アウェイクニング・イン・ジ・アビス #5

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ランペイジの肘が蒸気を噴出!振り回す鉄塊めいた腕はブラックドラゴンの回避に一瞬先んじた。ブラックドラゴンはランペイジの打撃衝撃に耐えきれず、ショットガンで撃たれたスイカめいて粉々に砕け散る!「もう面倒くせェわ……」四つん這いのデスドレインがゆらりと立ち上がる! 25

2012-02-03 15:37:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「今だ……!」カラテ充填の完了したメイガスがその身体を白熱化!コロナ・ジツ「ヌウッ!?」メイガスは狼狽した。彼の周りは闇だった。全方位から一瞬で迫り来たデスドレインの暗黒物質が、白熱化しつつあった彼の全身をくるんだ。「……!……!」 26

2012-02-03 15:42:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アアアアー!」シャドウウィーヴは仰け反って叫んだ。ナムサン!再び影が具現化する!ブラックドラゴン!「マスター!マスターッ!倒したいんだ!倒したいんです!」ブラックドラゴンは意表を突かれたランペイジにヤリめいたキックを叩き込む!『イヤーッ!』「グワーッ!?」27

2012-02-03 15:50:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ランペイジ!」デスドレインは叫んだ。彼の目の前には直径3メートルの黒いゴム状の球体が、同材質の支柱に支えられていた。メイガスを包んだ球体だ。球体は次の瞬間、直径50センチにまで圧縮!爆発四散!ナムアミダブツ!飛び散った暗黒物質は再び寄り集まり、ブラックドラゴンめがけて滑る!28

2012-02-03 16:01:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブラックドラゴンは既にランペイジを壁にまで殴りながら追い詰めていた。『イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!』「グワーッ!グワーッ!……グワーッ!」ナムサン、一撃必殺の無慈悲なサイバネアームも、懐に潜られれば鈍重な鉄塊に過ぎぬのだ!壁を背に、一方的に殴られるランペイジ! 29

2012-02-03 16:06:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがその攻撃が止まった!ブラックドラゴンの身体はデスドレインの暗黒物質に後ろから絡め取られていた。まず振り上げた腕が。次に脚が。頭が!絡みついた粘液が、縄めいてランペイジから引き剥がす!ランペイジは両腕を頭上へ振り上げた……そして振り下ろし、ブラックドラゴンを叩き潰した。 30

2012-02-03 16:10:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アア……」シャドウウィーヴはへたり込んだ。両目から出血していた。負担が過大に過ぎたのだ。だがデスドレインとランペイジの消耗も 並ではない。三者はゼイゼイと息を吐き、互いに疲弊した視線をかわした。シャドウウィーヴは死を覚悟した。懐のコーデックス……ヌンチャク……使命……。 31

2012-02-03 16:19:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……そこへ新たに、三人のニンジャが出現した。二人は虚空から風と共に現れた。どちらも異常な長身のニンジャで、どちらもシシマイめいた仮面を装着している。一方の装束には「ツル」とあり、もう一方には「カメ」とある。 32

2012-02-03 16:22:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

三人目は?……彼はその数秒後、ザイバツ・シャドーギルドが来たのと同様に……試練門をくぐって、歩いて現れた。浮動ボンボリに赤黒のニンジャ装束が照らされ、「忍」「殺」のメンポが光を受けた。33

2012-02-03 16:26:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シャドウウィーヴは三人目のニンジャを目にするや、その呼吸を二倍にも速めた。彼は雷に打たれたようになった。激しく震え出し、胸を押さえ、うずくまった。「ニンジャ……ニ、ニンジャ、ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー!畜生……!畜生!」 34

2012-02-03 16:30:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シャドウウィーヴはもがいた。息が出来ない。以前の記憶が……返り討ちの体験が……ブラックドラゴン師の死に際の通信が、あのミッションで失われた腕の痛みが、彼のニューロンを否応なく苛むのだ。(ニンジャスレイヤー……!) 35

2012-02-03 16:36:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。マスタークレインです」装束にツルと書かれた方のシシマイニンジャが無雑作にシャドウウィーヴのもとへ近づき、その首根を掴んだ。「ダークニンジャ=サンの御命令です。お連れ致します」シャドウウィーヴとマスタークレインの身体はつむじ風に包まれた。シャドウウィーヴは失神した。 36

2012-02-03 16:40:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……数分前!キョート某所!ザゼンルーム! 37

2012-02-03 16:44:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

猶予無し!ダークニンジャは目を見開く。ザゼンルームの向かいには秘匿されたニンジャ、ミイラめいたネクサスがザゼンしている。ダークニンジャは反ザイバツのニンジャ四人を誅したのち、一秒たりとも休まずここへ来た。ネクサスと超自然コトダマ空間を共有し、シャドウウィーヴの位置を把握した。38

2012-02-03 16:52:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

きっかけは懲罰ミッション中に無雑作に送られてきたニュースだ。ブロンズデーモンとトライデントの死。殺したのはオミヤゲ・ストリートから逃れた犯罪者ニンジャ。遺跡の情報を得た可能性がある。彼のニンジャ第六感は虫の知らせめいたノーティスをニューロンに送り込んで来た。39

2012-02-03 16:56:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

仮にあの二人がコフーン遺跡に到達する事があれば、シャドウウィーヴは死ぬ。偶然に偶然が積み重なればそうした事態が導かれる。しかして、その直感は当たった。ダークニンジャは立ち上がり、ネクサスのザゼン・ルームを出る。暗黒の廊下を足早に進みながら、彼は二体の運命者へ呼びかけた。 40

2012-02-03 16:59:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(来い)「いかがなされた」「いかがされました」即座に応答があり、廊下の突き当たりにマスタークレイン、マスタートータスの姿が現れた。ダークニンジャは言った「今からコフーン遺跡へ飛べ。ベッピンの名において命ずる」「コフーン?」「ヌンチャクにご執着と?」彼らは訝しげに首を傾げた。 41

2012-02-03 17:03:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「違う」ダークニンジャは否定した。「ニンジャを連れて戻れ。私の部下のシャドウウィーヴを」「何を仰るか!?」マスタートータスが食い下がった。「下郎の命を?なんとおいたわしきか。お疲れです」「我らが運命力は左様な卑小目的に用いてはなりませぬ」マスタークレインが言った。 42

2012-02-03 17:07:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「切り捨てなされい」マスタートータスが言った。「栄光に影が落ちまする」とマスタークレイン。ダークニンジャはベヒーモスでの事件を……トゥールビヨンの死を思い返した。無慈悲に切り捨てた部下を。トゥールビヨンはカラテの才に長けていた。だが愚かなニンジャだった。 43

2012-02-03 17:15:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そして何より、懲罰騎士となり、足掛かりを得た今は状況が違う。シャドウウィーヴには才能がある。そして想像力が。アイボリーイーグル。パープルタコ。ダークニンジャの後ろ盾であるニーズヘグ。彼ら同様、シャドウウィーヴもまた、今のダークニンジャがいたずらに失ってはならぬ力のひとつ。44

2012-02-03 17:21:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼の胸には、容易に明かす事の無い、漠然とした構想があった。ニーズヘグですら、彼の無言のアトモスフィアの内に、何がしか感じ取っている程度だろう。ましてやそれは、彼の目の前に立つ二体の運命者に、むざむざと言って聞かせる話ではあり得ない。45

2012-02-03 17:31:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は運命を激しく憎悪した。それは激情であった。同時に、彼の冷たい理性は、淡々と、その激情を実行に移すロジックを……運命を呪う方策を、組み立てつつあった。「繰り返す。ベッピンにおいて命ずる。ゆけ」「……」「……」ダークニンジャは妖刀を抜いた。刃が鳴った。二体は風に消えた。 46

2012-02-03 17:40:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゼンダ=サンか?オヌシ」ニンジャスレイヤーの第一声はそれであった。ランペイジはニンジャスレイヤーを見た。「……」その眉がぴくりと動いた。ニンジャスレイヤーの声と眼光とで、思い当たったのである。「……ランペイジ」だが、彼は無感情にそう名乗ったのだ。 48

2012-02-03 18:10:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あン?」デスドレインはニンジャスレイヤーを睨んだ。「……どっかで見たなァ、アー……気に入らねェ目をしてやがるぜ、お前!」一方、マスタークレインはシャドウウィーヴを掴み上げていた。「ダークニンジャ=サンの御命令です。お連れ致します」二者の身体がつむじ風に包まれる。 49

2012-02-03 18:16:42