演劇公演や美術館の公共性について

文化の「公共性」とはなにか。 本文から抜粋すると、以下のようなお話です。 ・公費が投入されていなくても公共性の高い舞台芸術はたくさんある ・「公共性の有無」と「アクセスの利便性」は別にして考えるべき 続きを読む
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fringe @fringejp

[blog]短すぎる公演日程や早すぎる開演時間の演劇は公共性がない http://t.co/kj6OEbmU

2011-12-25 19:56:56
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(1)fringeブログ「短すぎる公演日程や早すぎる開演時間の演劇は公共性がない」への異論 |短すぎる公演日程や早すぎる開演時間の演劇は公共性がない | fringe blog http://t.co/Qrh5r5lh @fringejpさんから

2011-12-26 06:56:56
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(2)先ずもって、「公共(public)」とは「私(plivate)」や「個(individual)」に対置された概念ですから、少なからず不特定多数の一般の観客(すなわち「社会」)に大して開かれて(いるハズの)公演に、その公演日数が短すぎたり開演時間が早すぎるからといって、

2011-12-26 06:57:43
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(3)「公共性がない」と断じるのは暴論だと思います。公共性が高い、低いという議論であればともかく。

2011-12-26 06:57:53
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(4)ですが、ここではより細かく、今回、僕が感じたこのブログエントリに対する違和感について少し丁寧に解きほぐしてみたいと思います。

2011-12-26 06:58:03
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(5)「演劇の公共性を考えたとき、その作品に容易にアクセス出来るかは重要な観点だと思う。」 先ず僕はここに、この論について、ちょっと違和感を感じます。ここだけを取り出して批判するのはブログ全体の荻野さんの主張から的外れになるかもしれませんが、

2011-12-26 06:58:19
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(6)しかし荻野さんの主張に反して、この論は、大都市生活者の利便性重視の生活スタイルに寄り添い過ぎているのでは? つまり、東京の生活スタイルに荻野さん自身、影響を受け過ぎているのでは、と思います。

2011-12-26 06:58:59
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(7)アクセスできないものは公共性がない、というのであれば納得もいくのですが、“容易に”アクセスできない、ものについてまで公共性がない、と断ずるのは、どうかと思います。

2011-12-26 06:59:06
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(8)東京や関西のような演劇公演の盛んな地域以外に住んでいる人はもちろん、それ以外の地域に住んでいる人でも、本当にそれを必要としている人は、優れた舞台芸術は、人は仕事を休んでも観に行きます。 それを自分の人生に必要としている人であれば。

2011-12-26 06:59:32
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(9)先にも書きましたが、話はずれますが、いずれにしても、先ず公共性という言葉を一義的に公費を投入することを是とするための盾に使うのはよろしくないのではないかと思います。

2011-12-26 07:00:14
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(10)その意味で、僕はオリザさんの、芸術も「これからは国際競争力だ」という理にも違和感を感じているのですが、これはまた別の機会に論じます。 ただ、日本の多くの演劇人が、公費で海外に行って、そこで勉強はしてくるけれども、結果としてそのまま海外を自分の活躍の場にしていかない、

2011-12-26 07:00:26
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(11)そこで稼ごうという気概がない、という問題意識は、これは別の人の論だけど、理解できるけれども。でもなんか、これ(オリザさんの理論)も、市場の論理に影響を受けすぎている気がします。

2011-12-26 07:00:37
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(12)話を元に戻しますが、“現代芸術”じゃなくなっちゃいますけど、奥三河の花祭りとか、その他のいろいろな地方に今も残されている伝統的なお神楽とか、公費が投入されていなくても公共性の高い舞台芸術はたくさんある。

2011-12-26 07:00:56
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(13)花祭りなんて、わざわざ都会に出て働いていた若者たちが地元に戻って参加していますし。まあ、これは芸術というよりか芸能というべきかもですけれども。

2011-12-26 07:01:10
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(14)あと能狂言とか数か月に一度しかしない公演もありますし、利賀村の様な場所であったり、あの場所は本当にアクセス悪いですから荻野さんの理論だと公共性がないことになってしまいます。でも世界中から名だたる演劇人が集まって世界でも稀有な、文化を醸成する「場所」になっていると思います。

2011-12-26 07:01:50
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(15)「公共性」を担保するべきはカンパニーか劇場(「場所」)か。という問題もありますが、それはちょっと脇に置きます。

2011-12-26 07:02:02
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(16)いずれにしても「公共性の有無」と「アクセスの利便性」は別にして考えるべきだと思います。

2011-12-26 07:02:34
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(17)論理をちょっと端折って書きますが、荻野さんの論理を推し進めると、全国どこでも一律に上質な公演が平易に観られるべき、となってしまいやしませんか?

2011-12-26 07:02:54
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(18)それこそ、悪しきグローバリズムとはいいませんが、全国どこに行ってもあるユニクロやスターバックスのような、あるいはどこの地方都市に行っても同じ景観しか見られない都市郊外の幹線道路沿線のような、全国一律の多様性なき文化が生まれてしまう気がします。

2011-12-26 07:03:05
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(19)もちろん、荻野さんが本当に危惧されているのは、演劇の公共性、というよりか、もっと具体的に、文化を享受する豊かさそのものにアクセスすること“すら”できない人が大勢いるという日本社会の環境のほうでしょう。

2011-12-26 07:03:19
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(20)日本には本当に、余暇の過ごし方はパチンコとカラオケ、というようなさびしい地方が沢山あります。東京だって、飲み会や合コンが余暇のすべてという人、よくてディズニーランドや映画館にデートに行くという人が少しいるくらい 

2011-12-26 07:03:46
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(21)もちろんそれらを一概に否定することはできませんが、そこに文化を享受する際の可能性、多様性の確保ができているか否かという社会問題はあると思います。

2011-12-26 07:03:52
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(22)という、つまり問題は演劇のアクセスの利便性ではなく、市民が否応なく置かれている状況/意識の方にこそ問題がある、ということだと思うのですが、如何でしょうか。

2011-12-26 07:04:11
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(23)そしてこの問題は、「短すぎる公演日程や早すぎる開演時間の演劇は公共性がない」という論理では打開できないと思うのです。

2011-12-26 07:04:23
矢野靖人 Yasuhito Yano @YasuhitoYANO

(24)あと、平日夜公演の開演時間等については、ナツイさんも書かれていましたけど、サービス残業があって当たり前のこの日本の就業状況のほうにこそ問題がある気がします。

2011-12-26 07:04:36