TVアニメけいおん!!ED曲「NO, Thank You!」の歌詞はなぜ「思い出なんていらない」のか、考えてみた。結論なんてないよ。

「おーもいで、なんー、ていーらなーいーよー」と歌っていたら、意味が知りたくなってきたので、考えてみました。
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料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

そんな感じはしないので、もう少しことばそのものにこだわってみよう。

2011-12-07 23:27:51
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「今」という抽象的なことばにたいして、わりと具体的な「思い出」や「約束」を対置させるからいけないのかもね。そこで、「思い出」と「約束」を対置させてみる。

2011-12-07 23:30:00
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

すると、「思い出」も「約束」もとりあえずは実現という次元ではかかわっていることばに見える。たとえば、

2011-12-07 23:31:35
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「思い出を忘れない」「約束を忘れない」の構文はとても似ているような気がする。

2011-12-07 23:32:28
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

具体的にイメージしてみると、KANONでたしかあゆあゆは、「私のこと、忘れないでね」とかいってそうな感じである。

2011-12-07 23:33:35
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

ここでは、まだ「過去」に到っていないにもかかわらず、あゆあゆは将来の祐一くんを想定し、その将来の彼があゆあゆという「思い出」を忘れないようにという「約束」をしてる。

2011-12-07 23:35:37
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「できごと」はとりあえず過去から未来にわたって普遍的にあるはずだ、にもかかわらず、「思い出」は写真や語りやことばや感覚によって(おそらく意味づけられて)「もの」のように定着する。

2011-12-07 23:41:22
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

この言い方あってるのかなー。専門に学んだことがなくて自信はないけど、「思い出」はおそらく、多様であったはずの過去のセカイを縮減して、あたかも一意にあったかのように、言説やストーリーとして事態を定着させる。

2011-12-07 23:44:47
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

同様に、「約束」も、ありうべき多様さをもった未来の事態を、あたかももとからそうであるかのように想像して一意に限定しようとする試み。「思い出」にしても「約束」にしても、じつは多様さを「あたかも一意に収束するかのように」想像するこころみでしかない。

2011-12-07 23:49:21
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

で、たしか大学入試の模試かなんかで、永井均の『転校生とブラック・ジャック』のチルチルミチルと青い鳥の話に、解釈学的と系譜学的な歴史学?の区別として同様の問題が語られていたような。

2011-12-07 23:52:46
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

ここで「記憶は後から作られたものであり、その記憶に基づく彼らの人生も虚構でありうる」といっている。 http://t.co/GdxPNlbj

2011-12-07 23:55:29
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「思い出」も「約束」も、覚える・忘れるという記憶にかかわるできごと?機能?である。

2011-12-07 23:56:52
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

ここで、もういちど「思い出」と「今」の対置を考えると、前者は体験が縮減される(思い出浸る…甘美な贅沢)のに対して、後者においてはたんに一意に縮減して体験することは難しい。難しい?

2011-12-08 00:23:07
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

そのような足場を据えて、「思い出なんていらないよ/だって"今"強く、深く愛してるから」という表現を吟味すると、ここでの「強さ、深さ」はたんに強度、程度の問題というよりは、そこにある体験の豊かさのようなものを指し示していると考えられる。

2011-12-08 00:30:26
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

同様に、「大人のような甘美な贅沢」と呼ばれる「思い出」という表現からは、この「強く、深く愛してる」という体験が単に「甘美さ」だけをたたえているわけではないことがわかる。あえて言明すると、まあ、「痛さ」や「苦しさ」のようなものが同居しているのだろう。

2011-12-08 00:34:42
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

それから、「約束欲しがる子どものような無邪気な脆弱/もうとっくに…卒業したの」については、「無邪気さ」「脆弱さ」「卒業する」という語彙から、未来の可能性を希望的に縮減して語る「約束」について、ひとつのあきらめを表明している、といった感じかな。

2011-12-08 00:51:15
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

それはいいとして、すると直前の「約束なんていらないよ/だって"今"以外誰も生きれないから」ということばが難しい。

2011-12-08 00:54:39
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

脇道だけどちょっとメモ。最初の「だって"今"強く、深く愛してるから」の「今」は、時をあらわす副詞としてとれると同時に、「愛してるから」の目的語としてもとれる。

2011-12-08 00:57:46
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

論理的には、「思い出なんていらないよ、だって"今"を強く、深く愛してるから」のほうがわかりやすいとは思うけどね。きめつけられないね。

2011-12-08 00:59:59
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

それに、そう考えると、「ではなにゆえ"今"を愛しているのか」という別の疑問が生じてしまう。つまり、「私たち」や「誰か」といった人称が入らないことになると、別の理解の経路が必要になってしまう。

2011-12-08 01:02:23
とらら @tora9900

@yaoki_dokidoki 曲全体の詩の背景として「卒業」があるかなと思います。いろんな人との別れとか、その場所を離れるにあたり、まだその場所にとどまっていたいっていう気持ちが全体として現れてるように思います。

2011-12-08 01:05:07
とらら @tora9900

歌詞っていうのは読みすぎると逆に見えなくなるから困る。一度、ひとつの語彙に惑わされて見当違いな見解を出したことがある。

2011-12-08 01:05:51
とらら @tora9900

その曲が作られた背景とかそういうのを知ったときに、間違いに気づき、結局現在でも解が得られてない。そういう場合は後回し。「心配ないぜ 時は無常なほどにすべてを」って違うかww

2011-12-08 01:06:55
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

@tora9900 ありがとうございます。けいおん!二期はまだ四話まで視聴したところなんですよね。この曲には、卒業の感覚が強くあるんですね?

2011-12-08 01:07:01