日本の不登校概念の歴史的変遷について~decostatwさんによる

@decostatwさんによる不登校概念の歴史的変遷に関する連続ツイート ●関連 ひきこもり支援と発達障害の特性 http://togetter.com/li/229353
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decostatw @decostatw

これらの定義では「諸種疾患のため就学不能,親の無理解や貧困による不就学,非行などが原因になっている怠学を除く」とか,「病気療養,経済的理由で登校できないものとか就学している生徒を除く」といった条件が設定されていますが,不登校そのものは「学校に行かない現象」と広く捉えられています。

2011-12-09 13:05:45
decostatw @decostatw

不登校という概念は,登校拒否に内在されていた拒否的ニュアンスや,すくみ反応のような自感情的問題が取り除かれ,行動的・現象的なレベルに焦点を当てたものだと言えるでしょうね。滝川(2005)に至っては,「学校を休む理由や背景は基本的になんであってもよい」とまで言っています。

2011-12-09 13:08:10
decostatw @decostatw

こうしてみてみると,学校恐怖症から登校拒否へ,そして登校拒否から不登校へ,特定の病理的な状態像を示す概念から,より一般的で広範な概念に移り変わってきたことがよくわかります。

2011-12-09 13:08:41
decostatw @decostatw

こうした概念の拡張は,概念的な不明瞭さとトレードオフですね。不登校という用語を用いる時,なんらかの病理的背景を想定するという考えは,捨てておく必要があるでしょう。文科省のものはあくまで「30日以上~」という操作的定義なわけですから,そのうえで,個々の事情を検討する必要がある。

2011-12-09 13:09:50
decostatw @decostatw

では,もはや学校恐怖症や,登校拒否中核群といった特定の状態像を指す考え方は息絶えたのか,というと,そんなことはない。これらは,不登校概念の不明瞭さ故に乱立した,様々な「不登校の分類法」の中に生き続けることになったわけです。それはまた,別の話。ということで,おしまい。

2011-12-09 13:10:30
切り取り線 @kiri_tori

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2011-12-09 13:00:09
decostatw @decostatw

まとめた資料だけ見つかった。「昭和14年度東京市不就学児童の精神医学的調査」。1939年だから,結構古い資料。不登校っちゅうか,不就学やけどな。

2011-12-09 13:34:52
decostatw @decostatw

昭和12年のデータ。当時の新学齢期児童は13万人。そのうち不就学児童(不登校とは異なることに注意)は約2%程度とのこと。昭和12年度不就学児童のうち,診察を受けた物1156名が調査対象。

2011-12-09 13:37:45
decostatw @decostatw

診断別に見ると,「精神的所見」では「精神発育障害」が39.7%,「性格異常」が9.8%,「癇癪」が3,2%,「精神的に顕著なる障害を認めないもの」が51.7%。

2011-12-09 13:42:58
decostatw @decostatw

「身体的所見」では,「運動障害」が6.9%,「聴覚および言語障害」が7.2%,「視覚障害」が3.1%,「その他の疾病異常」が17.3%,「一般的身体発育不良および虚弱」が6.0%,「身体的に顕著な症状を認めないもの」が61.9%

2011-12-09 13:43:05
decostatw @decostatw

そして,「心身ともに顕著な症状を認めないもの」が33%。→約半数に精神的所見があり、そのうち8割が精神発育障害である。また、全児童の3分の1は心身ともに顕著な所見はなく、純粋に身体的理由のみを有するのは2割に満たない。この結果から,治療・保護を要する東京市児童は2万人以上と推定。

2011-12-09 13:44:40
decostatw @decostatw

就学猶予の理由が病弱,発育不全,貧困。就学免除の理由が癇癪,白痴,不具,貧困,とあった。顕著な症状を認めないもの,が33%居るということは,貧困の割合がそれだけ高かったっていうことなんかな。わからんけど。

2011-12-09 13:46:12