岩本先生に日銀の国庫納付金について聞いてみた

巷で通貨発行益と噂される国庫納付金について 岩本先生に聞いてみました。
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岩本康志 @iwmtyss

@RaymondInoue 国債買いオペしているだけでは,政府支出を通貨発行益で賄おうとしていません。つまり無税国家を目指していないわけですから,無税国家は存在しない,という言明とは何ら矛盾はない。バーナンキの背理法とは無関係な議論です。

2010-05-20 20:23:34
牙 龍一:脱財政再建!(ワクチン接種完了) @kiba_r

恐縮ですが1度聞いてみたかったのですが、日銀が国債を引き受けそのまま満期となると利息分が日銀国庫納付金として国庫に入ると思うのですが、これは通貨発行益とはならないのでしょうか? QT @iwmtyss: 国債買いオペしているだけでは,政府支出を通貨発行益で賄おうとしていません。

2010-05-21 01:31:04
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 現実の会計の数値としては,それは通貨発行益に計上されます。しかし,政策を理論的に考えるときには,中央銀行は短期債を保有しているものとして,短期金利で考えます。前者は納得いただけると思いますが,後者は少しややこしい。(続く)

2010-05-21 10:39:03
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 将来の金利が完全に予見できて,国債の信用力が満期によって差がなければ,長期国債を保有し続けるか,短期国債を順に乗り換えていくか,の選択には裁定が働いて,両者の実際の利回りは違いがなくなるはずです。つまり,短期債と長期債は完全代替な資産になります。(続く)

2010-05-21 10:41:02
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r このときは,中央銀行の資産の総額が同じもとで,その構成がどうであれ,中央銀行の資産運用所得に違いはありません。民間が保有する残りの国債の運用所得も変化ないので,中央銀行の資産構成は,経済に中立的です。(続く)

2010-05-21 10:41:36
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r これは,公開市場操作のModigliani-Miller定理とWallace(1981 AER)で呼ばれたものです。(続く)

2010-05-21 10:42:55
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 現実の世界はいろいろな摩擦で,長期債の利回りが高いという期間プレミアムが発生します。しかし,この期間プレミアム分で政府支出を全部まかなおう,というのは金額的に無理な話なので,バーナンキの背理法には持ち出さなくていい話です。(続く)

2010-05-21 10:43:42
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 満期保有が確実でない(引き締めするとしたら売るかもしれない)債券は,長期債で保有すると金利変動リスクがあので,そのリスクを負ってまで,期間プレミアム分の所得を稼ごうというのは,中央銀行の行動としては否定されます。(続く)

2010-05-21 10:44:58
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 通貨発行益が着目しているのは,貨幣保有の機会費用(短期金利)を政府が徴収している部分です。中央銀行がマネタリーベースを一時的に拡大する場合は,拡大した期間の保有短期国債の利子が通貨発行益に相当します。(続く)

2010-05-21 10:45:45
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r だから,ゼロ金利の期間だけの通貨拡大では,通貨発行益はゼロ。ゼロ金利を抜けた後も通貨の拡大が継続していれば,正の通貨発行益が生まれます。これは,ゼロ金利の期間だけ通貨を拡大しても経済に変化ない,という「流動性の罠」の議論と対応することになります。(以上)

2010-05-21 10:46:23
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 誤解を生むかもしれないので補足します。「現実の会計の数値としては,それは通貨発行益に計上されます」は,理論的な数字と実際の数字がずれることを指摘しただけものであり,何らかの会計基準で「通貨発行益」として表示されるということを意味したものではありません。

2010-05-21 11:03:31
牙 龍一:脱財政再建!(ワクチン接種完了) @kiba_r

ご回答ありがとうございました。前おき無くてすみません、今回は、会計上の話をしています。会計上、国の収入にカウントされるはずですよね? RT @iwmtyss: 誤解を生むかもしれないので補足します。「現実の会計の数値としては,それは通貨発行益に計上されます」

2010-05-21 11:55:59
牙 龍一:脱財政再建!(ワクチン接種完了) @kiba_r

長期金利が0になるってお考えなのでしょうか?金利が存在する限り、国債の引き受けをするほど会計上政府の収入が増えるのではないでしょうか? RT @iwmtyss: しかし,この期間プレミアム分で政府支出を全部まかなおう,というのは金額的に無理な話

2010-05-21 12:04:40
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 「今回は、会計上の話をしています」議論の詳細は把握していませんが,おそらく会計の話だけで終わるのではなく,金融政策の話につながるだろうと思って,長文を加えた次第です。そこから何を導きだすか注意してください。

2010-05-21 15:02:00
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 「金利が存在する限り、国債の引き受けをするほど会計上政府の収入が増えるのではないでしょうか」ここは定性的なことでなく,実際の数字の話です。数年でゼロ金利が解除されるとすれば,満期まで保有できる国債がどれだけか,とか数字が必要でしょう。

2010-05-21 15:05:49
牙 龍一:脱財政再建!(ワクチン接種完了) @kiba_r

回答ありがとうございます。引き締め(売りオペ)されなければ、金利が存在する限り、国債の引き受けをするほど会計上政府の収入が増えるって事ですね。これはインフレ期待を作りませんか?RT @iwmtyss: 数年でゼロ金利が解除されるとすれば

2010-05-21 15:18:08
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 「金利が存在する限り、国債の引き受けをするほど」現状で長期国債を買い,満期まで保有することをお考えですか? それだと,まず期間プレミアムの節約分はわずかだから,インフレ期待にはほとんど影響を与えないと思います。

2010-05-21 19:33:58
牙 龍一:脱財政再建!(ワクチン接種完了) @kiba_r

国債買いオペを増加して行くと、最終的に政府としては現状の年利払い20兆が節約できる事にはなりませんか?これが僅かとの事でしょうか? RT @iwmtyss:長期国債を買い,満期まで保有することをお考えですか?それだと,まず期間プレミアムの節約分はわずか

2010-05-21 19:46:29
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 「最終的に政府としては現状の年利払い20兆が節約できる事にはなりませんか?」話の流れからいって,日銀が国債を全額,満期まで保有することになりますが,それはあり得ないでしょう。(続く)

2010-05-21 19:53:25
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 現実的にそこまでオペできないでしょうが,そこは議論のために百歩譲って,かりに日銀が国債を全額,買えたとします。流動性の罠の状態では,マネタリーベースがそこまで膨らむことは可能でしょうが,ゼロ金利を解除するときには,相当売らないといけないでしょう。(続く)

2010-05-21 19:58:21
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 金利が上がれば長期国債価格は下がりますから,金利が上がったときに売った分は売却損が出ます。それも考慮に入れないといけません。

2010-05-21 20:02:00
牙 龍一:脱財政再建!(ワクチン接種完了) @kiba_r

20兆節約できる可能性があるわけですね。ただし金利が上がった時には注意ですね。納得しました。お忙しい中、ご回答ありがとうございました。 QT @iwmtyss: 日銀が国債を全額,買えたとします。流動性の罠の状態では,マネタリーベースがそこまで膨らむことは可能でしょう

2010-05-21 20:07:36
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r 「20兆節約できる可能性があるわけですね」例えば数字として,普通国債残高相当の600兆円のマネタリーベースをずっと維持しようという話ですから,少なくともマイルドインフレとは両立しないと予想されます。

2010-05-21 20:14:25
岩本康志 @iwmtyss

@kiba_r あと,長期金利には将来の短期金利の期待値と期間プレミアムの両方が含まれます。長期金利のすべてが期間プレミアムではないので,注意してください。

2010-05-21 20:32:34
牙 龍一:脱財政再建!(ワクチン接種完了) @kiba_r

ちなみに国債の利払いと言ったのは国債費20.6兆円の事このうち純粋な利払費は9.7兆円で、残り10.9兆円は債務償還費です。詳しくはこちら→ http://j.mp/8Zc91j http://j.mp/c1VSKP

2010-05-21 22:04:01