食料安全保障を考える(食料自給率の問題点等)

ブログの更新時の大雑把なまとめの呟きをまとめたもの。 時間軸の通りだと、いきなり定義の話がでてきて面白くないので、 世間的に関心の高い自給率の問題点を冒頭にもってきた。 時間が歪んでいるのはそういう理由です。 更新の都度、こちらにも反映させたい。
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Archer.K @Archer_K

「食料安全保障」を考える http://t.co/yybfqjoK  Twitterは非常に便利な反面、体系的な管理が困難なので、試験的にではありますが、アウトプットの一環としてブログを開設しました。今年こそは、食料安全保障についての一定の発信・受信をしていきたいと思います。

2012-01-03 21:46:25
Archer.K @Archer_K

「食料安全保障」を考える:食料自給率の問題点(1) http://t.co/USHPKwGHを、更新しました。

2012-02-04 23:29:40
Archer.K @Archer_K

1.食料自給(率)という考え方は日本だけが主張している、という煽りがある一方で、WTOでも数多くSelf- Sufficiencyに関する政策について触れられており、国際的に全く論外の議論というのはデマである。食料自給率という指標の危うさを理由に乱暴な議論をするべきではない。

2012-02-04 23:31:03
Archer.K @Archer_K

2.食料自給率の計算は、消費量のうち国内生産量が占める割合であるため、輸入が停止すると自給率は100%になる。危機が発生して十分な食料供給ができない状態になることにより数値が改善される指標であれば、それが適切な指標でないことは明らかである。

2012-02-04 23:31:18
Archer.K @Archer_K

3.輸入が止まると数字上は良くなる、というのは「自給率」という概念自身が抱える矛盾であり、生産額ベースであっても危機時に100%になる点では同様であるため、「生産額ベースなら自給率は高い」というのはカロリーベース自給率に対する建設的な反論になっていない。

2012-02-04 23:31:32
Archer.K @Archer_K

4.自給率の基礎とすべきは生産額かカロリーか、というのは分子の「国内生産量」の適切性をめぐる議論であり、根本的には「消費量」の方に目を向ける必要がある。分母が一定であれば輸入が途絶したとしても自給率は向上せず、少なくても「自給率」という指標自体の根本的な矛盾は解決される。

2012-02-04 23:31:45
Archer.K @Archer_K

「食料安全保障」を考える:食料自給率の問題点(2) http://t.co/yybfqjoK を、更新しました。

2012-02-05 14:40:21
Archer.K @Archer_K

5.「望ましい食料消費状態」のようなものを分母にすることで危機時にも機能し、かつ、飽食を前提としない指標となる。併せて健康な食生活を誘導することで、社会保障費を抑制する外部経済性に期待したい。なお、これは従来の延長に過ぎず、決して国家が食生活を強制するわけではない。

2012-02-05 14:40:49
Archer.K @Archer_K

6.自給を目的とした指標(分子は国内生産量全体による供給熱量、分母は「望ましい」供給熱量)では、輸入途絶に力点を置きすぎているため、輸入が減少して食料消費に危機が迫りつつある場合にも「自給率」が変化せず、警告機能が無い。また、国内生産量を増やしても分母と乖離してしまう。

2012-02-05 14:41:35
Archer.K @Archer_K

7.食料安全保障を目的とした指標(分子は国内生産量全体+輸入量-輸出量による供給熱量、分母は「望ましい」供給熱量)では、国内生産を増やしても輸入が減れば自給率は一定であるため、単純には自給を目的とした指標にはなりえないが、逆に言えば、自給と輸入に対して価値中立的な指標である。

2012-02-05 14:42:00
Archer.K @Archer_K

8.国産と輸入を合わせた食料が「望ましい」消費水準に収まっているか否かを確認し、輸出量の増加によって実際の摂取量以上の数値が指標に反映されることも避け、(平時には見え難いが)危機時の想定を付す(輸入を減じて計算してみる)ことで結果的に危機発生時の食料自給率も計算することができる。

2012-02-05 14:42:21
Archer.K @Archer_K

9.平時には食料安全保障充足率で、有事を想定する際には食料自給充足率を使うことで「food preferences for an active and healthy life.」を満たすことができる自給能力を有しているかを確認する。

2012-02-05 14:42:34
Archer.K @Archer_K

食料供給能力と食料自給の意義(1)-総論 : 「食料安全保障」を考える http://t.co/AxQfvRvh  を、更新しました。

2012-01-08 16:55:56
Archer.K @Archer_K

1.食料自給をすることの意義を検討するが、これらが全て否定された時点で「Quantity Concernの観点からは食料安全保障の実現のためには食料自給を行う意義は無い」という結論になるため、特に重要と考えている。

2012-01-08 16:56:43
Archer.K @Archer_K

2.世論調査等においても、国民の圧倒的多数が食料自給率の向上を望んでいるとされているが、一方で、日本が紛争に巻き込まれること、世界的な食料危機の発生、日本の輸入キャッシュ不足などの蓋然性が極めて低い(又は対応可能である)ことを理由にこれを否定する指摘も多い。

2012-01-08 16:57:15
Archer.K @Archer_K

3.国内農業生産の生産性向上を阻害する規制や組織活動などを徹底して排除することは当然の前提だが、食料安全保障への懸念に対しては経済効率性の議論をしても反論としては意味が無い。リスクに対してはリスク自体への反論が必要。

2012-01-08 16:57:31
Archer.K @Archer_K

4.食料安全保障論においては、食料生産よりも食料供給という視点で議論する必要がある。供給手段には、自給という手段の他、輸入という手段があり、後者については交易・輸送路の安全確保と、輸入先のリスク分散が不可欠である。また、貿易ルールの適正化も食料安全保障の重要なテーマであるべきだ。

2012-01-08 16:59:03
Archer.K @Archer_K

5.自給をせずとも輸入で確保する、というのであれば日本が交易・輸送路における安全保障上の役割を果たす必要がある(「良好な外交」はもちろん大事だが、抽象的すぎるので議論しない)。また、世界の食料問題を解決することが日本の食料問題にも影響を与える。

2012-01-08 16:59:46
Archer.K @Archer_K

6.食料自給の意義を考える上では、「国家主権」という観点が必要となる。この観点を踏まえると、食料安全保障のために海外農地を取得するという主張も、単なる経済的な問題であって本質的な解決ではないことが分かる(食料危機時の侵攻を考えてのことならば話は別だが)。

2012-01-08 17:00:02
Archer.K @Archer_K

「国際機関における「食料安全保障」の認識」を更新しました。 /bit.ly/uFzBC7 これでひとまず食料安全保障についての定義は終わりの予定。

2012-01-04 23:22:34
Archer.K @Archer_K

1.FAOの定義する食料安全保障においては、「for an active and healthy life」の表現が重要であり、これは国家単位の切り口で見た場合に、多様な目標を許容するものである。一方で、非常に抽象的である。

2012-01-04 22:45:31
Archer.K @Archer_K

2.WFPの目指す食料安全保障は、特に自給に限定しておらず、あらゆる手段の組み合わせを許容している。また、「食料安全保障が実現された状態」として、カロリーベースを基準としている。

2012-01-04 22:45:43
Archer.K @Archer_K

3.WTOはFood SecurityとFood Safetyとを区別しており、日本における食料安全保障と食品安全という概念の区別の方法と近いものがある。このことから、国際貿易交渉においては、少なくても定義の違いにより食料安全保障の正しい議論がなされないということはないだろう。

2012-01-04 22:45:55
Archer.K @Archer_K

4.前回・今回の認識の違いによって、ある程度概念が網羅されているため、食料安全保障に関する議論の際にはこれらの主体における認識を参考にすると良いのではないだろうか。

2012-01-04 22:46:04
Archer.K @Archer_K

1.食料安全保障(Food Security)はQuantity ConcernとQuality Concernとに区分できる。前者については日本での認識や、EUにおける飢餓撲滅の文脈で用いられ、後者については米国での認識に用いられる(EUの呼ぶFood Safetyと類似)。

2012-01-03 21:49:12