本日のドイツ語表現

文学作品、慣用句、標語などからドイツ語の一言表現を抜き出し、文法の解説を付けたものです。過去に引用したものはコンテンツを統合の予定です。
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ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

nichts von 〜 : nichts は「何もない」という意味の代名詞。つまり「〜については何も」 seiner : その人の engenen : 自分の/固有のもの

2023-08-31 09:31:48
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

#本日のドイツ語表現 Aber was gibst du mir, wenn ich dein Spielzeug wieder heraufhole? - Der Froschkönig oder der eiserne Heinrich von Brüder Grimm だけど俺が君のおもちゃを拾い上げてきたら、君は俺になにをくれるんだい? ―グリム兄弟『カエルの王様または黒鉄のハインリッヒ』より

2023-09-01 07:57:53
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

aber:並列接続詞。しかし、だけど was :疑問詞。ここでは4格。なにを gibst < geben:与える。二人称単数現在 mir:一人称単数代名詞的3格。私に wenn:従属接続詞。もしも〜したならば Spielzeug:中性名詞。おもちゃ wieder:副詞。また、元通りに heraufhole:拾って持ってくる

2023-09-01 08:11:31
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

中の人「これはどんな場面だ?」 独語独文「お姫様が鞠を水に落としてしまって困っており、カエルが『俺が拾ってきてやろうか』と言っている場面です」 中の人「ククク。『我をしてそれを為さしむには対価を払うべし』というわけだな」 独語独文「さっき読んでた『ファウスト』に影響されすぎです」

2023-09-01 08:19:00
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

#本日のドイツ語表現 Hör’ auf mit deinem Gram zu spielen, Der, wie ein Geyer, dir am Leben frißt; - Studirzimmer, Faust I von J. W. von Goethe 貴方の生においてハゲタカの如く貪りかかって来るような、その深い哀しみを弄ぶのはおやめなさい。 ―書斎にて。ゲーテ『ファウスト第一部』

2023-09-02 06:55:13
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

Hör’ auf mit + 3格:mit +3格 aufhören の命令形。「3格 するのをやめろ」 Gram:男性名詞。「深い哀しみ」 zu spielen:「弄ぶこと」 Der:関係代名詞。以下はGram を修飾する wie:接続詞。「〜のように」 Geyer = Geier:男性名詞。「ハゲタカ」 frißt<fressen:「むさぼり食う」

2023-09-02 06:56:37
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

中の人「さて状況は?」 独語独文「メフィストがファウストに契約締結を迫る場面ですね」 中の人「Gram という単語だが。昔これを調べた時『どう使うんだよ』と思った」 独語独文「使う機会がないものをなぜお調べに?」 中の人「某宇宙戦争モノの主人公の姓がローエングラムと言ってだな・・・」

2023-09-02 06:56:38
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

#本日のドイツ語表現 Ich weiß nicht, was soll es bedeuten, Daß ich so traurig bin; - Die Heimkehr II, Buch der Lieder von Heinrich Heine なじかは知らねど 心わびて ―「帰郷」二番歌。ハインリッヒ・ハイネ『歌の本』より。近藤朔風訳 一般に「ローレライ」として知られている詩です。

2023-09-03 06:24:10
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

weiß < wissen:「知っている、知覚している」 was:不定関係代名詞。「(続く文の)こと」と捉える soll<sollen:話法の助動詞。「する/あるべき」 bedeuten:動詞。「意味する」 daß = dass so:「このように」 traurig:「悲しい」

2023-09-03 06:24:11
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

中の人「昔ドイツについて書かれた本を読んでたら『ドイツ人というのは時として理由もなくメランコリックになる』とドイツ人が語っている場面がでてきたが」 独語独文「この詩はそんな感じでしょうね。しかしジルヒャーが作曲した曲からはそれ以上のものが拾えます。憂鬱さだけではありません」

2023-09-03 06:24:12
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

Doppelgänger:男性名詞。「ドッペルゲンガー(本人にそっくりな姿で現れるという怪奇現象)」 bleicher < bleich:形容詞。「蒼白な」 Geselle:男性名詞。「若者、仲間」 was:疑問詞。「何を」

2023-09-04 07:50:09
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

äffst 〜 nach < nachäffen:「ものまね/猿真似をする」 Liebesleid:中性名詞。「愛の悲しみ」 das:関係代名詞。以下は Liebesleid を修飾する mich gequält < sich quälen の過去分詞。対象は話者。「私を苦しませる」 auf dieser Stelle:「その場所で」。Stille は女性名詞「場所」。

2023-09-04 07:50:10
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

#本日のドイツ語表現 Du Doppelgänger! du bleicher Geselle! Was äffst du nach mein Liebesleid, Das mich gequält auf dieser Stelle, So manche Nacht, in alter Zeit? - Die Heimkeher XX, Buch der Lieder von Heinrich Heine 長いので訳文は次のポストで。

2023-09-04 08:04:44
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

汝、我が現身よ。青ざめた若人よ。 その場で我を苦しめた古き我が悲恋を、そのように時折真似て、何を為そうというのか。 ―ハインリッヒ・ハイネ『歌の本』より「帰郷 第二十番歌」

2023-09-04 08:04:45
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

Doppelgänger:男性名詞。「ドッペルゲンガー(本人にそっくりな姿で現れるという怪奇現象)」 bleicher < bleich:形容詞。「蒼白な」 Geselle:男性名詞。「若者、仲間」 was:疑問詞。「何を」 äffst 〜 nach < nachäffen:「ものまね/猿真似をする」 Liebesleid:中性名詞。「愛の悲しみ」

2023-09-04 08:04:46
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

das:関係代名詞。以下はLiebesleid を修飾する mich gequält < sich quälen の過去分詞。対象は話者。「私を苦しませる」 auf dieser Stelle:「その場所で」。Stille は女性名詞「場所」。

2023-09-04 08:04:47
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

so:副詞。「そのように」 manche:不定代名詞。「たびたび/時折」 Nacht:女性名詞。「夜」 in alter Zeit:「昔のこと」。in は前置詞。alter < alt:形容詞。「古い」。Zeit:女性名詞。「時、時間、時代」

2023-09-04 08:04:48
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

中の人「こりゃ某召喚ゲーの第二弾のオープニングに出てくる詩だな」 独語独文「四半世紀近く前のネタなんて覚えてる人は少ないですよ」 中の人「リメイクでも干支一回り以上昔か。有名な遠山一行の訳文を使わなかった理由は?」 独語独文「訳文の著作権が切れていないと判断したためです」

2023-09-04 08:04:49
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

独語独文「しかし普通はこの詩といえばシューベルトの白鳥の歌として引用を出すのに、あなたはゲームから引用するんですね」 中の人「しかたなかろう。俺に音楽的な素養はない。俺の音痴さ加減はお前がよく知ってるだろうが」

2023-09-04 08:04:50
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

#本日のドイツ語表現 „Entbehren sollst du! sollst Entbehren!“ - Johann Wolfgang von Goethe, Faust I 「困苦に堪えよ、欠乏をしのべ」(相良守峯訳) - ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 『ファウスト 第一部』より。 今日もファウストですが、今回はドイツ文学に止まらないお話です。

2023-09-05 06:21:15
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

この台詞は、『ファウスト 第一部』の1550行目付近に出てきます。まず文法を見たあとで内容の解説に入りましょう。 entbehren:「欠けている」 sollst:助動詞 sollen の二人称親称に対応する形。「〜すべきである」 du:二人称親称。「君/お前」

2023-09-05 06:21:16
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

語順について。本来なら „Du sollst entbehren!“ となるはずです。 私見ですが、これは前半は entbehren という動詞の強調、後半は命令形となっているため倒置していると思います。 また、文脈よりduは一緒に部屋にいるメフィストに対してではなく、ファウストは自分に言い聞かせる形を取っているかと

2023-09-05 06:21:17
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

さて、文学への影響です。 ロシアの作家に、イワン・ツルゲーネフという方がいます。『初恋』、『片恋』、『猟人日記』などを書いた人ですね。 中の人が高校生の時は、この『猟人日記』の翻訳が現国の教科書に載っていたりしました。 そのツルゲーネフになんと『ファウスト』という作品があります。

2023-09-05 06:21:17
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

作品自体は、「ああ、ゲーテの『ファウスト』と『若きウェルテルの悩み(Die Leiden des jungen Werthers)へのオマージュか!」という形を取っています。 療養のため故郷に帰った青年が、ある人妻に恋をしてしまい、それを友人に手紙で報告していく、という形をとっています。

2023-09-05 06:21:18
ドイツ語学ドイツ文学たん @germanist_tan

この作品にはサブタイトルがついており、それが Entbehren sollst du, sollst entbehren であったりします。 entbehren には vermissen と同じ意味がありますので、「ある人がいなくて寂しく思わねばならない」という文脈にもなります。 なんでこのサブタイトルなのかは、お終いまで読めばわかります。

2023-09-05 06:21:19