「I love youを僕が訳したら」

「I love youを僕が訳したら」/かみ(@fuzi0ka)作 創作ツイートをまとめたもの。未完。
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かみ @fuzi0ka

「俺、昨日からいろいろと考えたんだけど」 彼女が望む言葉がわからないのなんて、当たり前のことだ。 「バカだからさ、何もわかんねぇ」 だったら、全てを言葉にしてしまえばいい。 「だから、俺の気持ち、全部話すから聞いてくれ」 彼女への感謝も愛しさも願いも全部。

2012-02-29 22:55:03
かみ @fuzi0ka

 少年は少女を見据えて、大きく息を吸った。 「俺が歩く道は、お前が手を引いてくれるから、お前の背中しか見えなくて、」 『好き』でも、『愛してる』でもなくて、 「お前が見ている景色を俺は知らない」 『どうして好きなのか』、『どうして愛してるのか』を言葉にすることは必要だろうか。

2012-02-29 22:56:08
かみ @fuzi0ka

「それはもちろん、お前のせいなんかじゃない。甘えすぎてた俺のせいだ」 言葉なんてものは、とても曖昧であやふやで。 「今さら気づくなんて、遅いよな」 でも、それでも、言葉にしないと伝わらないことばかりだ。 「ごめん」 少年が頭を下げると、少女は首を横に振って俯いた。

2012-02-29 22:57:04
かみ @fuzi0ka

「俺には、お前の前を歩くなんてのは、たぶん無理だ」 それから、少年は柔らかく微笑んだ。 「だけど、まだまだ俺にはできないことだらけで頼りないだろうけどさ、」 少年が少女に近づいて、顔を上げさせると、 「俺はもう、一人で前に進めるぜ?」 涙をいっぱいに溜めた少女の瞳と目が合った。

2012-02-29 22:57:55
かみ @fuzi0ka

「俺は、お前と同じ景色が見たい」 彼の偉人たちがそうしたように、俺は『I love you.』をこう訳そう。 「俺もそっちに行くから、お前もこっちに来いよ」 その言葉に、とうとう少女の瞳から涙が溢れた。 次第に嗚咽が混じり、魔法が解けたように、少女の顔はぐしゃぐしゃだ。

2012-02-29 22:59:56
かみ @fuzi0ka

 少年は少女を抱き締めた。自分よりも小さくて、弱々しい彼女の全てを。 「やっと、隣に立てた」 少年が安堵したように愛しそうに言うと、少女が少年の背に手をまわして言った。 「……遅いよ。バカ」 それは、意地っ張りな彼女なりの愛の言葉。 【おわり】

2012-02-29 23:01:04