廃棄物の埋立処分術の専門家による、汚染された廃棄物の埋立てについてのお話。

廃棄物の埋立処分術の専門家による、汚染された廃棄物の埋立てについてのお話。
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ばっふぁ @microcystis

7月の測定で8,000 Bq/kgを下回る1,810 Bq/kgのごみ焼却灰(飛灰)を埋め立てた処分場から、先ほどの線量限度を上回る放射性セシウム濃度が浸出水処理施設の放流水から検出されたのです(もちろんすぐに放流は停止されました。)

2012-01-21 16:15:44
ばっふぁ @microcystis

これら三つ、正確には、水に触れさせない機能を手厚くした、表面遮水+コンクリート固形化+土壌層+浸出水処理の四重の機能を設置することは、8月末に環境省から発出された8千 Bq/kg~10万 Bq/kgの廃棄物の埋立に関する通知 http://t.co/gpTrNuVD にあります。

2012-01-21 15:55:36
ばっふぁ @microcystis

これはいわゆるワーストケースでした。埋立地ができたばかりで、焼却灰は一番底の層に埋め立てられ、焼却灰のみを埋め立てていたので放射性セシウムを捕捉する覆土がない上に、その頃の台風などの大雨のため、埋め立てたごみの上に水が溜まってしまったことが重なって生じたことでした。

2012-01-21 16:21:47
ばっふぁ @microcystis

この事件は(もちろん予想はしていましたが)8,000 Bq/kgという基準では、浸出水の放射性セシウム濃度が線量限度以下にならないことをまざまざと思い知らされました。濃度ではなくて、溶出量(水に溶け出す量)で考えなければならないと。

2012-01-21 16:29:35
ばっふぁ @microcystis

また、浸出水からの放射性セシウムの除去にも取り組みました。除去の方法にはゼオライトへの吸着を用いたのですが、浸出水には塩分が多いため、他のところでいわれているような高い吸着能力が得られないこと、十分に吸着させるためには時間がかかることがわかりました。

2012-01-21 16:47:21
ばっふぁ @microcystis

苦労はしましたが、現在は検出限界以下までの除去に成功し、放流は再開されています。ここで得られた教訓は、ゼオライト吸着によって浸出水中の放射性セシウムを除去することは可能だが、大量のゼオライト(このときはたしか約2千トンの水に対して12トン)と労力が必要であること。

2012-01-21 16:50:53
ばっふぁ @microcystis

(放射性でなくても)塩であるセシウムは水に溶けやすい+8,000 Bq/kgの少なくとも飛灰からは相当量のセシウムが溶けてくる+溶けたセシウムを水処理で除去するのは大変=セシウムは水に溶かさないほうがいい、ということになります。

2012-01-21 16:57:00
ばっふぁ @microcystis

もちろん、ゼオライトに吸着させたとして、そのゼオライトも放射性物質に汚染されたごみになります。やっぱり、水に触れさせないのが一番。

2012-01-21 17:03:45
ばっふぁ @microcystis

水に溶かしても埋立地の中に土の層を作ってに吸着させたらどうかという議論もあります。確かに土からの放射性セシウムを取り除くことは難しいですし、埋め立てながら覆土として土の層を作ってゆくことはこれまでもやってきました。

2012-01-21 17:13:22
ばっふぁ @microcystis

たしかにそれは「期待」できる。しかし技術者として、今は、その機能は「保証」できない。なぜなら、ゼオライトの一件で塩が多い状態での吸着は小さくなることが分かりましたし、土には粒の大きさや材質(鉱物)に様々なものがあり、一概に能力を決められない。(続)

2012-01-21 17:17:09
ばっふぁ @microcystis

また、土へのセシウムの吸着は見かけ上瞬間ではなく時間がかかるため、水を土壌の層にゆっくり通さなくてはならず、そのような土壌層の設計は理屈できないことはないですが、現場でそのような微妙な施工できるだろうかという問題が残ります。

2012-01-21 17:21:19
ばっふぁ @microcystis

したがって、現段階では放射性セシウムを埋立地の中で留めるための土壌層は、水に溶け出してしまった場合の保険として必ず設けるべきものであり、それだけに期待してはいけないと考えます。もちろん、機能を保証できる土壌層の開発は進めています。

2012-01-21 17:24:20
ばっふぁ @microcystis

水に触れさせない方法としては、まず、廃棄物そのものを容器に入れる、コンクリートで固める、またその両方があります。しかし、容器やコンクリート固化は値段が高い、ただでさえ埋め立てる場所がないのにかさばる、固める施設がすぐに用意できないなど、今すぐにはできません。

2012-01-21 17:32:19
ばっふぁ @microcystis

そして、水に触れさせない方法として、これまで埋めてしまったものはどうするのという大問題にも答えるためにも、すぐに行うべき方法は、埋立地に雨を入れない(染みこませない)ことではないかと考えるわけです。

2012-01-21 17:35:15
ばっふぁ @microcystis

屋根はいい方法です。実際に屋根が付いている小規模な処分場は存在します。ただし、面積が広い処分場では、現場に立てば途方もないことだと思い知ります。

2012-01-21 17:37:31
ばっふぁ @microcystis

よって、表面に水を通さない層を作ることが基本ではないかと考えます。この技術は日本ではあまり馴染みがないですが、欧米(特に米)では一般的な技術です。また、いますぐにでも、粘土やシートを利用する、表面に傾斜をつけるなどの様々な工夫が凝らせます。

2012-01-21 17:43:03
ばっふぁ @microcystis

何よりもいいのは底の遮水工とちがって、表にあるので不具合があればすぐ直せる!

2012-01-21 17:43:48
ばっふぁ @microcystis

放射性セシウムに汚染された廃棄物を埋めろというならば、まず、こういうことを伝えて欲しいのです、ガイドラインにも書いてあるのですから。

2012-01-21 17:45:51

そう、ちゃんと書いてありました。

ばっふぁ @microcystis

なんだ簡単じゃないか、と思われるかも知れません。しかし、表面に水を通さない(通しにくい)層を作る(作ってもらう)ことの最大の障害は、技術的にできるできないではなく、これまでのごみの埋め立てかたの思想を、180度回転させなければならないことにあります。

2012-01-21 17:49:02
ばっふぁ @microcystis

これまでの埋め立て方の思想は、埋立地にはなるべき雨水を通して、埋め立てた生ごみなどの有機物の分解を早めて、またはごみを洗って、早く排水をきれいにして、沈下しないようにして、管理しなくて良い状態にしようということでした。

2012-01-21 17:53:10
ばっふぁ @microcystis

現場の水をほどよく通すために(あんまり入れすぎると排水が間に合わずに水に浸かってしまう)様々な工夫を凝らして技術を蓄積してきました。今回の一件は、それをまったく逆に変えろというものなので、かなり抵抗があることだと思います。私も現場に行ってかなり抵抗されます。

2012-01-21 17:56:53
ばっふぁ @microcystis

埋立地に水を入れないあらゆる工夫をすること。これが「普通ではない」埋め立て方の理由です。そしてこれが、埋めろと強要する前に、強く現場に伝えなければならないことです。

2012-01-21 18:06:46

質疑応答

ばっふぁ @microcystis

災害廃棄物安全評価検討会(http://t.co/3TOGmgBb)の資料のどこかにあると思いますが、この資料、見づらくてすぐに見つかりません。すみません。@Nicarao11 ゼオライトやROの前後(後は濃縮側)のデータや濃縮物データはあるのでしょうか?

2012-01-21 18:16:48