虐待を受けやすい子ども側の因子
虐待のハイリスクとなりうる児側の因子はいくつかありますが、潜在的で深刻なものが「発達障害」です。発達障害=広汎性発達障害(PDD)や注意欠陥/多動性障害(AD/HD)だと思っていただいて概ね間違いない。
2012-02-12 17:53:49ある程度年齢がいけば、学習障害(LD)や知的発達障害(MR)などもハイリスク因子になります。特に前者は身体虐待のみならず心理的虐待を受けやすい。
2012-02-12 17:55:00他には、NICU入院歴のある児、長期間の不妊治療によって授かった児など。後者に関しては、非常にデリケートなんで指摘するのは正直おっかないし危ない。勘違いする人も多そうだし・・・
2012-02-12 17:56:23さて、PDDやAD/HDが虐待のハイリスク要因になる理由は、もう単純に「育てにくい」から。PDDは乳児の時点から母親とのコミュニケーションに支障をきたすことがあり、児との愛着形成が上手く出来ない。そのうえ、パニックになると激しく啼泣して手に負えない。どうしたらいいかわからない。
2012-02-12 18:01:15ADHDは、もうとにかくじっとしてない。ちょろちょろちょろちょろする。歩くようになったら片時も目が離せない。注意しても一向に聞かない。しかると一瞬は聞きそうだけれど、すぐに同じ危険に飛び込んでいく。親としては気が気じゃないんでどんどん叱り方が強くなる。叱れば叱るほどきかなくなる。
2012-02-12 18:02:56PDDとADHDは併存することが良くあり、これがまた虐待リスクを引き上げる。曰く、「うちの子はなに考えてるかわからない・・・」「他のお母さんたちはあんなに楽しそうに育児しているのに、私は子どもに腹を立ててばかりだ」「母親失格」etc.
2012-02-12 18:04:16こうなるともう悪い連鎖にハマってしまう。母親の自尊感情はどんどん傷つき、児の一挙手一投足が目について仕方なくなり、常にイライライライラする。これが長期間にわたる暴行やネグレクトに繋がることもあるし、ある時、思い余って致命的な暴行に発展することもある。
2012-02-12 18:05:47もちろん、発達障害のある児だから、虐待されても仕方がない、とはならない。ただ、虐待のハイリスクであるのは事実。まずはそれを知らないと、ハイリスク因子のある児を救うにはどうしたらいいか、という議論に入れない。
2012-02-12 18:08:05「発達障害があろうと、親であれば子を愛して当然」と言う人は、発達障害に関して完全に無知であるか、自身がPDD圏の発達障害を持っているかのどちらかだろうと思う。診断名がつくような発達障害児の厄介さはそうそう理解はできない。
2012-02-12 18:14:26発達障害の子どもは、PDD,ADHD,LDを合わせてまぁ大体10%程度いると思われる。数値は諸説あるんでざっくりとした数字だけど、1学年に1人ないし2人はいることになる。それだけの児が被虐待ハイリスク要因ってことだ。潜在的な被虐待児ってのはこの要因だけ取り上げてもかなりいる。
2012-02-12 18:17:54潜在的な虐待で、ニュースにならない程度のものがどうなるかって、心身症的な症状を訴えて小児科を受診してきたり、我慢に我慢を重ねて将来的に精神科領域の症状を呈するようになる。
2012-02-12 18:19:27maltreatment(マルトリートメント)という概念がある。日本語に訳すと、「不適切養育」という言い方になるけれど、その概念に照らすとmaltreatmentに置かれている児童ってのは感覚的には半数以上、ことによると8割超えるんじゃないかと思える。まぁ割合は俺の妄想。
2012-02-12 18:22:05maltreatmentに関してはhttp://t.co/MokJpWrH がとってもまとまっているだろう。(pdfなんで注意)
2012-02-12 18:22:34