新しい楽器:16.ヴァイオリン

単著『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』(ナカニシヤ、2023年)(https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html)の宣伝を兼ねてはじめた「新しい楽器」という読み物です。
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nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

16.ヴァイオリン:あけましておめでとうございます。2024年も素晴らしい年になると思います。『サウンド・アートとは何か』のオンライン書店での在庫も復活したようですし、再開します。

2024-01-11 17:43:51
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

今日はヴァイオリンという楽器について。中川はクラシック音楽のことはあまり詳しくなく、「ヴィオロン」が「ヴァイオリン」であることもさっき知ったくらいです。|ja.m.wikipedia.org/wiki/ヴァイオリン

2024-01-11 17:43:52
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

僕が馴染みのあるのはこの店です。木屋町三条上がって東。「ヴィオロン」って名前のお店は全国にいっぱいあるんですね。| facebook.com/violonkyoto/

2024-01-11 17:43:53
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

ヴァイオリンって、書生節とかヴァイオリン演歌でも使われますね。ヴァイオリンって「簡単」なのかな? それとも昭和初頭には「身近な楽器」だったのかな? 他に選択肢が無かったのか? 分かりませんが。 |youtu.be/uyJndYYpdnI 桜井敏雄「舟頭小唄」「東京節」

2024-01-11 17:43:54
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

ともあれ、昭和初頭までの演歌にも、クラシックのコンサートにも、ふだんあまり触れないので、中川は、ヴァイオリンが使われている音楽に普段はあまり触れません。

2024-01-11 17:43:55
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

とはいえ、たまには見る機会があります。2023年は見てないかもしれないけど、2022年には横浜で《浜辺のアインシュタイン》の再演で見かけました。オーケストラは脇役として舞台の手前下に隠れてました。|浜辺のアインシュタイン | 神奈川県民ホール kanagawa-kenminhall.com/einstein

2024-01-11 17:43:55
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

これ、すごかったです。延々と続く圧倒的な退屈さが、まったく本当にすごかった。「舞台の素晴らしさ」とかは感じなかったけど、《浜辺のアインシュタイン》という作品ではなく、「《浜辺のアインシュタイン》という作品を2020年代の日本で再演すること」はとても意義ある仕事だったと思います。

2024-01-11 17:43:56
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

あの圧倒的な(語の全き意味において)退屈な「オペラ」を、学生は格安の2000円で体験させてあげるというのは、本当に素晴らしい。皮肉とか言いたいわけではないのだけど、たぶん失礼に聞こえる褒め方しか思いつかないので、この話はここまで。

2024-01-11 17:43:57
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

その前は、東京芸大でリゲティという作曲家の作品の演奏会があり、そこで見ました。|藝大21 創造の杜 2022 作曲家 ジェルジュ・リゲティ vol.2 pac.geidai.ac.jp/post/souzou2022

2024-01-11 17:43:58
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

中川のお目当ては100台のメトロノームを鳴らす作品(100台のメトロノームのための《ポエム・サンフォニック》Poème Symphonique für 100 Metronome (1962))だったのですが、他の曲は、舞台上で指揮者がオーケストラを指揮して演奏するちゃんとしたゲンダイオンガクでした。

2024-01-11 17:43:58
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

ポエム・サンフォニックは、こんな感じのものです。東京芸大の演奏会では「他の曲の間の息抜き」みたいな感じで、舞台上にもっとバラバラに、様々なタイプのメトロノームが置かれていました。|György Ligeti - Poema sinfónico para 100 Metrónomos - YouTube youtube.com/watch?v=QCp7bL…

2024-01-11 17:43:59
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

また、もちろんのことですが、リゲティのゲンダイオンガクの作品を生で体験する機会は、それはそれで、そちらも圧倒的に面白かったです。

2024-01-11 17:44:00
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

とはいえリゲティ作品の面白さとは別に、そこで印象深かったのは、演奏者がみなさんかなり儀式的な行動をすることでした。第一ヴァイオリンの人が指揮者をお出迎えしてお見送りしたりとか、指揮者は最後に登場するとか。慣れてたら当たり前なんでしょうけど、僕は慣れていないので興味深かったです。

2024-01-11 17:44:01
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

なんというか、舞台上の人間たちの権力関係を如実に可視化するパフォーマンスとして興味深かったです。高校生ラップ選手権のフリースタイルでラッパーたちが戦った後にコメントする審査員たちとか。M1も、審査員のコメント芸を見せるものでもありますしね。

2024-01-11 17:44:01
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

ヒップホップ界って40代後半とか50代とかになるともう「レジェンド」になる人がいたりするので、そこら辺はクラシック音楽界とは違うかもしれないけど。まあ、クラシック音楽界もヒップホップ界も漫才界も、どれも僕には縁遠い世界ですが。| youtu.be/GVZhGPMP_to 第17回高校生RAP選手権1回戦

2024-01-11 17:44:02
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

話が逸れました。とにかく、ヴァイオリンはどうやらクラシック音楽界のヒエラルキーのなかでは指揮者の下だけど他の楽器のなかでは一番上のようだ、ということを言いたかったわけです。

2024-01-11 17:44:03
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

そして、(今でもそうなのかは知りませんが)どうやら1960年代にはそういうヒエラルキー的なものに対して反発する動きがあった、という話をしたいと思います(とはいえ、クラシック業界内部で権力闘争があった、という話ではありません)。

2024-01-11 17:44:04
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

まず紹介したいのはこちら。ヴァイオリンとか楽器を愛する方には不快な動画なのでご注意ください。後にヴィデオ・アートを作り始めるナムジュンパイクのフルクサス時代の作品One for Violin Solo (1962)です。| youtube.com/watch?v=J41s_V… unprotected music: Nam June Paik - "Solo for Violin"

2024-01-11 17:44:05
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

こちらは数年前に実験音楽とシアターのためのアンサンブルがやったバージョンです。これはあまり技術を必要としない作品ですが、あんまり上手く割れてないようにも見えますね。| youtube.com/watch?v=XGTPpv… Nam June Paik- One for Violin Solo (1962)

2024-01-11 17:44:05
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

演奏者は「新・方法」の馬場省吾ですね。彼はこの後、中川を指導教員として、横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院で、刀根康尚について研究しました。良い仕事をしたと思います。|横浜国立大学学術情報リポジトリ ynu.repo.nii.ac.jp/search?page=1&…

2024-01-11 17:44:06
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

ヴァイオリンの作品に話を戻します。ナムジュンパイクはこういうことを他にもしています。「こういうこと」というのは、つまり、西洋芸術音楽の代表的で権威的な楽器としてのヴァイオリンをバカにする作品、です。

2024-01-11 17:44:07
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

例えばこちらヴァイオリンを散歩させる作品です。動画は見つけられませんでした。| Nam June Paik performing “Violin with String” (1961) at the Twelfth Annual New York Avant Garde Festival, New York, September 27, 1975 americanart.si.edu/artwork/nam-ju…

2024-01-11 17:44:08
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

こちら、ナムジュンパイクの死後に坂本龍一がカバーしたのですが、その動画はYouTubeなどにはなく、著作権者の(?)ワタリウム美術館が所持しています。ワタリウム美術館で見たのですが、坂本龍一さんが舞台上でヴァイオリンを散歩させていました。

2024-01-11 17:44:09
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

藤子・F・不二雄に石ころを散歩させるみたいなマンガがあったことも思い出しました。あれ、実際にあったんですね!|1970年代、ただの石ころをペットとして可愛がる「ペットロック」という遊びが一大ブームになっていた→様々な作品に影響を与えた説 - Togetter togetter.com/li/1676621

2024-01-11 17:44:09
nakagawa@『サウンド・アートとは何か』 @nakagawa09

ともあれ、こういう作品をいわゆるフルクサスの人たちはたくさん作っています。こちらはピアノをいじめる作品。演奏はソニック・ユース。|ジョージ・マチューナス《ピアノ・ピース第13番(カーペンターズ・ピース)》(1962) youtube.com/watch?v=5fWZL3…

2024-01-11 17:44:10