【北へ行く 完全版】須永紀子・金子彰子・宮尾節子 tweet連詩pw3r
踏みしめれば沈む階段の先 水盤のホームから 旧型客車はすべりだす にぎりしめた切符の文字が消え 行く先が変更されたことを伝える 薄いものばかりを入れた軽い鞄 点線のレールを走る 軽い心(北へ行く1)#pw3r
2012-05-18 10:01:40思い過ぎるのが、こわい。布靴の先から黒い染みがひろがる。入れ過ぎた力が時空を歪め、次つぎ変てこなモノが現れ出すと。もう、お手上げ。何を言ってもダメ。でも、摘んで来たと見せる、百合の綺麗さといったら。いけ、ない。「シガキミヲ」と祈る。「モウイチド」は命取り。(北へ行く2)#pw3r
2012-05-19 10:06:55お前は枝も渡れない 裸足で歩けない 日輪の見方も知らない 父祖を育てた猿が切符をくれた バンドンの森から 枕木を辿り その先へ (北へ行く3) #pw3r
2012-05-20 07:08:20母語を話す人々とひしめく雛、物売り。村をのせた車輌が川を渡るとき、あちこちで声があがる わたしたちは一斉に流れる水を眺め、口を閉じ、それぞれの思いに沈んでいく(北へ行く4)#pw3r
2012-05-21 10:32:46カタタン、コトトン。耳にやさしい、枕木の昔語りが。言問い橋の下で、ふるえる水や小魚たちを眠らせている。つきがたいようをたべるのを、見ました。蝋燭の煤をつけたガラスで見続けて、角膜を。傷ついたことも、私は知らなかった。焚かれて聞いた、香の名は「漁り火」。 (北へ行く5) #pw3r
2012-05-22 07:24:02RT @000214: 文字は風化する 歌は化石になるだろうか 縮んだ背を立てて 停車のたびに 頭を揺すぶられ たったひとつ覚えている 故郷のなごりを繰り返す ついてきていた夕陽は消えた 呼ぶ声に 濁音符が刻まれる (北へ行く6) #pw3r
2012-05-23 07:33:39薄闇の窓にやせた鳥のような姿が映り 長く会わなかった弟がひっそり座っている 「あまり話すことはできない 喉はそのように作られていない 音を発すると熱を帯びて 情報が送られてしまう」 弟の声は脳の辺りにとどいた(北へ行く7)#pw3r
2012-05-24 09:32:47星祭りのお札を貰いに、御嶽に。うどん屋を兼ねた神主は、ぬれた白い指を布巾で拭って「せいねんがっぴとなまえを」と聞いた。「すこし、まって」季節が冬に進むと白鳥は、地平線近くまで降りて来て。ちょうどクリスマスの頃に、地平線に北の十字が突き刺さる。弟の墓が立つ。(北へ行く8)#pw3r
2012-05-25 08:21:555月26日 ノールエクスプレス、ペテルブルグ、モスクヴァ…家に帰ると素晴らしい天気だった 古びたかきつけの中では まちよりねぐらが輝いている 北へ行く 南に天国を見る 東を眺める あゆみはとめられない 埋められても (北へ行く9) #pw3r
2012-05-26 09:21:05あらゆる色が混じって 全体が灰色に見える ポロックの絵のような町。小枝をよせて作られた径。あばれつかれて眠る海。永く願った場所に ひとはいつかはこばれる さらに北へ。 月の出を待って 舟を漕ぐ(北へ行く10)#pw3r
2012-05-27 14:26:11****** OMAKE ******
@sechano @sunaganoriko バンドン、ここで詩を紡がなければ、ついぞ出てこなかった地名です。今もパスツール研究所があると、検索して知りました。大連の事は語っていましたが、ジャワについては、マンゴスチンとポーポーが美味しかったとだけしか聞かなかった気がします。
2012-05-20 15:30:11@sechanko @sunaganoriko 祖父は満州鉄道で看護の仕事をしていたそうです。「古い車両」から、そのことを思い出しました。その後、単身インドネシアに移ったそうですが、その時代のことは、先に帰国した家族は知らず、本人も語らずに逝きました。その欠片をここに。
2012-05-20 07:28:57@sunaganoriko 時節柄、衛生兵のような身分だったのではないでしょうか。後年は農夫で、椎茸を栽培していました。ポーポーは東南アジアの果物で、その味が忘れられず日本でも庭に植えたりしている人がいるそうです。食べたことはありませんが、熟柿に似た味だとか。
2012-05-20 18:07:23@sunaganoriko @000214 こちらのほうで「ポポーの木」を植えている人の話を聞いたことがあります。「濃いカスタードクリームのような甘さ」というポポーは、もしかして金子さんのおじいさまのポーポーと同じなのかしら?広がりますね♪http://t.co/gfmP9xnN
2012-05-20 20:22:44@sechanco @sunaganoriko 色が、アケビに似てると言っていたから、そうですね。今までたいして関心はありませんでしたが、このお店のリードを読むとむしょうに食べたくなりますね。
2012-05-20 20:32:48@sunaganoriko @000214 「歌は化石になるだろうか」 「 故郷のなごりを繰り返す 」「 呼ぶ声に 濁音符が刻まれる」遠地に故郷を持つ身には、沁みるフレーズです。特に濁音の多い土佐弁は。でも「濁音符」なんて言葉知りませんでした。たくさん教わって、お得な連詩です♪
2012-05-23 10:07:40@000214 @sunaganoriko 窓に映る鳥のような姿、進む電車、北へ。いつの間にか、銀河鉄道の、白鳥の停車場に向かっていました。も一つ、入れたい思いがあったのですが、入り切れず、断念。次の窓に、渡します。今回は、この周の最後、うーむとちょっと唸りました(笑)よろしく♪
2012-05-25 08:34:20@sechanco @sunaganoriko アップしました。何となく手にした『チェーホフの手帖』(新潮文庫)の日記の日付と「北方急行」に、出会いを感じていただきました。1898年の今日、チェーホフは自宅のメリホヴォでパリ出会った人々のことを思い出していたようです。
2012-05-26 09:45:47@sunaganoriko @sechanco 北への旅の終章は、ああ、これでなくてはと、読ませていただいて大変感銘を受けました。二周目も素晴らしい経験でした。三周目は「辺」(ほとり) でいきたいと考えております。
2012-05-27 18:41:23@sunaganoriko @000214 「小枝をよせて作られた径。あばれつかれて眠る海。永く願った場所に ひとはいつかはこばれる」着くべき場所へ、祈りが運ばれたと思います。おつかれさまでした!「さらに北へ。」はい。身が引き締まる思いです。金子さん、明日からの新章も楽しみです♪
2012-05-27 19:13:52