「フクシマではがんは増えない」中川恵一(東大放射線治療チーム)

「福島での現地調査、チェルノブイリ原発事故の総括、広島・長崎の被害分析」 「リスクの評価と管理の混同」="「リスク評価」は科学的データに基づいたリスクの定量化とその理解ですが「リスク管理」は、科学的判断ではなく、放射線防護の“ポリシー”を導きます。"
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東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

今日、東大病院内で、飯舘村の菅野典雄村長とお目にかかります。私たちのチームは事故の昨年4月より、福島県飯館村を定期的に訪れ、住民の方の声をじかに聞きながら、さまざまなアドバイスや行政への提案などを行ってきました。しかし、未だ、住民の不安、不信はほとんど変わらず続いています。

2012-01-06 17:01:47
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

この巨大な問題を引き起こした東京電力と原発関係者の責任は厳しく問われる必要があることはもちろんです。そして、住民に対する補償は十分に行われるべきだと考えます。しかし、残念ですが、私たちは、これからの長い時間、福島原発事故から発生した放射線の問題とつきあっていかねばなりません

2012-01-06 17:03:18
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

事故からもうすぐ10ヵ月ですが、いまだに、主に東京を発信源とする「リスク情報」ばかりが乱れ飛んでいます。年末のNHKの報道番組ですら、全く間違った内容で、正直驚きました。http://t.co/A9SvYpi1 こんな中、被ばくと発がんリスクについてまとめた1冊を上梓しました。

2012-01-06 17:04:13
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

「放射線医が語る 被ばくと発がんの真実」(ベスト新書)です。福島での現地調査、チェルノブイリ原発事故の総括、広島・長崎の被害分析を踏まえ、できるだけわかりやすく現状を読み解きました。副題は、ズバリ「フクシマではがんは増えない」です。http://t.co/qDCZw81Z

2012-01-06 17:06:03
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東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

「御用学者」、「安全デマ」などの批判は覚悟の上です。久しぶりのツイートで本の宣伝をしたいのではありません。多くの方々の不安や疑問に少しでも応え、これから先へと歩み続けるためのささやかな指針となればと願い、福島の皆さんに献げるつもりで書きました。飯舘村にも寄附したいと思います。

2012-01-06 17:10:16
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

本の中でも取り上げましたが、昨年、ロシア政府はチェルノブイリ原発事故後25年目に際し、150ページを越える膨大な総括報告書を発表しました。その中の「結論」の章で、次にツイートでご紹介する注目すべき一文があります。 http://t.co/32J8p2Ex (ロシア語のみ)

2012-01-06 17:18:16
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

(事故後25年の状況を分析した結果)、放射能という要因と比較した場合、精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限、事故に関連した物質的損失といった、チェルノブイリ事故による他の影響のほうが、はるかに大きな損害を人々にもたらしたことが明らかになった」(前掲、拙著)

2012-01-06 17:27:09
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

昨年4月以来、飯舘村とご縁ができ、村からリスクコミュニケーション(リスコミ)を任されています。昨晩は、飯舘村の菅野村長と、この難題について2時間にわたって会談しました。村の除染には、国から100億円単位の予算が予定されている反面、リスコミにはほとんど予算がない実状が分かりました。

2012-01-07 15:48:07
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

飯舘村から避難されている若い村民のなかには、除染が進んでも村には戻らないという方も少なくありません。高齢者だけが村に戻っても、共同体は復元できませんから、莫大な予算をかけて除染をしてもムダになってしまいます。情報提供や対話といったリスコミに予算が割かれない現状には疑問を感じます。

2012-01-08 21:37:27
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

避難を続けるか村に戻るかは、十分な判断材料をもとに住民が自ら選択するべきものです。被ばくや避難が身体に与える影響をできるだけ理解してもらいながら、除染とリスコミをバランスよく進める必要があると思います。そして、被ばくに対しても、避難に対しても、きちんと補償がなされるべきでしょう。

2012-01-09 01:27:59
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

放射線のリスコミで一番難しいと思うのが次の2点:低線量被ばくのリスクをどう定量に把握して頂くか、そして、防護や避難のメリット・デメリットのバランスです。「放射線医が語る 被ばくと発がんの真実」でも、この2点に頁を割いています。もちろん、リスコミに困難がある現状は百も承知。

2012-01-11 15:37:35
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

放射線については、専門家の意見が食い違っているとよく指摘されます。たしかに、1ミリシーベルト以上の被曝は危険であるという「科学的事実」があるかのように発言してきた「自称専門家」がいます。しかし、このような発言は、「リスク評価」と「リスク管理」を混同したものです。

2012-01-13 12:11:47
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

そもそも、日本の自然被ばくは年間1.5ミリシーベルト程度と、米国の3ミリ、世界平均の2.4ミリシーベルトよりずっと少ないのですが、医療被ばくは平均で推定約4ミリと世界トップです。タバコの煙にも放射性物質が含まれているので、多い方では、喫煙で年0.5ミリシーベルト位プラスされます。

2012-01-13 12:33:11
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

「被ばくは年に1ミリシーベルトまで」と言われますが、この「1ミリシーベルト」は”人工的な放射線”についてです。平均的な日本人の喫煙者の場合、自然被ばく、医療被ばく、タバコによる被ばくを合計すると、6ミリシーベルト位になりますが、この他、1ミリシーベルトまで許容するということです。

2012-01-15 11:50:23
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

新年になって刊行した『放射線医が語る被ばくと発がんの真実』にさまざまな感想を寄せていただいています。お褒めに与ったものから数例ご紹介します。http://t.co/s2jm3LKd  http://t.co/71kM1NUO

2012-01-16 15:59:49
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

 「リスク評価」は科学的データに基づいたリスクの定量化とその理解ですが「リスク管理」は、科学的判断ではなく、放射線防護の“ポリシー”を導きます。たとえば、「100ミリシーベルト以下では、被ばくと発がんとの因果関係の証拠が得られない」は、科学的論拠を持つリスク評価です。

2012-01-18 11:24:00
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

「100ミリシーベルト以下では被ばくと発がんとの因果関係は科学的には不明」というリスク評価を受けて、「“念のため”が可能な平時では、自然・医療被ばく以外の放射線被ばくを1ミリシーベルトまでにしよう」というポリシーが、リスク管理です。しかし、このリスクの評価と管理の混同が問題です。

2012-01-18 11:27:18
ryugo hayano @hayano

(グラフ再掲)朝日新聞の食卓丸ごとセシウム調査( http://t.co/e32FrTk9 )に関連し,日本人は過去に一日何Bqのセシウムを食べていたかのグラフ→ http://t.co/qG0ETK1W

2012-01-19 05:13:35
れもんた @montagekijyo

ファクトからはじめよう 『放射線医が語る被ばくと発がんの真実 』 http://t.co/rmZS4LwL

2012-01-20 15:51:58