『鐔の世界』備前長船刀剣博物館

令和6年3月から備前長船刀剣博物館にて開催の展示解説
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

美濃 秋草虫図 深く地を彫り下げ高低差の大きい技法が特徴 美濃で造られるが、古美濃と称される時代が上がるモノは京付近で作られたと云う説もある pic.twitter.com/G36tEum2dF

2024-03-30 14:08:06
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

京透 鉄地雲出八橋図 鉄地猿猴捕月図 鉄地桐紋繋図 鉄地桜花図 室町中期から幕末まで 京にて作られたと云う透かし鐔 pic.twitter.com/SnuWC9VIsV

2024-03-31 00:35:26
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

薄く卵形の鞘を使う為か京透の切羽台は細長く頭が尖り気味になると言われています。 繊細で雅な透かしが特徴です。 初めの2枚の鐔は室町時代で薄手の鐔地に絵画調の図を透かす。 小池日刀保岡山県支部長によると「古い京透は透かしが垂直ではなく、意図的にやや斜めになりそれにより、絵画に動きと奥行きが生まれている」との事です。 江戸期になると透かしも垂直になり正確で技巧的な透かしとなります。

2024-03-31 01:47:42
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

古萩 鉄地枝菊図 室町〜桃山時代 長門国萩地方で造られたとの伝承から名付けられる。 が、現在、萩で造られたとの確証はなく、 京透の一派と見られる pic.twitter.com/Jo9b72FJTT

2024-03-31 21:48:03
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時代が上がる京透と同じく薄手の鉄地に優美な透かしを入れる。 古萩はその透かしに肉彫りを加えているのが特徴 江戸後期、盛んであった長州鐔との関連性は無いとされる

2024-03-31 21:54:32
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

正阿弥 1、鉄地千鳥透(古正阿弥、重要刀装)室町 2、鉄地菊花透(京正阿弥)江戸初期 3、鉄地松皮菱麻葉紋様図(阿波正阿弥)江戸初期 同朋衆が起こり。京西陣辺りで作成され、全国に広がる。 pic.twitter.com/85q07hOnv7

2024-04-02 23:05:18
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1、甲冑師鐔に似た姿で鍛えの良い地鉄、土手耳に金の布目象嵌が施されている。 この布目象嵌が正阿弥の特徴とも言える。 2、繊細で正確な彫り透かしに、耳に布目象嵌 3、黄銅地に美麗な布目象嵌が施される。阿波正阿弥は京献上にも似て完成された美しさが好まれた様です。 京で起こった正阿弥は全国に広がり、作風も幅広くなり江戸中期以降は流派がよく分からなければ正阿弥と言われるほどです。

2024-04-02 23:25:15
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

平安城象嵌鐔 鉄地万朶花図(江戸初期) 応仁鐔の流れを汲む鉄地に黄銅の据紋象嵌をする この鐔は花の部分の華やかさを増すためか素銅も象嵌している。 平安城式象嵌とも pic.twitter.com/8x7Qo2j3e0

2024-04-03 01:34:34
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尾張鐔 鉄地柳飛燕図(室町) 鉄地細四ッ巴図(室町) 鉄地鐶分銅図(室町末期) 鉄地四方蕨手図(桃山) 尾張地方で造られたとされる pic.twitter.com/L3AhUG3Y00

2024-04-03 01:56:41
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京透かしに比べ武骨なデザインが多い。 切羽台が耳厚より低い中低(なかびく)になるのが大きな特徴で、 切羽台の形も尾張拵に合わし小判形の丸みを帯びたモノ 耳は角耳にわずかに肉がつき、鉄骨と呼ぶ凸が出る。 鉄味がよく黒紫色に艶がでて紫銹と呼び尊ばれる 透かしの面の取り方が工具による作為的なモノではなく、大雑把に仕上げたのち火に入れ表面をとろけさせたものと見られ、焼き手と呼ばれる 尾張地方で造られたとされたが、美濃なども含まれた広い範囲であるとされる

2024-04-03 02:12:53
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

金山鐔 鉄地環頭図(室町) 鉄地楔図(室町) 鉄地雪輪引手図(室町) 鉄地軍配図(室町) 尾張鐔と同じく、尾張美濃辺りで造られたとされる 「カナヤマ」の語源は不明、地名か金山神に因んだか pic.twitter.com/vveTloKXyx

2024-04-03 08:31:36
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鉄地富嶽図(室町末期) 鉄地松ニ梵鐘図(桃山) 角耳小肉で粒状塊状の鉄骨が激しく付くモノが多い。 小ぶりで、厚いモノが多い 尾張と違い、切羽台は有意に中低にはならない。 鉄味や表面の仕上がりは焼手で、尾張鐔に近い。 意味不明な図柄が多い。 (刀装具の図案名は後世の有識者が〇〇に見えると付けるので、作者の意図とは違う場合があるし、こじつけ?と思われるモノもある。また名付けられたのちに別の意味が判明する場合もある) 自分は手のひらに乗せた時の大きさと重さのバランスが非常に良く思う。手のひらで撫で回したい。 そういう意味でも愛好者が多いのではないだろうか。

2024-04-03 08:32:43
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山吉兵 鉄地車透図(桃山) 銘:山吉兵ヘ(初代) 初代山吉兵は織田信長の抱工で、甲冑など武具全般の鍛治であったとされ、清洲を本拠とする。 2台目からは名古屋に移住したと言われる。 尾張、金山に技法が似て焼手仕上げ、自分は鉄味がやや違うと感じる。 pic.twitter.com/blmZecIdCg

2024-04-03 08:35:06
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法安鐔 鉄地流水菊図(江戸初期) 銘: 紀州住法安(初代) 尾張出身で浅野家に仕え、それに従い紀伊国、そして安芸国に移住する。 鉄腐らかし(エッチング)の技法に優れ、それにより模様を浮かび上がらせる。 #備前長船刀剣博物館 pic.twitter.com/vOzg1piOHw

2024-04-03 11:45:38
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大野鐔 鉄地竹剣唐草図(江戸初期) 鉄地群鶴図(江戸中期) 尾張国知多郡大野村に江戸初期からいたと言われる一群 金山鐔や尾張鐔に似て鉄骨が出る pic.twitter.com/kmwyo47dUz

2024-04-04 02:07:12
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柳生鐔 鉄地水月図(江戸初期) 柳生連也斎が指導して尾張近在の鐔工に造らせたと伝承され 「柳生連也仕込鐔」という写本に三十六種の図案が伝わり、剣の真髄を表す図であると言われる。 やや小ぶりで厚みがある物が多く、焼手で仕上げられ線状の鉄骨が出るものが多い。 金山や山吉に似た鉄味になる。 pic.twitter.com/KWTQ3XbjdE

2024-04-04 02:08:34
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

金家 鉄地金銀象嵌 飛脚図 山城国伏見住 金家(桃山) 鉄地金銀象嵌 達磨図 山城国伏見住 金家(桃山) 銘より京伏見にて作鐔したことがわかる。 豊臣秀吉が伏見城を築城。その城下町が一挙に拡大し、商人職人などが集まり栄えたと云われる。 pic.twitter.com/vpGFzE2Ojb

2024-04-06 02:53:03
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

薄い鉄地に鎚目をうち、わざとムラ(遊び)を作った打ち返し耳 そこに絵画調の共象嵌(同じ金属を象嵌)し髙肉彫刻、そこに僅かに色金の象嵌をアクセントとする。 それまでの鐔が紋様調や図案調であった所に、絵画調の鐔を創始した。鐔聖(たんせい)と呼ばれる。 非常に薄い鉄地から甲冑師鐔の系譜ではないかと推測される。 世に「1ミリ初代、2ミリは二代、3ミリあればよその人」などと言う。 地の鎚目も意図的にバランスよくかつ絵画に合わせて打たれ、非常に巧みである。 薄い物に硬いものを象嵌するのは難しい。

2024-04-06 03:07:17
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

信家 鉄地蔦唐草図(桃山) 銘:信家 (重要刀装) 鉄地兜図(桃山) 銘:信家 鉄地算木透図(桃山) 銘:信家 鉄地瓢箪唐草図(桃山) 銘:信家 (重要刀装) 尾張鐔工群の一つとされる。年紀を切った物はなく明珍の出という説もあったが、現在は否定される説が多い。 pic.twitter.com/r0BgL3uiv0

2024-04-07 01:30:08
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

鉄地鎚目無文(桃山) 銘:信家(花押)(重要刀装) 良い鍛えの厚手の鐔に毛彫甲鋤彫にて簡素な図柄を彫り尾張鐔工らしく焼手仕上げ。 やや中低になり打ち返しぎみの角耳小肉に鉄骨が現れるモノや彫りがあるモノもある。 幕末に非常に人気が出たため、信家に倣って造られた鐔が多くある。 何よりもその鉄の良さが抜群で、銹の色艶が最高! 物の本には毛彫、甲鋤彫とされるが、 焼手を掛けてるにも関わらず彫り際が盛り上がる点、彫りの中に等間隔の脈動が感じられるモノがあるところから、自分は、信家の彫りは、刃鏨で彫ったものではなく、蹴り鏨(銘切鏨)で切ったものだと思う。

2024-04-07 01:32:38
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

あまりにもスレが長いので 分けます。前スレは x.com/shigetsune/sta… 今回の展示は実は日刀保岡山県支部展です。 支部の愛好者の持ち寄りで企画されています。 館蔵品除く #備前長船刀剣博物館 テーマ展「鐔の世界」 city.setouchi.lg.jp/site/token/131…

2024-04-08 00:23:43
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

#備前長船刀剣博物館 鐔に絞った展示は全国的にもなかなか無いのですが 正直見ただけでは分からないという話も見たので ちょっと解説してみる。 間違っているかもしれないので、気付いた人は突っ込んでね テーマ展「鐔の世界」 - 瀬戸内市公式ホームページ city.setouchi.lg.jp/site/token/131… pic.twitter.com/RAX0M6NX15

2024-03-26 14:45:48
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

埋忠派 素銅地柏葉図(桃山) 銘:埋忠明寿 (重要刀装) 鐔には制作地年紀を彫る事はないがその作刀から京西陣にて作成されたとされる。 pic.twitter.com/ye9UdGyOpp

2024-04-08 22:45:26
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装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

埋忠家は足利家、豊臣家、徳川家の御用を務める文化人であった。 鍛刀、彫金のほか、鎺、切羽などのシロガネ 刀身の磨上や金象嵌銘入れ、刀身彫刻と幅広く御用を務める。 江戸中末期ごろには衰退している様です。 黄銅の耳を大きく打ち返し捻った下地に、赤銅や金銀を平象嵌面一になる様に研ぎ出した後、 腐らかし(エッチング)にてイオン化傾向の高い黄銅のみを溶かして、平象嵌部分を浮き上がらせるという技法を多く使う。 時代が経ち表層の脱亜鉛により布目状のテクスチャーが出ることが多くある。 また表層の脱亜鉛により見た目状、素銅に見える様になるモノがあり、展示の鐔も 削ってみないと地金は判別できない。  自分は、写実からデフォルメされた大胆なデザインになり、捻り歪ました鐔地など、「禅」を感じる金家に対し明寿の鐔は「へうげもの」に通じると感じ、ともに桃山文化の大きな影響下にあったと思います。 余りにも広い仕事の範囲から、一人の作家というよりも、ディレクター的存在だったのかもと想像します。

2024-04-08 22:48:24
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

肥後平田派 素銅地七宝弓矢唐草図(江戸初期) 無銘 伝 平田彦三 (重要刀装) 素銅地州浜透(江戸初期) 無銘 伝 平田彦三 肥後金工四流派の一つ、平田派の始祖彦三は、元は細川三斎忠興に仕える松本家の出で、豊前から抱えられ肥後への移封に随従して八代に至る。平田派は三代で絶える。 pic.twitter.com/lPJWpfcGUu

2024-04-11 00:42:59
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