押川先生による「高木学校・トンデル氏、ワリンデル氏講演会」補足情報ツイートまとめ

東京大学・物性研究所の押川正毅教授が1月28日にあったトンデル、ワリンデル両氏の講演について、詳細な補足ツイートをされたのでまとめています。
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Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校 トンデル氏・ワリンデル氏講演会[1] 行ってきました。例によってすでに @study2007 さんのまとめ http://t.co/h36RiS0I がありますが、補足情報などをつぶやきます。

2012-01-29 13:40:46
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[2] 直接トンデル氏本人から話を聞くと菊池さんの主張 http://t.co/PSZBAR80 が少しは理解できるかと思ったが、ますますわからなくなりました【毒】。ところで、結局菊池さんは「終わってるはず」の根拠は挙げられたんでしょうか? @kikumaco

2012-01-29 13:47:21
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[3] トンデル氏の講演で紹介された2編の論文(参考: http://t.co/mVcVC0Du http://t.co/iF3RGgPP ) は以前から読んで内容は知っていたが、講演はそれ以外の内容も含んでいて大変興味深かった。

2012-01-29 13:55:59
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[4] (すみません、記憶で書いてるので以下不正確なところもあると思います)トンデル氏、トナカイやヘラジカの体内のCs-137の時間変化のグラフを紹介。これは私は初めて見たような。大変興味深い。

2012-01-29 14:01:14
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[5] トナカイもヘラジカも汚染地域では体内に高濃度のCs-137を蓄積したが、その季節変動は異なる。トナカイは、冬の間コケを食べる(参考 http://t.co/mdaMLBEm )が、そのコケの放射能汚染が高い。従って、初夏(?)がトナカイの汚染のピーク。

2012-01-29 14:05:25
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[6] 一方、ヘラジカは秋にキノコを食べる。キノコはセシウムを良く吸収するので、ヘラジカの場合は秋から冬に汚染のピークが出る。(グラフから、トナカイやヘラジカの体内のCsの生物学的半減期もわかりそう…この辺のデータはどこかの論文に出てるのかなあ?)

2012-01-29 14:11:23
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[6.5] スウェーデンは地域によってかなり汚染状況が違ったので、スウェーデンでヘラジカを食べた場合も、その中にセシウムが入っていたかどうかはわかりません。(トンデル氏の見せてくれたグラフは、汚染地域のもの)また、ある程度出荷制限はかかっていた模様(後述)

2012-01-29 14:16:31
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[7] 【訂正】季節変動をならして、ヘラジカ体内のCs-137汚染のトレンドをフィットすると、半減期が15年。(物理的な半減期30年よりも速く減衰しているのは、流出等の効果と考えられる。これは環境に依存するだろうが。←当初間違ったコメントをしてしまったので訂正。)

2012-01-29 17:28:08
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[7.5] 物理的半減期との比較は私のコメントで、トンデル氏はグラフを見せてくれただけです。さきほどの誤りは私にのみ責があります。

2012-01-29 17:31:02
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[8]更に興味深いデータとして、スウェーデンの各地域の住民の体内のCs-137濃度変化のグラフも示された。直接の汚染を免れた首都ストックホルムでも、チェルノブイリ後(私の記憶では)10Bq/kg程度まで上昇、以後ゆっくり減衰。スウェーデン全体の平均も同程度。

2012-01-29 17:15:47
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[9]一方、「トナカイ飼い」(reindeer herder, たぶんサーミ人のこと)についてはチェルノブイリ後体内Cs-137が数千Bq/kg(?)とものすごく高い値に。これは、先ほど紹介したように高濃度に汚染されたトナカイを常食していたためと考えられる。

2012-01-29 17:19:05
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[9.5]さきほどのTwで言い忘れたが、Cs-137が数千Bq/kg(?)というのは汚染が最も酷い地域のトナカイ飼いについてだったはず。

2012-01-29 17:22:13
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[10]「トナカイ飼い」については1960年代からのデータも提示。大気中核実験が行われていた1960年代の体内Cs-137のピークは、チェルノブイリ事故後の汚染地域と同程度。ただし、土壌汚染の程度は(汚染地域では)チェルノブイリの方が酷かった。(続く)

2012-01-29 17:35:11
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[11] さきほどの結果は、チェルノブイリ事故後はトナカイ肉にも制限がかけられ、セシウム汚染の酷いトナカイはかなりの量が食用に供されず処分されたから、との説明。もし制限がなかったら体内汚染ももっと上がっていただろう、とのこと。(感想:制限してあれか?)

2012-01-29 17:38:15
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[12] チェルノブイリ後の汚染地域の猟師や農家についても体内Cs-137のデータを提示。トナカイ飼い>猟師>農家>スウェーデン平均 という、理解しやすい結果。ただし、汚染地域の猟師や農家で平均の10倍以上(?)、トナカイ飼いが100倍以上(?)と桁が違う!

2012-01-29 17:42:27
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[12] 2004年・2006年の論文については既に紹介されているのでここでは省略。ただ、トンデル氏の研究の経緯についての話も面白かったので、以下紹介。

2012-01-29 17:46:40
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[13](これは質疑応答部分での話ですが)スウェーデンのCs-137汚染マップは、チェルノブイリ事故直後に航空機モニタリングで作成された。これは、スウェーデンが核戦争に備えて国家的な準備が整っていたため、とのこと。(感想:一方、わが日本政府は…)

2012-01-29 17:51:19
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[14]このようにスウェーデンではチェルノブイリ事故直後から汚染状況が把握されていた。これを踏まえ、専門家がトンデル氏の指導教員を訪ね、早い段階から疫学調査の計画を立て始める。トンデル氏が研究に参加したのは1993年。(チェルノブイリ当時はまだ大学入学前かな?)

2012-01-29 17:59:06
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[15](感想: トンデル氏らの論文で1986-1987のがん発生件数が、事故の影響がない参照データとして利用されている。これは、事故直後の素早い計画の立ち上げのおかげだろう。一方、原理的には過去のデータを遡ることもできるかもしれないが、この点は質問し忘れた。)

2012-01-29 18:06:53
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[16] 第二部は、ワリンデル氏。原発におけるリスク要因として、燃焼や爆発を指摘。(←チェルノブイリや福島を見れば明らかですが)。これらの危険性は、酸素濃度が低いほうが抑えられる。そのため、スウェーデンの原発建屋内主要部分は酸素濃度を15%に低減している。

2012-01-29 18:16:24
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[17]一方、そのような環境で働く労働者への健康影響はないのか?という問題もあり、ワリンデル氏はそれについての研究にも従事。地上で酸素濃度15%というのは、酸素分圧的には高山(2000m級)と同程度であり健康に重大に影響はないとされている(←私の雑な解釈)

2012-01-29 18:23:35
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[18]しかし、酸素濃度への応答には個人差もあり、安全なレンジは酸素濃度が19%以上(かつ22%? 23%? 以下)。(ワリンデル氏の最終的な主張がはっきり把握できなかったが、15%の原発建屋内での労働はあまり安全とは言えない、という理解で良いのかな?)

2012-01-29 18:27:07
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[19]ワリンデル氏、原発労働者の被曝や、発がん率の疫学調査についても議論。スウェーデンの原発労働者の被曝の集団線量は、ここ20~30年でそれほど低下しておらず、逆に増加した年もあった。これは、老朽化した原発の改修に従事した労働者がいたため。

2012-01-29 18:32:19
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[20]スウェーデン原発労働者の最近の集団線量は、数 人Sv/年(?) 程度。一人あたりの被曝線量は1mSv/年ちょっと、世界平均(2mSv/年)よりは低い。最高に被曝した労働者で、15mSv/年くらい。(感想:日本でも福島事故前は公式記録では同程度だったと思う)

2012-01-29 18:36:28
Masaki Oshikawa (押川 正毅) @MasakiOshikawa

高木学校講演会[21](感想:これを見ても、日本で福島事故後に子どもにも上限20mSv/年を適用、というのは酷過ぎだよなあ。)

2012-01-29 18:39:39