10年後にあなたの息子が白血病になったら後悔しませんか?

主婦米子のブログに寄せられた質問について、ちょっと専門的なことが分からないので、PKA先生にいろいろ確認をとってみたまとめです。 参照ブログのエントリー: http://blog.goo.ne.jp/hot_inzai/e/e1e4d85e78025a69a389ce2dbc7d03a3
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「正常な人の0.1%を白血病にする因子」について

米子 @ChhrMrk

@PKAnzug 「正常な人の0.1%を白血病にする因子」みたいなものは、実際ありますか?というか、有り得ますか? わたしが理解している限りで発がん物質として最も最強と言われるタバコの場合で、全癌に対して何%ぐらいでしょうか。

2012-01-16 12:36:28
米子 @ChhrMrk

@PKAnzug スミマセン、こんなことを聞くのも、「正常な人の0.1%を白血病にする因子」、低線量放射能がそうないとは限らないじゃないかと反論されることもあるかなぁと思うからなんですけど(^^ゞ

2012-01-16 12:38:18
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk 厳密な話をすると、こういうリスクの比較は「オッズ比」という数値を使って行われます。この辺の計算は私も言うほど得意ではないですが、ちょっと頑張ってやってみますかね。成人T細胞白血病を増やすことが知られてるHTLV1というウイルスを例にします。

2012-01-16 12:49:18
米子 @ChhrMrk

@PKAnzug ありがとうございますm(__)m ゆっくりで構いませんので。わたしも、これから出掛ける準備などに取り掛かります。

2012-01-16 12:52:47

オッズ比の説明、はじまります

後日、訂正入りました。以下、加味してお読み下さい。
PKA先生曰く:
HTLV1と白血病の例えですが、資料の誤読から成人T細胞白血病の実態と異なる内容になっていました(成人T細胞白血病はHTLV1感染が必須で、オッズ比は出せないそうです)。「ある因子が存在するとオッズ比2.46で10万人あたり70人に増加する架空の疾患」として読んでください。白血病の実例ではなくなるだけで、考え方は変わりません。

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk ちょっと通常業務やら調べ物やら過去知識の再確認で遅くなりました。では、習ったことはあるけど現状の専門家ではない人間の話として読んで下さい。

2012-01-16 14:48:55
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk オッズ比というのは、端的に言ってしまえば「特定の因子に晒されることで、その病気が何倍起こりやすくなるか」という数字だと思って下さい。元々起こりづらい病気であれば、オッズ比が高くても実数は僅かになります。で、成人T細胞白血病のオッズ比は2.46

2012-01-16 14:49:20
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk ある因子の有無による病気のオッズ比は「オッズ比={(因子あり病気あり)÷(因子あり病気なし)}÷{(因子なし病気あり)÷(因子なし病気なし)}」であらわされます。ややこしくてすいません。

2012-01-16 14:49:30
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk HTLV1感染の方では、成人T細胞白血病の有病率は「70人前後」だそうです。10万人のうち70人だったら残りは99930人、HTLV1感染がない人はもっと10万に近付くので、「病気がない人」はどちらの集団も「ほぼ10万」として同じことにしちゃいましょう。

2012-01-16 14:49:51
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk 雑な計算だと思われるかもですが、これは病因があってもなくても非常に稀な病気だからできることです。また、元の数字が「70人前後」と大雑把なので、細かく計算して細かい数字を出しても、どのみち「それくらい」という大雑把な指標になっちゃうんですね。

2012-01-16 14:50:25
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk で、こうするとさっきの式がこうなります。「オッズ比(2.46)=因子があって病気の人数(70)÷因子がなくて病気の人数」。ここから変形して、「因子がなくて病気の人数=70÷2.46=28.46人」。四捨五入に困る数字ですが、大雑把に28人にしましょうか。

2012-01-16 14:50:55
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk HTLV1感染があって白血病になる人が10万人中70人、HTLV1感染がなくて白血病になる人が10万人中28人。言い換えれば「HTLV1によって、本来健康な約10万人から42人の患者が生まれる」となるわけです。10万人中の42人は0.042%です。

2012-01-16 14:51:17
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk ということで、「成人T細胞白血病を2.46倍に増やす」と聞くと恐ろしげなHTLV1ウイルスも、健康な人に実際に病気を増やすのはそんなもんなんですよ。元が少ないからそんなに少数でも「明確な増加」として検出できちゃうんです。

2012-01-16 14:51:36
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk ちなみに実際の疫学調査では、ここに「HTLV1感染のある人の方がしっかり経過観察されていて白血病を見つけられやすい」とかいろいろと難癖がつくので、今のは飽くまでも概要です。また、私は疫学専門ではないので、専門家からはまた別の指摘があるかもです(そこは私の限界)。

2012-01-16 14:52:08

オッズ比はどう受け止められるか

𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk オッズ比という数字は、疫学的に病気を俯瞰するには扱いやすいんですが、個人が感じる「で、その問題が自分の健康にどれだけ影響するの?」って疑問にはあまり答えてくれないんですよね。元々少ない病気が20倍になっても、ほとんどの人には影響がなかったりしますし。

2012-01-16 14:52:22
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk で、白血病を明らかに増やす他の因子で強烈なやつがあるか、という質問ですが、私にはちょっと思いつかないです。あってもおかしくはないですが。一方で、タバコの肺癌に対するリスクは、同じように計算したら結構上がるんじゃないでしょうかね。肺癌はそんな稀ではないので。

2012-01-16 14:52:43
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk ということで、私の理解としてはこんな感じです。大きな間違いは多分ないと思いますが、私の専門からはズレた内容なので、公衆衛生学に詳しい方の添削や補足があると有り難いですね。「寄与危険度」とかの話は、墓穴掘りそうなのでやめときますw

2012-01-16 14:52:51
米子 @ChhrMrk

@PKAnzug ありがとうございましたm(__)m やっと読めました。えーと、それでは、質問者さんが「これでもか」とばかりに例示した10倍20倍という数字も、そもそもの白血病の発症数の少なさを思えば、影響ないと思える人は思ってしまうかもしれないですかね?

2012-01-16 17:46:30
米子 @ChhrMrk

@PKAnzug そして、現実に起こるかもしれない白血病の増加をもうちょっと妥当な2倍とか、せいぜい3倍とかと見積もるとして、首都圏(←と想定)の被曝量で白血病が増えたという事実がかろうじて認められるかも?という状況であっても、そう悲劇的なことでもない?

2012-01-16 17:50:32
米子 @ChhrMrk

@PKAnzug ただ、今回はお子さんの健康を気遣う親御さん(おそらく)からの質問ということで、また、母親であるわたしが後悔しないのか?という質問であることを考えると、我が子が発症した場合は、それは100%の事実なのでどーするのかということなんですが。

2012-01-16 17:51:47
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk どっちの立場から見るかで心証が変わっちゃうんですよね。仮に「2倍に増えた」と確認されたとして、稀な病気ならほとんどの健康な人には稀なままですが、「実際に病気がでた側」から見たら「1/2の確率でそれのせい」ってことになるんで、納得が行かない気持ちになるのは当然。

2012-01-16 18:03:26
𝑷𝑲𝑨 @PKAnzug

@ChhrMrk ただ、仮に「2倍になった」って調査結果が一度出たとして、さっきも書いた通り、発生率の少ない病気は調査集団の数が十分に大きくないと簡単に揺らぎますから、「調査で2倍になったから、本当に2倍になった」とは言えないんですよ。

2012-01-16 18:10:16