三国志こばなし集2023年7月号(上)三国時代編

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郭嘉「やれやれ。毎度飲みすぎた」 陳羣「郭嘉殿！」 郭「やあ、陳羣殿」 陳「またあなたはこんなだらしない身なりで出仕されるなど！」 郭「そうですか？」 陳「そうです！」 郭「具体的に？」 陳「身体の上のあたりが丸見えなんです！」 郭「もっと具体的に言うと？」 陳「胸が見えてるんです！」

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郭「おや！陳羣殿は私の胸が気になるのですか？」 陳「！」 郭「これは、陳羣殿やはりあなたは」 曹操「えっ陳羣だな、奉孝」 陳「殿!?」 郭「そんなに不埒ですかね？」 曹「不埒だと思う奴が不埒だ」 郭「ふら陳羣殿だ！」 曹「ふら陳羣！」 陳「何を言われる！」 郭「また顔が真っ赤ですな」 陳「」

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曹「えっ陳羣にふら陳羣か」 郭「何かもう一つ」 陳「夏侯惇殿！荀彧殿！」 夏侯惇「貴様ら！」 荀彧「許褚殿！虎士で二人を完全包囲してください！」 許褚「承知」 曹「しょう陳羣？」 郭「逃げましょう！」 夏「逃がすものか！」 荀「よしよし」 陳「」 曹「離せ！虎痴！」 郭「助けて！」 許「…」

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陳羣…不名誉なあだ名が二つもついてしまったことが悔しい。 夏侯惇…アホ主君ズにほとほと手を焼いている。 荀彧…尺でお尻を百叩きした。 許褚…小さい曹操と軽い郭嘉なんざ鷲掴みするだけで運べる。 曹操…主君に何をするか！ 郭嘉…不健康な私に何をするのです！

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魯粛「たまの仕事を手伝ってもつまらないったらありゃしねえ」 ？「…」 魯「あれ？あんな奴いたかな？」 ？「…」 魯「…なんで表で書物なんて読んでやがるんだろう」 ？「…」 魯「おーい！そこのお前！」 ？「!?」 魯「何読んでるんだよ？」 ？「…誰だお前？」 魯「商売に来た家の者だ！」

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？「…」 魯「歳も近そうだな！」 ？「私は人殺しだ、近づくな」 魯「そうなのか!?」 ？「…なんだよ」 魯「なんで殺したんだ!?」 ？「…母上の遺言だ」 魯「いくつで？」 ？「十三」 魯「すげえ！」 ?「…すごいってどういう意味だ」 魯「だってお前、母上の遺言でたったの十三で人殺ししたんだろ？」

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？「…」 魯「すげえ！」 ？「お前、狂ってるのか？」 魯「よく分かったな！」 ？「は？」 魯「家族はみんな俺のこと狂ってるって言うんだ」 ？「…」 魯「お婆様は違うって言うけど」 ？「…」 魯「そんなつもりないのに…」 劉曄「劉曄。字は子揚」 魯「！」 劉「お前は？」 魯「魯粛。字は子敬！」

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魯粛…悪友コンビ結成の瞬間である。 劉曄…歳の近い人とまともに話す事すら初めてだったかもしれない。

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馬謖「街亭の馬鹿野郎！」 王平「きっと馬謖殿は戦後に泣かれた丞相に斬られますね」 馬「それは甘んじて受け入れる所存だ」 王(こんな凡ミスしなければ) 馬「だが私は丞相に泣かれながら斬られたくはない」 王「ほう」 馬「斬る時は笑ってほしい」 王「サイコパスにするな！」 馬「怒って私を斬る？」

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王「怒りすら通り越してますって」 馬「ならば楽しんで私を斬る」 王「いくら馬謖とはいえ、ポジティブに斬らないでほしいなぁ」 馬「私がお前を斬るぞ！」 王「怒った馬謖が斬る？」 馬「そうだ！」 王「そこは泣いた馬謖が斬るでは？」 馬「ふむ」 王「玉ねぎでも斬れば、あるいは」 馬「名案だ！」

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王(あ〜馬鹿らしい) 馬「涙が止まらんぞ、王平」 王「それは何より」 馬「だが私は玉ねぎ由来の硫化アリルで涙を流したいわけではないのだ」 王「文盲なので分かりやすく言ってください」 馬「私は涙だけ流せばよいわけではない！」 王「涙の数だけ強くなれますから」 馬「なるほど！」 王(手遅れだよ)

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馬謖…このみじん切りにした玉ねぎを何に使おうか。 王平…数少ない兵糧に混ぜましょう。

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袁術「蜂蜜に飽きた」 紀霊「なんと」 袁「蜂蜜以外の甘味をちょっ早で用意せよ」 紀「勅令ですな」 袁「無論」 紀「陳蘭、雷薄」 陳蘭「へえ」 雷薄「ほい」 紀「貴様ら返事もろくにできんのか！」 陳「めんどくて」 紀「勅令だぞ！」 雷「勅令を大安売りしてると後で困りますぜ？」 紀「早く行け！」

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陳「甘味ねえ」 雷「自分に甘々なんだから、てめえを舐めてりゃいいじゃねえかな」 陳「全くだ」 劉勲「またお前らで陛下のパシリか」 陳「あんただってそうだろうが」 雷「陛下直々のパシリって中々じゃないっすか？」 劉「やる気あるな！」 陳「いえ、全然」 雷「めんどくて」 劉「なんだこいつら」

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雷「瓜をどうぞ」 紀「瓜だと？」 陳「私たちはこの瓜をとても甘くすることができます」 紀「いかにして？」 雷「この塩をまぶしてお召し上がりください」 袁「…」 陳「いかがか？」 袁「甘い！これほど瓜を甘くする塩とは一体なんなのだ！」 陳(てめえの汗から精製した塩さ) 雷(案の定じゃねえか)

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袁術…日頃の甘々なそれが汗にも反映されているとは思わなかった。 紀霊…なんか臭いな、この塩。 陳蘭…袁術の着物から塩を精製する時の馬鹿らしさときたらなかった。 雷薄…しかもそれが予想通り甘かったのも信じられなかった。 劉勲…瓜売りに袁術の塩を贈ったらすごく嫌な顔をされた。

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太史慈「殿」 孫権「どうした、太史慈？」 太「この俺に曹操から手紙が来ましてな！」 孫「なに!?」 張昭(主君と家臣の前で言うことではないのだが…) 孫「…何が書いてあった？」 太「それが、草しか入っておりませんでな」 孫「草？」 太「こちらです」 孫「手紙は入ってなかったのか？」 太「はい」

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孫「…誠か？」 太「殿？」 張(疑うなという方がおかしいと思うが) 虞翻「これは当帰ですな」 孫「当帰とは？」 虞「婦人薬で使う薬草です」 太「よもや曹操が私の妻を心配しているのか？」 虞「他の意味を考えると…」 孫「なんだ？」 虞「恋しい夫よ、まさに家へ帰るべし、が当帰の名の由来なので」

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太「俺を側室に入れようというのか!?」 孫「正気か!?」 虞「…要するに殿を棄てて私に仕えろって言ってるんですよ」 太「この俺に曹操の側室で仕えろと!?」 虞「…」 太「大丈夫たる者、この世に生まれたからには天子になる以外の道はないだろうが！」 孫「太史慈？」 太「なにか？」 張(今のも素か…)

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孫権…兄とは仲良しだったけど、野心 ダダ漏れの太史慈が不穏で仕方ない。 太史慈…孫策と死闘を繰り広げた図太すぎる家臣。 張昭…こいつも厄介な男だな。 虞翻…太史慈がアホすぎたので、これ以上教えるのをやめた。

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魯粛「無聊ですなぁ、ご主君」 孫権「くれぐれもお前を重用するなと皆から言われているからな」 魯「具体的に皆とは？」 孫「…私に言わせるな」 魯「おおかたご主君のご母堂に、張昭殿あたりでしょうかね」 孫「…うるさい」 魯「そういえば、太史慈殿が亡くなったと小耳に挟みましたが」 孫「ああ」

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魯「とんでもないこと宣って亡くなったそうではありませんか」 孫「なぜ知っている？」 魯「皆知っていますよ」 孫「…具体的に皆とは？」 魯「人の口に戸は立てられませんて」 孫「…どうだか」 魯「それにしても、一度お会いしたい御仁でしたな」 孫「碌でもない事になりそうだ…」 魯「でしょう？」

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孫「天子になれずに死ぬのが無念だった男と」 魯「漢などとっくに終わっているのが本音の私」 孫「悪夢の様な組み合わせだ」 魯「本当はその組み合わせにもう一つ掛け算ができたかもしれないのですがねえ」 孫「なに？」 魯「独り言です」 孫「聞き捨てならんぞ」 魯「今はあいつも無聊でしょうから」

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孫権…とんでもない男たちを束ねていたのだな、兄上は… 魯粛…遺言でそう宣った男の話を劉曄にお手紙。 太史慈…天子になれずに死んだ無念を遺言で宣う太々しさ。確かに齢四十一の逝去は早すぎたかもしれない。

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曹丕「ぬう…」 呉質「どうしたんっすか？」 曹「私は子どもの頃から騎射が巧みでな」 呉「はあ」 曹「詩文にも精通しているのが長所な訳だ」 呉「んで？」 曹「武には子文が」 呉「ええ」 曹「詩文には子建がいる」 呉「…」 曹「正直に、今どう思った？」 呉「中途半端っすね、子桓殿！」 曹「貴様」