第3話 「 あした 」

光野 水栄（Yukue_Hikarino） @Hika_Rarala

自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の26】　未咲は駆けだし、走りながら減速して、ハッとした表情に変わりました。そして、眠っている琴子の机の少し手前で立ち止り、「わかんないけど、何？？」言いながらふり返ると、秋本くんと目が合いました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の27】　いつも姿勢がいいと褒められている秋本くんも、まるで別の人のようにまっすぐな背中で、席に座っています――漢和辞典を手にして。「なんか、不思議ー」「だな。いつから起きてた？」大助が、歩いてきながら #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の28】　尋ねました。「調べたい名前があったんだ‥今回のことで」「そっか♪」未咲は安心しきった様子で、後ろ姿の大助が秋本くんに何か尋ねている間に、視線をパッと戻し、正面を向きました。「ラファエルさん！」 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の29】　その青年は、名画から抜け出たような雰囲気でしたが、未咲にそう言う知識はありませんでした。裾をひきずる長さの服は、薄い赤。想い出の中のリンゴのような、心に咲いたバラのような色をしています。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の30】　その薄い赤の衣装の上に垂らした金の髪は、小川がきらきら流れるようにウェーブし、胸の少し下と、腰まで届いています。真綿のように白い羽は、「あれ？ 何枚かある」「そのようですね」「‥確かにな」。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の31】　「でも、ほんとに不思議―」未咲は、ラファエルの瞳をじーっと見ながら言いました「薄い色なのに‥なんか、まるで、‥宇宙みたい」。ラファエルは、シェルピンクの唇に微笑を浮かべ、琴子の髪に触れていた #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の32】　手を放しました。すると、「ん？」琴子は、はねるように上体を起こし、ラファエルと目が合いました。「琴子！」「大丈夫か？」「琴子ちゃん、顔色よくなったね！」――確かに。という空気に包まれました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の33】　琴子は、鏡で見てくると言い、廊下を駆け抜け、女子トイレに姿を消しました。「急に‥完治か。ま、よかったけどな」「うん♪」未咲が踊りながらふり返ると、秋本くんとラファエルが何か話し合っているのが #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の34】　目に入りました。2人とも、聡明そうな横顔です。（きゃ//）未咲はドキッとして、胸の鼓動が忙しくなりました。「ま、座ったらどうだ？」大助が2つの椅子を並べ、琴子の椅子も置いて、着席しかけたとき、 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の35】　「ありがとう♪」と、未咲に座られました。「あれ？」未咲が座ると思って空けておいた椅子には、マンガ、コーラ、カラフルなメモ帳と、ピンクのシャープ・ペンシルが置かれていて、秋本くんが立って机に座り #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の36】　大助が首をかしげ、空いた席に座りました。そこへ、琴子が小走りにもどってきて、さきほど大助が置いた椅子に座りました。「椅子取りゲームみてぇ」そう言って隣りを見ると、ラファエルが座っていました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の37】　その隣りには、机に座った秋本くんがいて、制服の黒いズボンにかすかに触れる金の髪は、夢のように幻想的で、宝石のように豊かでした。ごっくん「はぁ‥回し飲みでいいかしら？」「いいけど」「はい♪」 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の38】　‥2周して、琴子の手から未咲にかえってきたところで、大助が不思議そうに「『かしら』って、」言いかけた瞬間、「未咲ちゃんは、語尾が両方だから」秋本くんが即答しました。「すごい記憶力。さすが！」 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の39】　琴子が、清楚な握りこぶしで称えました。感動しているようです。「どうか‥したのか？」「その、絶対笑わないでくれる？」秋本くんは、迷いながら言いました。「もちろん」と大助。他の3人も、頷きました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の40】　「炭酸飲料を飲んだの、生まれて初めてで、不思議な味だなって、」「うそ！ 中2なのに？」無邪気に驚く未咲に「中1でしょ？ いま3学期だから」「来年の4月から、中2な」琴子と大助が、訂正します。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の41】　「えっと、あれ？？」未咲は、わかるような、わからないようなまま、そっと着席しました。「1月‥だよな？ それとも時空が！？」走って黒板を見てきた大助が、やはり1月だから3学期だと告げました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の42】　「え？」「気配が！ だれか‥いるんですか？」秋本くんと琴子が、何かを察知しました――未咲には、わかりません。ラファエルが目だけ動かして視線を外すと、その方角から、もくっと出現しました――！ #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の43】　「え？」「お？」未咲と大助も気づき、かばい合うように立って、見守る一同。ラファエルは表情を変えぬまま、その≪何者か≫に視線を戻しました。「？」琴子が、3秒ほど、その横顔の瞳を凝視しました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の44】　教室の後ろのロッカー。その数センチ上。空中にゆらりと湧いた、時空をこじ開けたような穴から「なんか、出てきた！」慌てる未咲――ぽて。秋本くんと大助が、受け留めました。‥2人の≪小さな人≫でした。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の45】　2人の≪小さな人≫が、小さな手をついて立って見ると、その体の幅は、しっかりとくっついた4つの掌と、ほとんど同じように見えました。「ご無事で！」と、ラファエルが心から喜びながら駆けよりました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の46】　掌の上の小さな――ささのみことが深々と言いました「お陰様で」。もうひとりの小さな――アキハノミコトが言いました「ただし、問題はあるようですが」。「どうして不機嫌なんですか？」琴子が尋ねました。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の47】　アキハノミコトは周囲を確認してから、やむをえまい、という表情で言いました。「あなたたちは『正義の味方』さんですからね」――え？という声も上がりましたが、――「少なくとも3人は、そうでしょう？」 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の48】　「それ自体は、たいへん立派な行いだと思いますよ。ただ、その‥コストと言いますか‥」ささのみことの表情が、少しゲッソリいたしましたが、アキハノミコトは続けます。「ご存知ですか？ システムの方は」 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の49】　そして、「結論から申しますと‥出資者ですよ？」と、ささのみことを手で示し、「『なんか、出てきた！』はないでしょう！ 失敬な」とカンカンです。「ごめんなさい！」同時に言い、頭を下げる一同。 #HQ_hikarino_youko

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自作冒険小説『ﾊｰﾄ･ｸｴｽﾄ』【第3話の50】　「よいでしょう。まずは、明日に備えて‥ですね、」アキハノミコトは、突然、この世のすべてを許したような顔で語りだしました――未咲が幼稚園の帰りにスカウトされたことや、これまでの活動などを。 #HQ_hikarino_youko