加藤忠史著『うつ病の脳科学―精神科医療の未来を切り拓く』
- nasaAsukai
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読書開始。つぶやきから知った本。カウンセリングを含めて古い心理学のいい加減な説明にうんざりしているので期待。 加藤忠史著『うつ病の脳科学―精神科医療の未来を切り拓く』(幻冬舎新書)http://amzn.to/ds3LOq
2010-05-23 10:31:53「脳の血流変化を引き起こし、セロトニン増加といった神経伝達物質の変化を、2週間以上も続けないと回復しない、脳の中に潜む病変。この「病変」こそ、うつ病を根本から治療するために、つかまえなければならないものなのだ。」
2010-05-23 11:02:58うつ病の神経可塑性仮説「うつ病では神経細胞の突起が萎縮していて、抗うつ薬によって突起が伸びると治る」 この10年で検証した研究はまだない。
2010-05-23 11:09:44「精神疾患は、DSMが作られた時点では、まだ原因が解明されておらず、病理学的な基盤のある「疾患(disease)」であると言えるだけの根拠がまだ見つかっていなかったため、より広い意味を持つ「disorder」という言葉が用いられたのである。」
2010-05-23 11:18:10「文部科学省の管轄下の、理化学研究所脳科学総合研究センター… 患者さんを対象とした臨床研究を行うには、病院が必要であるが、病院は、厚生労働相の管轄、という省庁の壁がある」
2010-05-23 11:29:27「動物実験などによる基礎脳科学研究を推進するところはあっても、うつ病患者さんの血液や脳を対象として原因究明を進めるような研究を推進する部署は、この国には存在しない」
2010-05-23 11:30:57「アルツハイマー病やパーキンソン病… 脳に異常が見つかった疾患は、現在では「神経疾患」と呼ばれている。… 脳のどこを見ても異常を見つけることができなかった疾患が、「精神疾患」と呼ばれている」
2010-05-23 11:41:35「精神疾患研究は、精神薬理学、脳画像、遺伝子、動物実験などの切り口から進められ… うつ病の一部は、「神経細胞の突起が萎縮する」「神経細胞が減る」といった、脳の「病変」を伴うものかも知れない、というところまでわかってきた。」
2010-05-23 11:43:54これ、必要! 「日本でもブレインバンクを作り、うつ病にかかったことがある方が天寿を全うされた時に、その脳を大切に保存し、病因解明に役立てることができるようにするシステムを整える必要性を強く感じている。」
2010-05-23 12:11:50「うつ病をめぐる諸問題の本当の原因は、精神科医の能力不足ではない。うつ病の原因がわかっていないことなのである。そしてそのうつ病の解明研究は今、基礎研究から人の脳の研究へと移行するべき時期に来ているが、さまざまな要因から立ち往生している。」
2010-05-23 12:14:11「「DSM診断基準」の特徴は、「原因(心理的葛藤、パーソナリティー)や、きっかけを問わないこと」、そして「とにかく何らかの診断に分類されること」である。」 症状そのものに注目
2010-05-23 12:24:28DSMの「「原因を問わず、症状に注目する」ことによって、診断は以前より安定するようになった」 しかし、医師が原因を聞く必要がないことが、薬物治療による効果以外のカウンセリング(心理)的な効果を失わせていますね。
2010-05-23 12:32:39産後うつ病「産後よりもむしろ妊娠中の方がうつ状態が多いこと、うつ状態の重症度や性質も、産前、産後で差がないこと、過去のうつ病の病歴が産後のうつ状態の危険因子であること、産後うつ病は、症状や経過などの点では、特に他のうつ病と違いがない」
2010-05-23 13:01:21DSM-IV以降15年改訂がないのは「いろいろな症状の人を、幅広く大うつ病に含める診断基準の方が、もっと進化した、厳密で細かい基準よりも、抗うつ薬を販売している製薬会社にとっては都合が良かったのではないだろうか。」
2010-05-23 13:07:37「双極性障害には遺伝子が関与する一方で、うつ病では遺伝子の関与が比較的小さく、むしろ環境因が関与することがわかってきた。」
2010-05-23 13:11:56「双極II型障害とうつ病との区別は非常に難しく、間違われやすい。本来なら双極性障害の人は、気分安定薬を飲まなければいけないのだが、そういったわけで抗うつ薬を処方されることがある。」
2010-05-23 13:20:12物質誘発性気分障害「うつ状態を引き起こす薬として、副腎皮質ステロイド剤、インターフェロンα(C型肝炎)、インターロイキン2(抗がん剤)…」
2010-05-23 13:23:13「「メランコリー型」は、うつ病の中では症状が重いため、新しいタイプの抗うつ薬(SSRI)が効きにくく、古いタイプの抗うつ薬(三環系抗うつ薬)が有効なタイプである。」
2010-05-23 13:47:48薬物療法「1.SSRIまたはSNRIを十分量、1ヶ月程度続ける 2.無効なら、三環系を含む、他の抗うつ薬に変更 3.リチウム、甲状腺ホルモン剤などによる増強療法 4.電気けいれん療法」
2010-05-23 13:50:38非定型うつ病、以前の講義ではパーソナリティの違いと理解してた。「モノアミン酸化酵素阻害薬に反応する患者の特徴として抽出された。… 三環系抗うつ薬の効果は期待できない… よく見られる症状が、「食欲増加と過眠」… (従来は)「不安障害」あるいは「パーソナリティー障害」として治療」
2010-05-23 14:00:00検討中の分類:「血管性うつ病」MRIの検査で脳梗塞の痕跡。「双極スペクトラム」現時点ではうつ病エピソードのみの双極性予備軍。
2010-05-23 14:06:31誤診の可能性「患者さんにご自分の症状を的確に話してもらうということは、非常に難しい。患者さんの話が、医師の診断の最大の情報源であるにもかかわらず」
2010-05-23 14:08:46賦活症候群(アクティベーションシンドローム):「抗うつ剤により悪化する事例」「その特徴として、不安、焦燥、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア、軽躁状態、躁状態」
2010-05-23 14:46:582009年発表のスウェーデンの統合失調症と双極性障害の家族研究から、両疾患に共通の遺伝的素因が存在することが確実となった。
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