高千穂遙氏の語る「月刊OUT」特別企画「高千穂遙vs富野喜幸」

高千穂遙氏の語る「月刊OUT」特別企画「高千穂遙vs富野喜幸」関連のポスト(ツイート)をまとめました。
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高千穂遙 @takachihoharuka

いまだにこういう方があらわれるので、もう何度も書いてきましたが、もう1回、あのことのいきさつを書いておきますね。ある日、OUTの大徳編集長から依頼がありました。「最近、SFが注目を浴びているけど、SFが何かがよくわかないという声もある。そのことについて、書いてもらえませんか」と。→ twitter.com/TV21274903/sta…

2023-10-17 12:28:16
田中TV @TV21274903

ガンダムはSFじゃないとか言った人いたような? twitter.com/takachihoharuk…

2023-10-17 12:06:01
高千穂遙 @takachihoharuka

「書きますが、切り口が重要ですね。わかりやすいように、人気の巨大ロボットアニメを軸にして語ってみるのはどうですか?」「いいですね。それにしましょう」で、書いたのが、「SFとはこういうものだと定義すると、あのガンダムでもそこから外れ、SFではなくなる」という一文です。大徳さんは、→

2023-10-17 12:32:24
高千穂遙 @takachihoharuka

「いいですね。わかりやすい」と言われ、掲載となりました。でも、そのあと「ガンダムはSFじゃないのか」という投書がたくさん編集部にきたんですね。困った大徳さんがぬえにきて「こんなふうに読まれるとは思っていなかった。どうしましょう?」と嘆かれ、「前提が飛んじゃうのは予想外でしたねえ」→

2023-10-17 12:35:15
高千穂遙 @takachihoharuka

という話になり、「とりあえず、富野さんと高千穂さんとの対談を載せましょう。それで誤解も解けるんじゃないんですか?」と大徳さんが提案され、富野さんと対談しました。いきさつは、以上です。地球重力下での巨大ロボットに対する視点は、ハインラインの「宇宙の戦士」に対して、異を唱え、→

2023-10-17 12:42:05
高千穂遙 @takachihoharuka

「宇宙兵ブルース」を書いたハリー・ハリスンの見解を参考にしました。パワードスーツは巨大ロボットより小さく、重量も軽いので、ハリスンは沼地という設定で、その弱点を指摘しています。巨大ロボットは大好きですが、あれは巨大ロボットが成立する前提での作品というスタンスは変わっていません。→

2023-10-17 12:46:48
高千穂遙 @takachihoharuka

ちなみに、当時のSF作家で、あの一文を読んだ方は、ほとんどおられません。ただひとり、平井和正さんが読まれ、「きみは、小説よりもああいった評論のほうが文章が上品だね」という、返答に窮した感想をいただきました。反応は、それだけです。

2023-10-17 12:49:09
高千穂遙 @takachihoharuka

大徳さん、本当に困っておられました。当時はSNSなどがなかったので、わたしに直接言ってきた人はほとんどいなかったですね。いまは、又聞きの又聞きの又聞き世代になってきているので、さらに歪んでいるみたいです。 twitter.com/palhta/status/…

2023-10-17 12:53:29
toshiharu kainuma @palhta

@takachihoharuka お疲れ様です まさか半世紀近くも前の話しに 説明しなければならないとは 当時は思いもしなかったでしょうね😅

2023-10-17 12:50:11
高千穂遙 @takachihoharuka

定義は人それぞれなので、結論もそれに従って変化します。あれはOUTの要請で「SFとは何か」を、あの切り口で説明するために用いましたが、定義の違う方が書いたら、またべつのSF観が展開されるだろうと思います。 twitter.com/unyanyako/stat…

2023-10-17 13:23:07
うにゃ子 @unyanyako

高千穂さんがそう言うた、という話は聞いていて、どういうことなんかなあ、とずっと思っていたので、御本人の口からわかりやすくそれは誤解、誤った解釈とのお話が聞けてたいへんよかった。 SFを定義したら、その定義はきっと完璧なものではないので、大事ななにかが漏れてしまうのですよ。うむうむ。 twitter.com/takachihoharuk…

2023-10-17 13:19:33
高千穂遙 @takachihoharuka

ついでに「マクロス」SFでないの件も書いておきます。あれはマジにわたしは無関係です。河森くんがわたしのとこにきて「マクロスつくりましたが、あれはSFじゃないのでよろしく。歴代アニメでいちばんでかい巨大ロボットものをつくりたかっただけです」と言い、わたしが「へえ」と答えただけなので。

2023-10-17 13:34:18
高千穂遙 @takachihoharuka

安彦さんに「富野さんはガンダムを2001年宇宙の旅を目標にしていると言ってたんだよね」という話を聞いたときは、さすがに驚きました。そうだとしたら、設定は科学から1ミリも踏み外せないので。宇宙空間では音を完全に消し、エアロックに戻って空気を戻したとたんに音が弾け飛ぶ2001年ですよ。→

2023-10-17 15:26:08
高千穂遙 @takachihoharuka

それを目指しても、ライターがいません。作画も演出も音響さんもついていけないです。そして、そもそも局がそんな作品を認めるはずがないです。本当にそうなっていたら、何が起きていたんでしょうね。想像できません。驚くほかなかったです。→

2023-10-17 15:30:28
高千穂遙 @takachihoharuka

そもそもあれだけやった2001年も、ミスはしているんですよね。有名なのはシャトルの中でのストロー、ジュースが落ちてしまっていて、それを指摘されています。でも、こういうのはどうしてもでちゃうんです。2001年を目指すというのは、それをひとつひとつつぶしていく作業になります。→

2023-10-17 15:32:45
高千穂遙 @takachihoharuka

ぬえはSFの会社なので、そういうとこ、理解できます。加藤くんが宇宙船内のシーンを挿絵で描き、それをデスク上に吊るしておいたら、通りかかった宮武くんがチラ見して「ロープが垂れさがっている」とつぶやいたんです。翌日見てみたら、その挿絵、描き直されていました。→

2023-10-17 15:35:27
高千穂遙 @takachihoharuka

そういう環境で仕事をしてきたわたしたちでも、2001年には挑戦できません。キューブリックはどうやって最後まで仕切ったんでしょうね。しかも、それに対して、まだまだおかしいところがあるとクレームをつけたクラークの容赦なさ。近寄りたくない現場です。(^^;

2023-10-17 15:37:52
高千穂遙 @takachihoharuka

そうそう。マクロスで、ゼントラーディの椅子とかコクピットを見て、相手は巨人族だから、戦うにはそれに見合ったサイズのロボットをつくらないといけないとした設定だったのを知り、なんだかんだ言っても、ぬえはぬえだなあと思った記憶があります。いま思いだしました。

2023-10-17 17:37:19
高千穂遙 @takachihoharuka

スペースコロニーはオニールの画集がもとで、それを参考にして、ぬえがまずGOROという雑誌で特集をしたんです。その特集やオニールの画集を松ちゃんがサンライズの人たちに見せたんじゃないかなあ。……あ、これだ。ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA… このあたりは松ちゃんに訊いてみないとわからないです。 twitter.com/spiritup2011/s…

2023-10-17 20:32:58
スピリットアップ @spiritup2011

それでも、無重力も真空も余り感じさせない宇宙戦艦ヤマトから、回転で擬似重力を生み出すスペースコロニーや隔壁が破れたら真空の宇宙空間に吸い出される機動戦士ガンダムは、当時の子供には画期的だったんだ。 twitter.com/takachihoharuk…

2023-10-17 20:26:21
高千穂遙 @takachihoharuka

富野さんもそうですが、根っからの映像作家は、まずすばらしい絵が頭に浮かぶんです。そのすばらしい絵をどうやってフィルムにしていくかが勝負になります。すると、その妨げになってくるのが考証なんです。すばらしい絵をスポイルすることがしばしばありますから。そこで葛藤が生じるんですよ。→ twitter.com/tfnsd220/statu…

2023-10-18 07:46:45
しんりぃ @tfnsd220

SFの科学考証って突き詰めていくほどエンタメ性から離れていくものだと思っていて、それをどこで妥協するかが作家の力量なのかな、と。 それを作り続けて楽しませていた作家の方々には敬意しかない。 そんなところに富野さんは挑んでたのか。 なんかいろんな意味で、さす富野と思ってしまった、 twitter.com/takachihoharuk…

2023-10-18 06:53:38
高千穂遙 @takachihoharuka

河森くんも、CJの映画で安彦さんのコンテに「もっとすごい絵にできる」と言ってきたんですよね。それで「どういう絵だ?」と訊いたら、「言葉にはできません。絵なら描けるし、コンテにもできますが」と言うので、「じゃあ、コンテにして持ってきて。よかったら、安彦さんに渡すから」となったの。→

2023-10-18 07:50:03
高千穂遙 @takachihoharuka

河森くんのコンテが届いたら、ほんとすごいのね。びっくりした。それで安彦さんに渡したんですが、「おもしろいけど、ここだけ他と演出が違いすぎて浮いてしまうから」と言われて没になった。ま、作品をトータルで統括する監督としては当然の判断ですね。ちょっと話がそれましたが、→

2023-10-18 07:54:34
高千穂遙 @takachihoharuka

すばらしい絵とは、そういうことです。この最初に思いついたすばらしい絵を優先するか、考証で整合性をととのえた構成を優先するか、映像作家の永遠の課題です。キューブリックがすごいのは、それを同時にやりきってしまったこと。2001年のすごさはそこにあります。たぶん世界に1本だけでしょう。→

2023-10-18 07:57:01
高千穂遙 @takachihoharuka

さらに話はそれますが、小説家は、世界のすべてを言葉で表現します。言葉だけで世界を構築するのが、小説家の仕事です。映像作家の正反対。小説家が映画の監督をやると、みな失敗します。言葉を入れすぎて、すばらしい絵が存在しません。考証は完璧にできるかもですが、映像作品としては失格ですね。

2023-10-18 08:06:48
高千穂遙 @takachihoharuka

追記。 わたしは思いつくすべてのシーンが必ず絵で浮かぶという人は、映像作家を目指してください。 すべてが文字で浮かび表現できるという人は小説家を目指してください。逆を選ぶと、しんどいことになりますよ。たぶん。

2023-10-18 08:10:29
高千穂遙 @takachihoharuka

実は「映像バイブル」という本を書こうと思って、プレゼン用に見出し一覧までつくったことがあるんです。でも、小説家だったので要点をおおむね文章にはできても、重要な「映像とは何か」の部分で限界にぶち当たり、挫折しました。いま現在、わたしが目指した内容に相当する映像本は存在してないです。 twitter.com/sir_altria_jp/…

2023-10-18 08:19:12