「2006年はオタク氷河期!オタクには人権も発言権もない時代だった!」←そんなわけないだろ

2006年にタイムリープして「オタク氷河期」をやり直すというマンガ「平成ヲタクリメンバーズ」を読んで違和感しかなかったので検証ツイートをまとめました。
167
モスアット @mos_akigami

例の「2006年はオタク氷河期!オタクには人権も発言権もない時代だった!」と歴史捏造する漫画がWEB公開を始めたので、 その時代に発行された本や雑誌を用いた検証を下記ツリーに改めてつづっていきたいと思います。 #平成オタクリメンバーズ sunday-webry.com/episode/485600…

2023-06-12 20:49:25
モスアット @mos_akigami

確かに2006年は今現在と比べればまだオタクに対する風当たりは強かったとは思います しかし「オタク氷河期」「オタクには人権も発言権もない」といった時代では決してなかったと断言できます むしろ「温暖化」が進んでいた時期だと言えます その根拠を以下に示していきます #平成オタクリメンバーズ

2023-06-12 20:49:25
モスアット @mos_akigami

根拠1 「アエラ」のオタク記事 一般週刊誌「アエラ」2005年6月20日号掲載のオタク男性のインタビュー記事で 「(自分の学生時代は)今ほどオタクに市民権がなく…」 との発言。これはもう2005年の時点でオタクにはある程度の市民権があったという証拠です。 #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/P850g0YgdT

2023-06-12 20:49:25
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

また、2006年連載開始の漫画「キャノン先生トばしすぎ」という作品でも、30歳の主人公が「自分の学生時代(80~90年代)はオタク迫害が酷かったが、今(2006年)はそんなことはなくなっている」という旨の発言しています。 #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/Az1zQCqoUf

2023-06-12 20:49:26
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

この他にも2005年のアエラには 「オタクは電車男の影響で結婚相手としても注目」「そこまでオタクでなくても、オタクを名乗れるほどに、抵抗感はなくなっている」 「一億層オタク化の流れ」 といった記述があります。 #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/RmJVOPq7bt

2023-06-12 20:49:27
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

また、オタク趣味を隠さず力強く生きている女性を紹介する記事や、オタク趣味をアートに昇華した村上隆氏を紹介する記事も掲載。 一般週刊誌でこれほどまでにオタクを肯定的に記事にしているのに、どこが「オタク氷河期」で「オタクに人権も発言権もない」だというんですか? #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/AaL1pLb3Tz

2023-06-12 20:49:28
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

また2005年発行の本来は日本文化や伝統を掲載する「ジャイロス」という雑誌ではアニメ文化を取り上げ、冒頭で学習院大学名誉教授の諏訪春雄氏が「アニメ愛好者はかつて皮肉を込めてオタクと呼ばれていたが、今やアニメは日本を代表する文化として国内・海外で愛好者を増やしている」と書いています。 pic.twitter.com/gBLf875yQC

2023-06-12 20:49:29
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

本当の「オタク氷河期」の80~90年代には新聞・テレビ・雑誌が総攻撃でオタクを叩いていました。そうしたオタクバッシングの記事をまとめた同人誌があります。(サークル「暗黒拠点月」発行) 2006年時点でもオタクを揶揄する記事はあったとは思いますが、80~90年代に比べれば僅かでしょう。 pic.twitter.com/Cx5bWeOIG1

2023-06-12 20:49:30
拡大
拡大
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

90年代のサブカル文化に詳しいロマン優光氏も著書の中で宮崎勤事件直後の1990年を「世間ではオタク族バッシングが吹き荒れていた時代」と評しています。 この時代に比べれば2006年のオタク叩きの風潮なんてそよ風のようなものにすぎないでしょう。 #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/xDT6Mhforl

2023-06-12 20:53:15
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

根拠2 「電車男」の大ヒット 2005年オタク男の主人公を肯定的に描く(最終的に美女と結ばれハッピーエンド)「電車男」が映画・ドラマで大ヒットしました。(書籍は2004年のベストセラー) 映画は興行収入12位ドラマは尻上がりに視聴率を上げ最終回に25.5%記録。 #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/cRFedMyNhT

2023-06-12 20:53:15
拡大
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

#平成オタクリメンバーズ の第1話で主人公が当時の流行りネタ「フォー!」を披露してヤンキーを撃退するシーンがあります。 確かに「フォー!」は2005年の流行語トップテンに選ばれています。 pic.twitter.com/tJUIZiZtEM

2023-06-12 20:54:26
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

しかしその一方「萌え」というオタク界隈発祥の言葉も同じく2005年のトップテンにランクインしています。 「オタクに発言権がなかった時代」だというなら、何でオタク用語が流行語になるんですかね? #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/4Zp9vwuaX8

2023-06-12 20:54:27
拡大
モスアット @mos_akigami

ニッポン放送アナウンサー吉田尚記氏は著書「オタクを武器に生きていく」の中で「電車男」がきっかけでオタクへの理解が深まるきっかけになったと書いています。 #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/NMOfkRFZdj

2023-06-12 20:55:28
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

「電車男」の主人公もコミュニケーションに多少難があるものの、純朴で一途な青年として描かれ、最終的には幸せを掴んでいます。 本当に「オタク氷河期」だったらこんなオタクに対して肯定的なドラマが放送されるわけないと思うんですが? #平成オタクリメンバーズ

2023-06-12 20:56:13
モスアット @mos_akigami

また、2006年にはやはりオタクの男女の活躍を描く「アキハバラ@DEEP」がテレビ放送されています。(書籍は2002年連載開始) 「オタク氷河期」ならこうも立て続けにオタクをテーマとするドラマが作られるわけないと思うんですが? #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/e9tA9KXwd5

2023-06-12 20:56:13
拡大
モスアット @mos_akigami

1997年放送の人気ドラマ「踊る大捜査線」ではストーカー犯罪を扱った回での犯人がアニメオタクでした。 こんな風にオタクが犯罪者扱いされていたのが本当のオタク氷河期です。2006年時点で人気ドラマで堂々とオタクが犯罪者として描かれるものなんてありましたか? #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/NBAdThaghT

2023-06-12 20:57:12
拡大
モスアット @mos_akigami

根拠3 野村総研「オタク市場の研究」 野村総研は日本最高峰のシンクタンクで東大生が選ぶ注目企業の1位にも選ばれた企業です。 その野村総研が2005年発行の「オタク市場の研究」という本ではオタクは「影響力が大きく、市場をリードする役割」だと分析されています。 #平成オタクリメンバーズ pic.twitter.com/mfAXAx8zZj

2023-06-12 20:58:15
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

また同書の中でオタクのイメージに対する転換点として95年放送の「エヴァンゲリオン」を挙げています。それから11年も経過した06年にはオタクのイメージはさらに向上していたと考えるのが自然です。 先の「オタクを武器に生きていく」の中でも「エヴァ」の影響で風向きが変わったと書かれています。 pic.twitter.com/enlrZbNjYQ

2023-06-12 21:00:09
拡大
拡大
モスアット @mos_akigami

2005年の時点で日本を代表する大企業がこのようにオタクを市場効果的に重要な存在と分析しているのに「オタクは人権も発言権もない」だなんて言えるんですか? #平成オタクリメンバーズ

2023-06-12 21:01:30
モスアット @mos_akigami

根拠4 麻生太郎のアキバ演説 2006年秋葉原にて後に首相となる麻生太郎氏が「オタクの皆さん」と呼びかけ、漫画・アニメネタを交えて街頭演説を行いました。 nikkei.com/article/DGXMZO… #平成オタクリメンバーズ

2023-06-12 21:03:10
モスアット @mos_akigami

超大物政治家に重要な票田と認識されるほどの存在になっていたのに、「オタクは人権も発言権もない」だなんて言えますか? #平成オタクリメンバーズ

2023-06-12 21:03:11
モスアット @mos_akigami

以上、当時の資料を基に2006年は「オタク氷河期」「オタクには人権も発言権もない」時代では決してないということを証明しました。 もちろんこの当時、ミクロ的な視点で言えば、オタクだという理由でイジメを受けたり、嫌な思いをしてきた人はいるでしょう。

2023-06-12 21:05:06
モスアット @mos_akigami

しかし社会全体をマクロ的な視点で見れば、本当のオタク氷河期だった80~90年代と比べるとオタク叩きの風潮はだいぶ薄まっていたと言えます。 そもそもこの漫画はなぜ2006年を「オタク氷河期」「オタクに人権も発言権もなかった時代」だなんて言い始めたのでしょうか?

2023-06-12 21:05:07
モスアット @mos_akigami

単に「学生時代にオタクを理由にイジメを受けていた主人公が過去にタイムスリープしてやり直す!」と言えば良かったのではないでしょうか? それだと引きが弱いので、半ば炎上狙いでこういう強い言葉を使ったのでは? 「あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」 という藍染の言葉を送りたいですね。

2023-06-12 21:05:07