関羽千里行編【第六部】

三国志こばなし集 @omikanboy3594

劉巴…いきなり捕らわれたと思ったら助けられ、訳がわからない。 申耽…あの美髯、もしかして… 鄧芝…スタッフがおらんドッキリは単なる命の危機だからな！ 馬忠…死ぬかと思ったぞ… 李恢…むむむ… 孟優…故郷の仲間たちに裏切られショックを隠せない。 帯来洞主…姉貴と義兄貴を呼べないか…

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呂凱…永昌僻地のホテルを任され続けていた名物ホテルマン。糜竺も多忙すぎて気にかけていられなかったのだが、それならこんな所にホテルを建てるな！

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雍闓…益州南部僻地の密猟者頭目。劉巴を目の敵にしていたが、チクリ魔にチクられお陀仏。 鄂煥…天晴れな噛ませ犬。 朱褒…ペイの相手にならないと知るや自裁した苛烈な男。高定との関係を知る者もいなくなってしまった。 高定…自分たちを害した者らへの報いを常とする謎の猟師。

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華佗「…おやおや。怪我人たちが随分とおるではないか」 呂凱「…」 劉巴「…あなたは？」 華「華佗といえば、聞いた事は？」 鄧芝「なんと！」 馬忠「神医で有名な、あの!?」 李恢「何という幸運だ！」 華「…天晴れなガヤ芸だな、あんた方」 鄧「わしは鄧芝！」 馬「馬忠！」 李「李恢！」

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呉普「しばらくガヤは我慢してくれよ」 樊阿「彼らの治療に専念しなければならない」 鄧「あい分かった！」 華「…呂凱殿には当面水と栄養剤だな」 呂「ありがたい…」 呉「いきなり食わせたら死んじまうほど飢えてんじゃねか…」

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呂「…飢えて死ぬなら、宝を守りきれずに生き延びるより遥かに良かったのでな」 申「あなたの宝とは？」 呂「家宝の春秋さ」 長「なに！春秋だと!?」 呂「…呂氏春秋という我が家に伝わる家宝がある」 長「なんと…左伝以外の春秋が…」 呂「…あんたらになら、託していいかもしれない」

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ペ「シュンジュウってなんや？」 周「知ってますか廖化さん？」 廖「なんかを躊躇うことじゃねえか？」 ペ「そりゃシュンジュンやな！」 周「へえ！」 廖「何で知ってんの？」 長「あとで貴様ら三人に、左伝の素晴らしさを得々と説いてくれよう」 周・ペ・廖「げえっ！」

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申「突入される時、糜竺殿のご友人と言われていましたが？」 長「然り。元は我ら二人をヒマラヤから助けるべく、糜竺や本土の仲間たちが死力を尽くしてくれている渦中でな」 申「なんだって!?」 長「どうされた？」 申「早く！早く龐義先生を成都まで助けに行ってください！」

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長「龐義とな？」 申「龐統先生の偽名です！」 長「なんと!?」 廖「…長生殿」 周「いよいよ繋がってきましたね！」 長「案じなさるな申耽殿！我ら一同龐統先生らを始めとした皆に、ここまで助けられた恩を返すべく帰ってきたのだから！」 申「…やっぱあんたはすごいですよ、龐義先生」

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長「申耽殿のお役目は？」 申「龐統先生のお供で妖怪退治に行くはずだったんですが…」 ペ「ヨウカイって？」 廖「もしかして、孟達ですか？」 申「そこに辿り着く前に、大変なことになりましてな…」 長「我ら宛に妖怪退治の手紙を書いた者はもしや…」 申「この字は龐義先生だ！」

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長「よく分かったぞ申耽殿！あなたと生きて会う事ができて本当に良かった！」 申「わっ！」 樊「粥が出来上がりましたよ！」 長「廖化！命の塩をふんだんにな！」 廖「もちろんです！」

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長「…呂凱殿の食事はまだなのだな？」 呉「ああ…ここで食わせちまったら身体がびっくりして死んじまうほど、弱らせられている…」 呂「…なんの。もう死ぬ気はしないよ」 長「では念の為、あなたの水に我ら自慢の命の塩をひとつまみ」 呂「ありがたい…」

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劉巴「…」 華「…あんたは随分と腹を蹴られたのだな？」 劉「…これで死んだ親友に少しは近づけたってものでしてね」 鄧「気持ちは分からなくもないが、感心せんからな、劉巴殿」 劉「…ほっといてください」 長「劉巴殿。あなたの水にも我らの塩を」 劉「結構です」 長「…そう言わず」

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劉「申し訳ない！今の私にその資格はないので！」 長「…」 鄧「すまぬな長生殿。いささか我ら全員も訳ありすぎたのだよ」 馬「…でもこんな奇跡があるんだな」 李「全くですよ」

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鄧「あなた方七名で、ここのならず者を討たれたのかな？」 ペ「オレがヒトリ」 周「…俺も一人」 長「なに!?周元紹が？」 周「どさくさで討ったのが将らしかったんで…」 樊「…」 周(樊阿殿が内緒にしてくれって顔してるからな)

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ペ「オレのテキじゃなかったんだけどよ…」 周「どうした？」 ペ「ジガイしやがった」 廖「ええ…」 ペ「コウテイにムクいをとかなんとかほざきながら」 長「皇帝、ではないな？」 孟優「高定のことじゃねえか！」 帯来洞主「違いねえ！」 ペ「ちょいオレらのウったヤロウチェックしてくんねえかい？」

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孟「分かった！」 周「…お願いします」 帯「二人が討ったのは、雍闓と朱褒でしたぜ！」 長「ご存知ないかな、呂凱殿？」 呂「あいにく私は雍闓しか知らないままだった」 劉「…」 長「見張りや部下という部下は私が蹴散らしたが」 申「我らを拉致した鄂煥を討ったのは？」

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長「青龍刀で討った者なら私だ」 劉「…なるほど。大した膂力ですね」 孟「…故郷のあいつらが、俺らを裏切ったってのかな」 帯「あんま考えたくねえんだけど」 鄧「そうだな」 廖「あの…鄧芝殿たち三人って、芸人さんですよね？」 馬「やっと気付かれた！」 李「俺はまだしも二人は全国区だから！」

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ペ「なんでゲイニンさんがとっツカまっとるん？」 鄧「よし！ようやく我らと申耽殿と劉巴殿の話す番だな！」 申「…すごくすごく、長くなるんですけど」 長「まだまだ夜は長い。ゆっくり話してくれ」

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長「ヒマラヤの道作りを意図した者が龐統先生と申耽殿で、霍峻らの顔役たちを巧みに巻き込んでいたのか」 廖「そして俺が皆と合流した後で、漢中の道が封鎖されただって…」 申「しかし急遽益州入りする事になり、龐義先生の想定よりも劉範の方が上手でして…」 長「…」

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申「龐義先生の勇足で私と劉巴殿のヒマラヤ行きの車に爆弾を仕掛けられた中、たまたまこの三名のヒッチハイクに行き当たって…」 鄧「大爆発から彼らを救助したのだ！」 李「結果的にね！」 劉「…今となってはあの程度の事が瑣末に思えてきたよ」

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長「そしてあなた方が南方へ旅した道中、芸人仲間たちの故郷に運良く辿り着いたと思ったら…」 孟「故郷の仲間が俺ら七人を裏切って賊に引き渡しやがったんだ！」 帯「何だってんだよ！畜生！」 鄧「劉巴殿が白象の密猟に勘づいてから、奴ら怪しくなりおってな」

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劉「…義憤に駆られて私の身分を明かすのが早すぎたかもしれません」 馬「あの時なら仕方ないさ」 呂「…密猟者だと？」 劉「私はかつて益州の野生動物保護官リーダーだったのです、呂凱殿」 呂(♪〜) 劉「ん？」 華「口笛を吹かれたのかな？」 呂「…さすが華佗先生は鋭い」

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猿「！！」 周「わっ！」 ペ「おサルや！」 呂「王伉！」 王伉「！」 呂「…お前の首尾はどうだったんだ？」 王「✖︎！」 呂「やれやれ…」 廖「…あなた、猿と喋れるんですか？」 呂「我が家がずっと飼い続けている猿一族でな」 王「！」 呂「王伉だ。仲良くしてやってくれ」