茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第3147回「『怪物』は、日本初のアカデミー賞作品賞行けるんじゃないかと思う」

0
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート3147回をお送りします。文章は即興で書いています。本日は感想です。

2023-06-08 07:55:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

是枝裕和監督、坂元裕二脚本の『怪物』は、見終えて1日経って、やはり傑作だったという思いが強くなっている。カンヌで坂元さんが脚本賞を受けられたが、なぜこの作品がパルムドールにならなかったのかと思う。アカデミー賞作品賞はぜひ受賞してほしい。

2023-06-08 07:57:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

『怪物』の予告編を見たとき、わっ、怖い映画かも、と思った。「怪物だーれだ?」という子どもの声が効果的に使われていて、サスペンスかと思った。本編を見て、確かにサスペンスなのだけど、全く違うところにつれていかれてびっくりした。それが何かは書けない。事前に調べないで見に行ってほしい。

2023-06-08 07:58:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

『怪物』の見事な点は伏線の回収で、予告編で印象的だった「怪物だーれだ?」が全く意図せぬ文脈で回収される(書きすぎるとネタバレになるけどこれくらいはいいだろう)。また、途中で印象的な「ある音」も、後にある場面で見事に回収されて、「ああ、そうか」となる。

2023-06-08 07:59:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

『怪物』の坂元さんのシナリオは見事で、特に、前半のストーリーは「怪物だーれだ?」というセリフにあった進行である。しかし、後半、全く別のモチーフが出てきて、映画本来のテーマは違うところにあることがわかる。そこからの展開が見事である。

2023-06-08 08:00:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

映画の途中で様相が一変するという意味では、『怪物』は『パラサイト』に似ている。しかし、その進行及び変貌はより繊細であり、気づくと映画の見え方が全く変わっている。最後のシーンは素晴らしく、シネマトグラフィが卓越したこの作品という「竜」の眼がこの時点で入った。

2023-06-08 08:02:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

『怪物』の少年2人の演技は素晴らしい。黒川想矢、柊木陽太のふたりに何らかの国内、国際的な演技賞が与えられても不思議ではないと思う。

2023-06-08 08:04:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

『怪物』が日本初のアカデミー賞作品賞行けるんじゃないかと思うのは、緻密で考え抜かれた作品の構成、そして最後に到達する人間的な感触という属性が、『パラサイト』や『エブエブ』に似ていて、最近のアカデミーの傾向と合致しているから。うまく米国での宣伝、配給をやって、ぜひ受賞してほしい。

2023-06-08 08:06:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

最後に、『怪物』の「怪物だーれだ」という予告編は、あらかじめ観る者に作品の本質を明かすわけにはいかないという制作側の工夫と苦心が感じられる。答え合わせを知った今となっては見事だ。一方で「ただ怖い映画なのでは」と敬遠している人は、騙されたと思って見てほしい。感動します。

2023-06-08 08:08:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート3147回、「『怪物』は、日本初のアカデミー賞作品賞行けるんじゃないかと思う」をテーマに8つのツイートをお届けしました。

2023-06-08 08:09:20