R6年2月28日、科学研究費助成事業(科研費)に関する説明会の感想

科研費の制度の改革が始まりそうです。私なりにまとめてみたので、間違いなどあればご指摘ください。
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Jun Yasuda @jyasuda1

今拝聴してますが、かなり大きな変革が令和7年度に起こることが説明されてます。 twitter.com/yodosha_grant/…

2024-02-28 15:32:17
羊土社 科研費獲得の方法とコツ @Yodosha_grant

ただいま日本学術振興会の「科学研究費助成事業(科研費)に関する説明会」が開催中です。事前登録なしにYouTubeにて聞くこともできます。 jsps.go.jp/j-grantsinaid/… x.com/Yodosha_grant/…

2024-02-28 14:47:09
Jun Yasuda @jyasuda1

さて、科研費採択がトレンドに入る中、昨日の説明会で私がポイントかな、と思った点について少し書いてみたいと思います。誤解や勘違いなどあるかと思います。できる限りソースを明記しながら紹介しますが、間違っていたら是非ご指導いただきたいです。一部の人にのみ関連する話題は取り上げません。

2024-02-29 15:00:38
Jun Yasuda @jyasuda1

小さい研究機関である私たちのところにとって大きな問題というのもありますことにご留意ください。

2024-02-29 15:01:26

研究インテグリティの管理とe-rad連携-所属機関の明確化や外為法輸出規制の強化

Jun Yasuda @jyasuda1

まず大きいと思ったのは資料3「科研費の適正な管理及び今後予定される制度改善等について」p5「研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の確保について」です。これまでは不正や利益相反が問題となっていましたが、加えて研究の国際化、オープン化への対応という観点が出来たことです。

2024-02-29 15:10:40
Jun Yasuda @jyasuda1

これまで科研費の申請用のサイトはe-radとはあまり明確に連携していませんでしたが、今後ははっきりと連携し、兼任の状況などもきちんと記載することが求められます。事務手続きも煩雑なようで、科研費サイトからe-radでの登録情報に加筆変更などできるようですが、連携には1時間程度必要だとか。

2024-02-29 15:13:29
Jun Yasuda @jyasuda1

もう一つは資料3p11の5.安全保障貿易管理の要件化について です。これは単に「私たちはバイオだから関係ない」とかではなく、研究機関が外為法の輸出規制について•担当部署等の決定・設置 •関係規程の策定 •学内研修等をする体制を整備しなければなりません。大きな大学では体制が(続く)

2024-02-29 15:18:17
Jun Yasuda @jyasuda1

ととのっているところもありますが、私共のようなところはほぼゼロです。また、大きな大学でも学内研修までは実施していないところの方が多いのではと思います。留学生との共同研究の中身まで管理というのはおおきな大学でもかなり負担増だと思います。

2024-02-29 15:20:39
Jun Yasuda @jyasuda1

資料3p13を見ると研究機関側が未整備でも「当該研究課題において、リスト規制対象貨物の輸出又は技術提供の予定があるか」で「ない」と答えれば研究は可能と解釈できそうです。しかし輸出規制の生物兵器の欄を見ると研究内容によっては心配な向きもあるかもです(特に病原微生物の研究など)。

2024-02-29 15:31:32
Jun Yasuda @jyasuda1

話題は変わり、同じ資料3のp14では分担金の送金がJSPSに変わる、という話があります。事務の負担は減りますが、分担金は支払い請求時に決めておく必要があります。

2024-02-29 15:33:03
Jun Yasuda @jyasuda1

その他、お子様を出張に帯同する場合の旅費などの負担についても考え方などが示されていました。資料3についてはここまで。

2024-02-29 15:35:34

オープンサイエンスの実現とそのために生じる研究者の負担増ー内閣府の方針

Jun Yasuda @jyasuda1

資料4は内閣府科学技術・イノベーション推進事務局からの「我が国のオープンサイエンス政策について」です。先ほども「研究インテグリティ」という耳慣れない単語がありましたが、このオープンサイエンスも今後の科学政策のキーワードです。

2024-02-29 15:37:00
Jun Yasuda @jyasuda1

オープンサイエンスというのは2つのポイントがあって、一つはわれわれ研究者が論文を書くために実験したり、観察した科学的データを国民の財産として広く利活用できる体制を整備するという政策を実施するということです。もう一つは学問的成果である論文を広く無料で公開することを目指すものです。

2024-02-29 15:39:36
Jun Yasuda @jyasuda1

我々が普段研究で用いているデータは他人に見せるためには相当な作業が必要で、ただイメージだけ見ても黒いシミだったり、何かの表でしかないのですが、それを広く利活用することを目的として公開リポジトリに入れ、検索可能にするという事のようです。今日、大学の先生ともちょっと話したの(続く)

2024-02-29 15:41:56
Jun Yasuda @jyasuda1

ですが、作業量が膨大となりとても実施は無理、という声が多いとか。私自身は経験がないのですが、Natureなどの一流雑誌が求めるような内容を普段の科研費の研究で実施するのは多くの研究者にはつらいのではないかと思います。(続く)

2024-02-29 15:45:11
Jun Yasuda @jyasuda1

しかし、資料4p2を見るとメモ書きまで「研究データ」として管理するように読み取れ、論文の図になるような決定的なデータは学術論文と同等の扱いで「即時に機関リポジトリ等の情報基盤*への掲載を義務づける」ように読み取れます。

2024-02-29 15:46:44
Jun Yasuda @jyasuda1

公的な研究予算を研究者に付与することで得られた研究データは公的なものであるという考え方は理解できるのですが、独創的な着想などはこうしたガチガチの管理にはなじまないようにも思います。さて、資料4p3にはこうしたオープンサイエンスをわが国で実施するための枠組みが説明されています。

2024-02-29 15:49:06
Jun Yasuda @jyasuda1

この図では各大学や研究機関が研究成果を登録管理するばかりではなく、国立情報学研究所の研究データ基盤システムに収載し、利活用を目指す仕組みが紹介されています。これまで実験ノートに(自分がわかるように)かいとけばいいや、というものを他人にわかるように記載する必要が出てきます。

2024-02-29 15:53:57
Jun Yasuda @jyasuda1

とはいえ当面は(これも聞きなれないと思いますが)メタデータを管理することが目標のようです。メタデータとは「どういう情報があって、どんな名前でどこにあるか」といった内容を検索可能にするためのデータで、例えばXX細胞のYYの条件でのRNA-seq、検体は何個、みたいなものですね。

2024-02-29 15:56:35
Jun Yasuda @jyasuda1

言い換えると今後の研究のスタイルは、このメタデータをまず作ってからデータ取得を開始するような形にすると効率が上がるのではと思います。そもそも思い付きで実験しないほうがいいのですが、我々の研究スタイルに影響を及ぼす政策だと思います。

2024-02-29 15:57:57
Jun Yasuda @jyasuda1

ここからオープンサイエンスのもう一つの柱である、学術論文の公開についてです。資料4p7「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針(令和6年2月16日統合イノベーション戦略推進会議決定)概要」では令和7年度新規公募分から学術論文等の即時オープンアクセスの実現とあります。

2024-02-29 16:04:23
Jun Yasuda @jyasuda1

このあとしばらく細かい情報が多いのですが、内閣府としては国を挙げて欧米の科学雑誌出版社と交渉し、公開にかかる費用を抑える努力(学術プラットフォーマーに対する大学を主体とする集団交渉の体制構築を支援)をするようです。

2024-02-29 16:07:33