セシウムの挙動

生物濃縮などセシウムの挙動について 物理化学がご専門のこなみひでおさんと 物理学者 菊地誠さんのツイートをまとめて見ました。
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東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

食品を通したセシウムによる内部被ばくは、「水俣病」を連想させるところがあるようです。水俣病は、チッソ水俣工場からの有機水銀が食物連鎖によって濃縮されたことが原因です。高濃度に汚染された魚を食べた住民の脳組織に「脂溶性」の有機水銀が沈着し、神経障害を多発させました。

2012-02-06 09:15:33
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

一方、放射性セシウムでは、有機水銀のような「生物濃縮」はほぼ起きません。セシウムは、カリウムに近い「アルカリ金属」です。体内に取り込まれると、カリウムと同じように全身の細胞へほぼ均等に分布し、尿に排泄されていきます。これは、福島県内で安楽死となった家畜の分析でも確認されています。

2012-02-06 09:19:41
こなみひでお @konamih

生物濃縮は,PCBなど難溶性有機化合物が脂肪組織に取り込まれ,食物連鎖を通して6,7桁も濃度が上昇することが見つかって,大きな問題になった。それに比べるとセシウムはメカニズムが異なり,濃縮は2桁程度なので顕著ではない。とはいえ,チーム中川の説明はメカニズムを何も考えていない。

2012-02-06 09:47:17
こなみひでお @konamih

福島沿海でとれた魚類のセシウムイオンについては,昨夏に100倍程度になるものが見つかっていて,カリウムチャネルを通じて取り込まれるものと考えられている。これは能動輸送であって,濃度勾配と逆にイオンが移動する仕組み。ただしカリウムと全く同じ振る舞いをするわけでもない。

2012-02-06 09:51:17
こなみひでお @konamih

自分でも去年の3月時点では,セシウムイオンの挙動をアルカリ金属一般の属性から見て,雨水や地下水に溶けてどんどん移動しているだろうと思ったものだ。教科書通りだ。しかしセシウムはちがった。ある種の鉱物にはまり込んで取れなくなり,土壌にトラップされることが分かった。

2012-02-06 09:57:19
こなみひでお @konamih

ただし,セシウムイオンが水にきわめて溶けやすいことは紛れもない事実で,教科書が間違っているわけじゃない。一方で,化学の実験に通じたものであれば,特定のイオンをサイズで選り分ける分子ふるいを知っていて,アルカリ金属といえどもそれぞれに個性があることをよく認識してはいる。

2012-02-06 10:01:23
こなみひでお @konamih

生化学や分子生物学を学んだ人であれば,細胞膜はイオンを選択的に通すチャンネルを持っていて,細胞内には体液中よりも高い濃度でカリウムが取り込まれることを知っているはず。セシウムもそれによって濃縮されることになる。ただし係数が違い,排出挙動も異なるわけで同一視はできない。

2012-02-06 10:06:04
こなみひでお @konamih

教科書に書かれているような普遍的な事実がひっくり返ることはまずない。ただ,その上でもっと個別的な法則が成立するわけだな。一筋縄ではいかない。よく日常会話でも言うよね。「それは深いなあ!」って。

2012-02-06 10:11:43
あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

放射性セシウムは蓄積するかといえば、摂取量と排出量のバランスで決まる平衡量まで「たまる」。しかし、たまるかどうかじゃなく、被曝量は総摂取量に比例するということですよ

2012-02-06 10:23:46
こなみひでお @konamih

濃度の平衡は基本的に同じ濃度(浸透圧,活動度)になるということですが,それは違いますね。 RT @kikumaco 放射性セシウムは蓄積するかといえば、摂取量と排出量のバランスで決まる平衡量まで「たまる」。

2012-02-06 10:27:42
こなみひでお @konamih

もっとも生物の場合でもイオンの移動は可逆的なので,脂溶性物質の濃縮のような極度の濃縮にはならないのですが。 RT @kikumaco

2012-02-06 10:29:42
あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

能動輸送の効果も排出速度に含まれています “@konamih: 濃度の平衡は基本的に同じ濃度(浸透圧,活動度)になるということですが,それは違いますね。 RT @kikumaco 放射性セシウムは蓄積するかといえば、摂取量と排出量のバランスで決まる平衡量まで「たまる」。”

2012-02-06 10:30:04
こなみひでお @konamih

それを「化学平衡」というのは違和感がありますが,海水中よりも濃度が高くなることは確かですね。 RT @kikumaco 能動輸送の効果も排出速度に含まれています “@konamih: 濃度の平衡は基本的に同じ濃度(浸透圧,活動度)になるということですが,それは違いますね

2012-02-06 10:33:00
こなみひでお @konamih

「化学平衡」というのは,基本は化学ポテンシャル(濃度等)による成分濃度の釣り合いという意味。

2012-02-06 10:34:08
あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

@konamih 「化学平衡」という表現をすると違和感がありますね

2012-02-06 10:34:38
こなみひでお @konamih

能動輸送は「非平衡状態の熱力学」の領域なので,「平衡」という言葉は適切でないというのが,「違和感」を感じる理由です。

2012-02-06 10:36:45
あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

@konamih それは例の「動的平衡って言葉はおかしいじゃん」っていうのと同じ話ですよね

2012-02-06 10:40:30
こなみひでお @konamih

生物が死ぬと,ATPが尽きてまさしく平衡状態が成立することになる。この時にはセシウムイオン等も(他の生物に取り込まれない限り)海水中の濃度に等しくなっていくが,海底の泥にトラップされて拡散が抑制されることもあるだろう。

2012-02-06 10:40:48
こなみひでお @konamih

@kikumaco まあ,専門家によって言葉から受けるイメージは異なりますからいいんです。いずれにしても海水よりも高い濃度で取り込まれることもあるし,体内でも濃縮される部位があるということを認識しておかなければということは確かですね。

2012-02-06 10:44:07
あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

.@konamih 濃度が一様になるとは限らないのはヨウ素やストロンチウムを見れば明らかで、能動的なプロセスが働くわけですね。セシウムはカリウムポンプを不完全に利用する

2012-02-06 10:46:42
こなみひでお @konamih

「動的平衡」にしても,「平衡系における釣り合いは物質の移動が正逆同じなので,一見静止して見えるが,そうではない」という意味で使われることもあるし,「エネルギーや物質の流れが存在する系における定常状態」を指すこともあると思う。

2012-02-06 10:50:38
こなみひでお @konamih

@kikumaco 濃度が一様にならないのは,能動輸送のせいだけではなくて,より安定な化学的状態に落ち着く(言ってみれば反応して取り込まれる)こともありますね。ヨウ素やストロンチウムの挙動とかセシウムが泥に高濃度で取り込まれるのはむしろそれ。

2012-02-06 10:54:48
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

セシウムはカリウムと同様、尿として排泄されていきます。乳児だと9日、大人でも約3カ月で体内の量は半分になります。セシウム137の半減期は約30年なので、体外に排泄されたセシウムは地球のどこかに存在することになりますが、有機水銀と異なり、身体に蓄積していくことはありません。

2012-02-06 17:11:45
こなみひでお @konamih

今朝の生物濃縮の話。元々これはPCBなど脂溶性物質が脂肪組織に蓄積されて,食物連鎖の中で数千万倍に濃縮されるケースが大きく取り上げられた。しかし福島事故では近海の魚介類でセシウムの蓄積が見つかり,もっと濃縮程度の低いケースが問題になったが(続く),

2012-02-06 22:27:07
こなみひでお @konamih

それについて当初農水省は生物濃縮と見なさなかった。それでも濃縮されていることは違いないので,それも含めるように概念が修正された経過があると記憶している。ただしこの場合にはPCBのケースよりは遥かに低い濃度で頭打ちになることは明らかなので,単純に同列に見ないほうがいい。

2012-02-06 22:28:01