【新年の手紙 完全版】福間健二・水島英己・宮尾節子 tweet連詩 pw3e
晴、とだけ書かれた年賀状。湯殿川の道を歩いた。空の青よりも鮮やかな青、カワセミを見つけた。胸がキュッと鳴る。生きている。凍った公園の池で滑っている子どもたち。マロニエの木がさっぱりと落葉して、縦横に光が交差している。8キロ歩いた。気持ちいい汗。(新年の手紙1) #pw3e
2012-01-09 12:49:56青い部位はないのに光の加減で青く見える。その構造を思いながら、新しい年、マロニエというお菓子屋のある角を曲がって、一橋大学の裏の道に。生きていく。それだけでも大仕事。想像できる悪では始末できない「青い鳥」。その可愛い声は、遠くの自転車のブレーキの音。(新年の手紙2) #pw3e
2012-01-10 08:08:37夜の掌で濃紺に染まっていく、青空の裾が夕陽に焚かれて。ひと粒の火花のように、金星があがる。かつてあの光を目指してひとつの恋が疾った。そして今こうしておまえの前に居るのよ、と犬の頭を撫でて。生きる、さ。ぼくは真珠だったので。角の処理や痛い対処が巧いもの。(新年の手紙3) #pw3e
2012-01-11 10:15:08わが祈りあけがたの星孕むべく、という句が好きです。明けの明星を孕む、いや星に子だねの授かるように祈るという意味ですが、その二つを重ねて祈る人を想像します。潮騒の聞こえる小暗い浜辺に佇む人。その人の娘に、さらにその娘に、さらにさらにその娘に輝く明星。(新年の手紙4)#pw3e
2012-01-12 12:10:12この宇宙、どうして、突然、ふりむくとドアが開き、あわてて出てきた娘がバケツの水をひっくり返したりするのだろう。愚かな恋の夜、セメントで灰色におおわれた地面に星を孕み、炸裂して、どう歩いたか。猛反省の朝だけど、西の空にうすく大きな月。待っててくれたんだね。(新年の手紙5)#pw3e
2012-01-13 10:41:13バカの星一つもない詩人を信用するな。と壁に書いてはないが。明け星に起こされ。新宿に着く前の山手線から見える簡易旅館「いこい」の。いの字が落ちて「こい」になっていた。乗り換えの京王線の券売機にはBILLという文字、傍に花屋がある。ビルとハンナの恋だった。(新年の手紙6)#pw3e
2012-01-14 09:24:54小惑星にその名を刻んだきみ。「だれ」であるかが一筋の飛行機雲のように鮮やかに尾を曳く亡命者。ハンナ、きみ自身にはそれが隠されていようと、わたしにはきみの仕種や笑い声でわかる。「なに」にとらわれた人々であることから、ありのままにあらわれることへの旅。( 新年の手紙7)#pw3e
2012-01-15 15:58:22「新年の手紙」で田村隆一が引用したのは、オーデンが過ぎ去った季節からの「二日酔い」のなかで書いた詩。ぼくも好きな詩だが、それは棄てられた。ふりかえってはならない亡命者。ウィスタン、ハンナ、そして足を濡らしたきみ。体のあたたまる熱燗がいいね。新年を祝おう。(新年の手紙8)#pw3e
2012-01-16 08:22:52足湯もいいわよ。それから不眠症の友達が読んだ本の話だけど。寝床で「良い一日でした」と呟いて寝るとよく眠れるんだって。良い一日じゃないときは?「あのね、くちのかたちだけでも、いいんだって」からだってカワイイ!口の形から始めよう。地球惑星で新年の良い挨拶。(新年の手紙9)#pw3e
2012-01-17 08:49:14「政治的な肉体にエロスの心が閉じこめられている存在」、それが人だと52歳のあなたは書いた。その年を十余り越しても人が分からず、冬の裸木の長い影に折り重なる心。離れて行く後ろ姿の肉体。心と肉体をどう結びつける?おまえの人は?あなたの手紙を再読する新年。(新年の手紙10)#pw3e
2012-01-18 17:54:01@acasaazul @sechanco お待たせしました。オーデンから題名だけ借りました。次は、師匠よろしく。
2012-01-09 12:53:34「新年の手紙」。ツイート連詩ならではの、大きな、いただきタイトルですね。オーデンが最初にこの題で書き、それを田村隆一がぱくった。水島さんと宮尾さんに、さらにこの二人も相手にする。たのしいです。@yokoushio @sechanco
2012-01-09 13:17:26@acasaazul @yokoushio おはようございます。うーむ。いいなぁ。いい球が来るともうつぎが書きたくなっちゃう。がまんがたいへん。オーデンのちゃんとも稲村ケ崎の田村さんの新年のも読んでなくても、なのにね♪ いいさ、漁師さんや桃作りのおばちゃんに習って、行くぜっと♪
2012-01-10 08:26:31善が想像できる きみらは何者だろうか。小説家が詩の賞を取る。疾うに正気を欠きながら 蛍の灯に縋るように 詩の灯だけを頼りの 瀕死の詩書きの 声を取らず。「正しきものら」「善なるものら」に ただ自らの証を取る きみら。その正しき善行委員に。一本の指を送りたい。(新年の手紙 ・没版)
2012-01-17 09:13:34