！」 蕭「乳首は一人一つまでにしなさい！」 劉「何を怒鳴ってやがる…」 蕭「ゲーム本体は黙ってろ！」 劉「…」 蕭「まさか私よりも先に乳首を開発されるとは…」 樊「なんだこいつ」

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蕭「どうしてあんたの乳首は二つしかないんですか？」 劉「てめえもそうだろうが！」 蕭「樊噲の屠殺する豚より乳首の少ない穀潰しが…」 劉「…絶対にいつかこいつを酷い目に遭わせるからな、てめえら」 蕭「やれるもんならね」 樊「蕭何の番だぞ」 蕭「ここだ！」 盧「なに!?」 夏「そこがあったか」

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蕭「命の源、へそを抑えました」 曹「胎児の栄養補給路だものな」 樊「俺で言う、肉の流通の要を抑えられたも同然…」 盧「悔しいが見る目が違うぜ…」 蕭「私にこのゲームで勝てるとでも？」 樊「ならば俺は！」 劉「何しやがる！」 樊「両目を抑える！」 蕭「！！」 盧「俺は片耳！」 夏「鼻と口！」

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樊噲…俺は目が良いからな！ 盧綰…片耳でひそひそ話さ！ 夏侯嬰…呼吸の要所を抑えたぜ！ 曹参…片腕をもらった。 周勃…左肩をもらった。 蕭何…へそを抑えて譲らない。 劉邦…アホ中年どものおもちゃにされてカラフルな墨まみれ。

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蕭何「参ったな…」 曹参「この空では中止だな」 樊噲「どうした？」 蕭「今夜は子どもたちに夜空の星々について教える教室があったのですがね」 曹「あいにくの曇り空で星一つ見えない」 樊「それは残念だな…」 蕭「そうだ！」 曹「どうした？」 蕭「劉邦連れて来なさい！」 樊(嫌な予感しかしねえ)