ポリコレ嫌いがポリコレに悪印象を持たなくなったきっかけ

人間ジェネリック @DividedSelf_94

今はポリコレについて特に悪印象は持ってないんだけど、明確にキッカケがある。 オーバーウォッチっていう米国産FPSゲームをやってたときなんだけど、そのなかに「ハンゾー」っていう日本人キャラがいる。 それを英語音声でプレイしてたときなんだけど、その必殺技が…

人間ジェネリック @DividedSelf_94

「ﾘｭｳｶﾞﾜｶﾞｷｦｸﾗｳ！」っていう笑っちゃうくらいカタコトの日本語なんだ。逆に日本語吹き替えで遊んだら、当然日本人が声優してるからこっちのほうがむしろ自然なの。日本の声優を本家に輸入したらいいのにとまで思った。それで気になってオリジナルの声優さんを調べてみた。そしたら…

人間ジェネリック @DividedSelf_94

なんと日系アメリカ人だったのね。おそらく二世か三世。ちゃんと”日本人”を起用してたのだ。でも当然日本語ネイティブじゃないので日本語の必殺技はカタコトになる。そのゲーム会社は世界でも有数の巨大ゲーム会社だから、日本から日本語ネイティブの声優を連れてくるなんてわけもないはずだった。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

でもわざわざ日本語を喋れない”日系アメリカ人”を起用した。不正確な日本語になると知りつつ。それに気付いた時「ポリコレ」の真髄に触れた気がして衝撃が走った。彼らは”完璧の素晴らしい演技”を求めてなかったのだ。「正確さ」や「完成度」よりも彼らには優先すべきことがあったのだ。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

業界で不遇な扱いを受けるマイノリティ（日系俳優）に出来るだけのチャンスを与えること、それが今のアメリカのエンタメが共通して持つ価値観なのだ。大事なのは、これは政治というより「労働」の話ということだ。「不遇な労働者に仕事を与える」という価値観の話なのだ。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

そしてそういった人たちに仕事を分け与えるためには、完成度が低くなろうが大した問題ではない。そういう強い価値観でいま向こうのエンタメは動いているのだ、とその時ようやく気付いたんだよね。 自分は長らくポリコレというのが嫌いだった。映画やゲームというのをつまらなくしてると思っていたから.

人間ジェネリック @DividedSelf_94

でもそれは私の愚考だった。向こうの人達はもはやポリコレで「つまらなくなっても構わない」という境地だったのだ。蒙が啓いた気分だった。アカデミー賞にポリコレルールが追加されたのも納得がいった。映画の「完成度」よりもすでに彼らには重視するものがあったのだ。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

アメリカ人がそういうルール・価値観で仕事をしている以上、日本人としてもうそれに口出しする権利はない…と諦観した。所詮我々はアメリカ人の作ったエンタメを口を開けて消費するだけの消費者で、どんな環境でどんな作品を作るかはアメリカ人が決めることだ。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

アカデミー賞だって所詮アメリカ人がアメリカ映画のために作った賞なんだから、アメリカ人の価値観で規約が作られて当然なのだ（勘違いしてる者が多いが、あんなの国際映画祭でもなんでもないんだから）。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

まぁそれを日本人にまで求められたら色々と困るが、基本アメリカ人がアメリカ内で好き勝手にやってることなのだから、部外者としては「好きにしたら」としかいいようがない。口出しするほうが野暮である。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

もうアメリカエンタメは完成度を至上せず、「スタッフの多様性」とか「パワハラしない」とか「労働者を尊重する」とか、作品よりも作り手を優先するフェーズに至った。 ずっと私は「作品」が一番偉いものだと信じて疑わなかった。だから長らくポリコレが理解不能だった。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

そして「もうアメリカでは”作品”が一番偉くない」と気付いて、モヤモヤとしたものが霧散した。一瞬悲しくは思ったが、アメリカエンタメがどうなろうと、お出しされたものを全力で「面白がる」だけなんだよね。アメリカがそういうフェーズになった以上、そのフェーズのお料理を全力で平らげるだけなのだ

人間ジェネリック @DividedSelf_94

それが”文化ツーリスト”の健全な精神なんじゃないか。 フェーズはすべての時代・土地にある。 インドや中国がナショナリズム丸出しの映画を作っても「おもしれー！」と思うし、ソ連の国策映画をみて「おもしれー！」と思うし、第二次大戦中のアメリカのプロパガンダ映画をみて「おもしれー！」と思う。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

どんな環境でもそれ故の面白さが必ずある。この”フェーズ”だからこそ出来上がった奇特な作品がいまアメリカにたくさんある。ブツクサいつまでも文句をたれ続けるよりかは、これを奇貨として全力で今の時代を楽しむ方が確実に有意義である。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

曲解する方が多いので追記 このツリーで一番強調したかったのはポリコレとは『政治というより「労働」』の部分です。つまりポリコレつうのはエンタメではアメリカ人労働者のために存在するんです。 よくある「黒人のキャラには黒人を」ルールもそっちのほうがオーセンティック（本物）だからという…

人間ジェネリック @DividedSelf_94

理由で制定されてるんじゃなくって、白人中心で仕事がまわるハリウッドで”せめて”有色人種のキャラは有色人種に任せよう、という「労働」の話なんです。だから日本語ネイティブの日本人を連れてきてもそれはポリコレにはならない。それは「外国人」だから。これはアメリカ人労働者のためのルールだから

人間ジェネリック @DividedSelf_94

日本人が最も誤解しているのがこの点だと思います。「演技に人種は関係ないだろ」という発想になる。逆です。”不遇に扱われてる人種を優遇するため”にポリコレというルールが生み出されてるのです。マイノリティを優遇することが第一義なんです。「人種に演技は関係ない」が向こうの正論なんです。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

よくハリウッドで人種が考慮されても出自が無視される（例えば日本人を韓国系が演じたり）のも、オーセンティックでキャスティングするのではなく、”人種に対する優遇”が目的だから。マイノリティに仕事を分け与えることが重要で、「本物か」は大事ではない。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

原作の白人キャラが黒人に取って代わられやすい現象も、同じ理由です。原作の再現性（本物性）よりも、”マイノリティの人種”が第一義だから。ゆえに、逆に黒人役を白人が演じることは許されない（まーアジア人はよく乗っ取られるんですけど）

人間ジェネリック @DividedSelf_94

もちろん「日本語ペラペラの日系アメリカ人」でもいれば、ハリウッドの日本人役キャストとして最適なんですが、残念ながら片手で数えるほどしか思い浮かばない。それぐらいアジア人俳優の層が薄い。なぜアジア人俳優がいないかというと仕事がないから。故にポリコレが必要…というのが向こうのご事情。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

私が「口出しする権利がない」と思うのは、こういう点なんです。まさに「アメリカ人の労働者の仕事・食い扶持」に直結する話だからです。海の向こうで差別されてる労働者が仕事を勝ち取ろうとする運動なんです。物見遊山の部外者が軽々しく首を突っ込むことじゃないと思うのです。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

私がポリコレ言説で嫌悪するのは、ただポリコレだけを理由に評価を上げたり下げたりするような観客です。例えば小野寺某みたいな、ポリコレに合致してるか否かしか価値基準がない批評家というのを憎悪してます。それは映画について語ってるとはまるで思えねーからです。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

それと同じように昨今の反ポリコレ厨も嫌悪してます。結局彼らも作品を直視せず「ポリコレ作品か否か」という議論に汲々としてるのです。ポリコレ批評家の鏡写し。ポリコレがあろうがなかろうが、おもしれー映画はおもしれーんだ。そういう当たり前も忘れてしまった観客は映画をみても時間の無駄です。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

最後に、これもまた実に個人的な実感なんですが、Twitchでアメリカの日系の少年の配信をみてたんですよ。完全に英語ネイティブなんですが、いつも頭に日の丸のハチマキをつけて配信をしてくれているの。そこまで日本というものにアイデンティティを持ってくれてることにグッと来た。

人間ジェネリック @DividedSelf_94

で、同時に「彼にはハリウッド映画はどう写るんだろう」ってその時思ったんです。もはや白人が多数派といえない社会で、なぜかハリウッドでは白人の映画ばかりが作られ、たまに黒人の映画があり、そしてアジア人が主演の映画はほぼ皆無だ。自分とは全く姿かたちが異なるスターばかりの映画をみて、