日本における消化不良の出版文化
- ryuunengumi
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永江「本の平均価格に関して。90年代までの日本経済はインフレだった。本もそれに合わせて90年代までは値段が上がり続けていた。しかし90年代後半から右肩下がりである。我々の世代より上は今までデフレを経験していなかった。だから混乱を招いているという側面はあるかもしれない」
2010-05-24 15:30:42永江「また、捕捉すると、ゼロ年代に平均価格が下がっている一つの要因として、文庫や新書が多く売れたというのがある。この頃にユニクロやしまむらが流行り始めたように、出版業界でも低価格志向があった」
2010-05-24 15:34:44永江「しかし他の業界の物価状況に比べると本の物価推移はそんなに大差ないとも言える。例えば50年代に7円で買えたコロッケが今では80円である」
2010-05-24 15:39:45永江「今までのグラフから分かるように、『売れていないのにたくさん本を作っている』のが今の出版業界である。これがいわゆる『構造的不況』と言われる奇妙な状況であるとは言えるかもしれない」
2010-05-24 15:41:27永江「高い返品率は何をもたらすか。高い返品率のために、現在では60冊の本を売るために、140冊の本を動かさなければならないシステム、つまり、資源、エネルギー、時間の無駄の上に成り立っているシステムになってしまっている」
2010-05-24 15:43:55永江「なぜ新刊点数が増え続けるのか。出版業界には需給バランスはないのか。実は日本の出版業界は『売れないから本を増やす』という経営を行ってきた歴史がある。『自転車操業』どころか『オートバイ操業』である」
2010-05-24 15:48:35永江「企画というガソリンを突っ込まなければ回らない状況だから、安直な企画が増え、『クズみたいな本』ばかりになっているのが現状である」
2010-05-24 15:50:11永江「要するに本は出版業界(出版社/取り次ぎ/書店)にとっての地域通貨であり、本が貨幣と同じように流通しているのだ。出版社は出版業界の―相談なしに勝手に貨幣を発行する―日銀と言える」
2010-05-24 15:52:41まとめパワーポイント「・出版社は売れないから本を出す・自転車操業どころかオートバイ操業・ガソリン=企画が枯渇したらおしまい・安直な企画が増える」
2010-05-24 15:53:59永江「返品されてお金が払えない出版社はどうするか、お金の代わりに売れそうな本を出すんです。偽札を刷るように。数年前の『品格』ブームなんてまさに安直企画の良い例と言える」
2010-05-24 15:56:09永江「再販制とは何か。メーカーによる価格拘束、独占禁止法の例外、1000円の本はいつまでも1000円、そしてその制定理由は不明な制度である。制定理由としては、慣習説、文化保護説、零細業者保護説などがある」
2010-05-24 16:01:10永江「次に委託制について。・委託制とは書店が出版社に返品できる、・一度売上が成立するので、正確には返品条件の買い切りと言える、といった制度である」
2010-05-24 16:05:02すみません、永江朗氏講義に関連して一ヶ所訂正があります。「20092億円」ではなく、「2092億円」ですね。失礼しました。→永江「販売金額の話。69年は20092億円、89年は8483億円、09年は8491億円。販売金額に関しては89年と09年はほぼ同じである」
2010-05-26 16:30:19