クソあほ項羽と劉邦こばなし

100少々 @suikoden109

曹参「なぜ俺らが劉邦らの所へ？」 蕭何「あいつら下品だから大嫌いなんですけど…」 樊噲「おお！お二人さん！」 夏侯嬰「絶対に七十ニ個だ！」 盧綰「都合が良すぎる！」 周勃「お前の判定はガバガバじゃないか！」 劉邦「…」 曹「何を揉めているのだ？」 劉「俺の太もものほくろの数で揉めてんだ」 twitter.com/suikoden109/st…

100少々 @suikoden109

蕭「さよなら。二度と呼ばないでください」 樊「待ってくれ！蕭何さん！」 盧「あんたが裁定してくれないと、埒があかないんだよ！」 曹「いくつだって？」 夏「七十二だ！」 曹「そんなわけ…」 劉「ほれ」 曹「うわっ！気持ち悪っ！」 蕭「本当ですか！曹参！」 劉「キモいもの見たさで来やがった」

100少々 @suikoden109

蕭「キモっ！うわっ！ありえない！え〜！」 劉「嬉しそうだな」 蕭「んな訳ないでしょう！」 夏「七十二だ！」 周「いや、六十！」 蕭「待ちなさい」 樊「なんだよ」 蕭「まずは劉邦のほくろの数を数える太ももの領域を決める所から始めますよ」 夏「さすが頼もしいぜ！」 劉「…ノリノリじゃねえか」

100少々 @suikoden109

蕭何「では、右太ももの膝から上、右股関節より下を数えることでよろしいか」 夏侯嬰「分かった！」 婆「…あんたらさあ」 蕭「なにか？」 婆「楽しそうに酒呑んでくれるのはいいんだけどねえ…」 夏「ああ」 婆「酒場でおっさん素っ裸にさせて、一体何を真面目に議論してるんだい？」 劉邦「全くだ」

100少々 @suikoden109

曹参「婆さんが俺らを見る目が哀しすぎなかったか」 蕭「とんだ恥をかかせてくれましたね！」 周勃「一番ノリノリだった奴が何言ってやがる！」 盧綰「二度と誘わないぞ、蕭何！」 蕭「…仕方ないな」 樊噲(こいつが一番仕方ない気がするのだが) 蕭「じゃあ続きは劉邦の家でやりますよ」 劉「はあ!?」

100少々 @suikoden109

蕭「おじゃまします」 劉太公「なんだなんだ」 劉媼「あんた！蕭何さんが来たってことは！」 蕭「はい。これより大切な裁定を下しますので」 母「いい歳して何やらかしたの！」 邦「勘弁してくれよ、蕭何…」 母「あんたが悪さしたなら、蕭何さんの言うこと聞きなさい！」 邦「お袋!?」 蕭「続きを…」

100少々 @suikoden109

蕭何「我らの議論の続きを始めますので、着物を脱ぎなさい」 劉邦「両親の前でやめてくれねえか…」 劉媼「蕭何さんがそう言ってるのよ！」 邦「親父！」 劉太公「倅が道を誤ったのなら、正すのが役人の仕事だ」 邦「おめえら！」 樊噲(どうしよう…) 盧綰(いたたまれねえけど) 夏侯嬰(日頃の行いだな)

100少々 @suikoden109

蕭「早く！」 邦「…一生恨むからな」 蕭「では次に、数える対象となるほくろの掟についてですが」 母「はい？」 父「なんの話だ？」 蕭「劉邦のほくろの数を正しく数えるための話ですが？」 母「…」 父「…」 邦「そんな目で見ねえでくれ！親父！お袋！」 母「…」 父「泣くな媼！お前は悪くない！」

100少々 @suikoden109

曹参「よもやこんな家族内の修羅場を演出する事になろうとは」 邦「どうしてくれんだ！おめえら！」 周勃「さあ…」 夏「日頃の行いが、ね、兄い」 蕭「数えるほくろの大きさと濃さに関わる裁定の提案ですが…」 邦「てめえはいつまでやってんだ！蕭何！」 蕭「私たちを呼んだのはあんたらでしょう！」

100少々 @suikoden109

蕭何「それではほくろのの大きさについては、毛穴よりも大きい事、濃淡についてはこのメラニン色素対照表と比較したフェーズ三より上を対象とする事にします」 劉邦「どうでもいいからさっさと数えやがれ！」 蕭「馬鹿劉邦！」 劉「なんだ、てめえ？」 蕭「そんないい加減な事だから親泣かせなんだ！」

100少々 @suikoden109

劉「それはおめえが俺の家でおっ始めたせいで」 蕭「いつまでも穀潰しのおっさんだからでしょ？」 劉「論点をすり替えるな！」 蕭「どう思いますか、みなさん！」 樊噲「確かに劉兄いは、さっさと働いた方がいいと思う」 盧綰「それは否定できんな」 蕭「ほら見なさい」 劉「ちげえだろ！おめえら！」

100少々 @suikoden109

周勃「穀潰しのおっさんなのは違わないだろ？」 劉「そうじゃねえ！」 蕭「曹参！あなたの意見は？」 曹「…どうでもいいから数えよう」 樊「だな」 盧「おら、早く数えさせろ」 夏侯嬰「いつ見ても汚ねえ裸だ」 周「何やってんだろうな、俺たち」 劉「てめえら…」 蕭「それでは始めますよ、皆さん」

100少々 @suikoden109

蕭何「裁定に従い、数える対象となるほくろに一つずつ朱をつけますので」 樊噲「よし…」 盧綰「まず境界線を引いておこうぜ」 蕭「そうですね」 劉邦「くすぐってえ！」 蕭「動くな！」 劉「鼠蹊部は弱えんだよ！」 曹参「…知りたくもない弱点だ」 蕭「ああもう！引き直しだ！」 劉「やめてくれ！」

100少々 @suikoden109

夏侯嬰「境界線を引くのってこんなに大変なんだな」 周勃「まるで何かを示唆しているかのようだ」 劉「何言ってやがる」 蕭「それでは一つずつ」 樊「これ」 蕭「一」 樊「これ」 蕭「ニ」 樊「これ」 蕭「さ」 曹「これ吹出物じゃないか？」 樊「本当だ！」 蕭「ふざけてんのか！」 劉「いってえ！」

100少々 @suikoden109

蕭「あんた、ほくろもまともに数えられない汚い肌してるんですか？」 盧「よく見たら、なりかけのニキビやシミにおできまでよりどりみどりじゃないか！」 曹「皮膚炎の展示会だな」 蕭「なんという事だ…」 劉「もうやめてくれ…」 蕭「まず明確に判別できるニキビやおできを全部除去します」 劉「!?」

100少々 @suikoden109

蕭何「とんだ大仕事になりましたな」 樊噲「汚ねえ肌が更に汚くなりやがった」 盧綰「血まみれですよ、蕭何さん」 蕭「唾つけとけばいいでしょ」 劉邦「…てめえら絶対許さねえ」 曹参「日が傾いてきたな…」 周勃「本当だ」 蕭「灯はないんですか？」 劉「あるわけねえだろ！」 蕭「…使えませんね」

100少々 @suikoden109

夏侯嬰「じゃあ明日明るくなってから」 蕭「役所で続きをします」 劉「…灯があるからか？」 蕭「仕方ないでしょう！あんたの肌が汚いせいで、無駄な時間を使う事になったんだから！」 樊(そもそも事の発端から無駄な時間しかなかったと思わないか？) 盧(正気に戻ったら負けだぞ、樊噲) 周(帰りてえ…)

100少々 @suikoden109

県令「夜分遅くに仕事か、蕭何？」 蕭「大事な仕事なので灯のため、鯨油を使います」 県「それほどの仕事とは？」 劉邦「歩くだけで痛え…」 県「なぜ劉邦が!?」 蕭「説明は後にしますから」 劉「！」 県「なぜ裸に!?」 蕭「どこまで数えましたっけ？」 樊「…だめだ。道中で分からなくなっちまった」

100少々 @suikoden109

蕭何「ここで諦めたら全てが台無しですよ、皆さん！」 樊噲「もはや引くに引けん！」 曹参「さながら水場を背後にして戦に臨むかの様だ」 県令「その大袈裟な物言いで、裸の劉邦を弄んでいるお前らはなんなのだ？」 夏侯嬰「男にはやりきらなくちゃいけない仕事があるんですよ、県令さん」 劉邦「…」

100少々 @suikoden109

周勃「メラニン色素対照表が見にくいな」 蕭「ありったけの鯨油を！」 樊「任せろ！」 県「蕭何！」 蕭「今私たちの邪魔をしたら首が飛びますよ」 県「」 盧綰「どうだ、明るくなっただろう」 県(我らの貴重な鯨油を…) 蕭「再開します」 県(劉邦のほくろを数えるのに悉く使われるなどということが…)

100少々 @suikoden109

蕭「いつの間にか朝になっていましたな」 樊「鯨油を使い切ったがいいのか？」 蕭「必要経費ですから問題ありません」 夏(なぜ断言できるんだろう) 周(俺が皇帝とやらだったら、一生長城送りにしてやるけどな、こんな奴) 樊「これ」 蕭「六十」 周「まだあるか？」 蕭「ひっくり返して！」 盧「よっ」

100少々 @suikoden109

蕭何「汚い」 周勃「両面はもうないのではないか？」 夏侯嬰「すると、周勃の言うとおりの六十が正解だったのか…」 周「よし！」 曹参「待て、みんな」 樊噲「なんだよ、曹参」 曹「両側面を忘れてないか」 周「！」 蕭「盲点だった…」 盧綰「まだあったぜ、ほくろ野郎！」 劉邦(死にたくなってきた)

100少々 @suikoden109

樊「これ」 蕭「六十五！」 樊「最後に反対側の側面だ！」 蕭「ひっくり返して！」 盧「兄い？」 劉「ZZZ…」 蕭「寝てんじゃねえよ！」 劉「なんだってんだ！」 蕭「お前のほくろ数えてやってるのに、どうしてここまで非協力的なんですか？」 劉「頼んでねえよ！」 樊「いや、俺たちが頼んだから…」

100少々 @suikoden109

劉「一思いに殺してくれ」 蕭「息でも止めてればいいでしょ」 周(いちいち言うことが酷え) 蕭「この面が終わったら、こんなくだらない仕事も終わりですから！」 曹(一番楽しそうだった奴が言うな) 樊「これ」 蕭「六十六」 樊「…もう無いかな」 夏「じゃあ兄いのほくろの数は」 蕭「やっと終わった」

100少々 @suikoden109

盧綰「！」 蕭何「どうしました、盧綰」 盧「境界線をよく見てくれ」 樊噲「なんだよ」 夏侯嬰「こいつは！」 曹参「境界線上のほくろがまだあったのか…」 蕭「これは難しい問題だ」 周勃「境界線上なら数えていいんじゃねえか？」 蕭「もっとよく見てください、周勃」 周「汚っ」 劉邦(…殺してくれ)