#この書き出しいかがですか まとめその1(2/26)
ある日突然、なんの前触れもなしに、月は空の定位置に留まって、私の後を着いてくるのを止めた。さよならは言ってくれなかった。振り返ってみたら、月はもう動かないまま凍った瞳で私を見ていた。寂しい想いは抱かなかった。だって、それは優しいことだったから。何処にいても見ててね。 #書き出し
2012-02-26 01:25:13「私はベジタリアンです」 先生は、新しいクラスでの自己紹介をそう締め括った。 #この書き出しいかがですか
2012-02-26 00:55:43その羽ばたきは次への福音。そう言い残して彼は僕らの前から姿を消した。幼い頃からずっと面倒を見てくれていた近所の兄さん。僕が好きな人が出来たと打ち明けた時も本当に嬉しそうに応援してくれた。彼女と一緒に3人でよくドライブにも行った。そんな兄さんに僕らの進路を相談した頃から #書き出し
2012-02-26 01:28:02その羽ばたきは次への福音。幸運の青い鳥は、僕の前に現れないままだ。小さな雀を捕まえて、強引に青色で染めてみた。 一昔前のカラーひよこのような雀は僕を残して飛び立った。その羽音を聞いて、僕はなんて愚かなことをしたのだろう――と、今更思うのであった。 #書き出し
2012-02-26 01:37:38屋上でただ一人、黒猫がにゃあと鳴く。それが今宵の集会の合図だった。都会では猫たちの集会の場所だった空き地もだいぶ減ってきた。最近の集会は、もっぱらビルの屋上と相場が決まっていた。今夜の召集役の黒猫もそんな変遷を目の当たりにしてきた。「住みにくい世の中だ」にゃあと呟く。 #書き出し
2012-02-26 02:30:28私を呼ぶ声が耳障りで私は私の鼓膜を破った。だって、世界は煩いんだ。私を呼んで、呼んで、呼んで、ねぇ、どうしようというの? 破り捨てた仮面に驚いた顔を見せる人たち。でも、もう何も聞こえない。これで良い。――ああ、でもあの人の私を呼ぶ声も聞こえなくなっちゃったな。 #書き出し
2012-02-26 01:38:17私を呼ぶ声が耳障りで私は私の鼓膜を破った。それでも私を呼ぶ声はやまない。ああ、でもそれは仕方がないことね。耳から滴る血液の生温さを感じながら私は溜め息をついた。だって私を呼んでいるのは私だもの。ねえ、先生。私の中に私はあと何人いるんですか? #書き出し
2012-02-26 01:47:00私を呼ぶ声が耳障りで私は私の鼓膜を破った。気付けばまだ聞こえるおかしい確かに私は鼓膜を破ったはずだしかし私を呼ぶ声はどんどん大きくなるまるで近づいてるようだ ここには私しかいないのに。そこで私はふと気付いたもしかしたら心が呼んでるのではと私は心を破いた。#この書き出しいかがですか
2012-02-26 02:14:13私を呼ぶ声が耳障りで私は私の鼓膜を破った。気付けばまだ聞こえるおかしい確かに私は鼓膜を破ったはずだしかし私を呼ぶ声はどんどん大きくなるまるで近づいてるようだ ここには私しかいないのに。そこで私はふと気付いたもしかしたら心が呼んでるのではと私は心を破いた。 #書き出し
2012-02-26 02:16:44昨晩殺した友人から『今夜会おう』とメールが来た。どうやら僕はまた失敗したらしい。とりあえず肯定を返ししばらく自室で待機する。刺殺絞殺毒殺殴殺もうなにを試せばいいやら、「やあ。来たよ」ドアが開いた。僕の顔を見て彼は笑う、「君、いい加減諦めな。もう日付は先へ進まないんだ」 #書き出し
2012-02-26 01:32:12羊水の中でみるような、なまぬるくてあたたかい夢。寝る直前まで彼女に甘えていたせいか、夢の中でも僕は彼女に抱かれ、甘えてしまっている。先ほどまでの激しい快楽とは異なる、ゆったりとした心地よさの中で、僕はふわふわと浮かんでいる。目が覚めたら・・また、甘いひと時を過ごそう。 #書き出し
2012-02-26 01:47:39羊水のなかでみるような、なまぬるくてあたたかい夢。起きてからもいつまでも肌にまとわりついてくる。ゆうべ普通に寝たはずなのに。ぶつぶつ文句を言いながらふと顔を上げると、目の前に見知らぬ少女の姿があった。「??」目を瞬かせた瞬間少女は姿を消して。妙に寂しそうな顔をしていた。#書き出し
2012-02-26 01:53:56羊水のなかでみるような、なまぬるくてあたたかい夢。僕は胎児のように丸まり、そのやわらかさに包まれていた。だけど夢からはいつか醒めなければならなくて、幸せと悲しみは表裏一体であることを知る。 #書き出し
2012-02-26 23:13:47投げつけた石が月を揺らして、宵闇は足下で蜷局を巻いている。漆黒の闇の中を蠢く影があった。奴らは人を襲う。有り体に言えば妖かしの類だ。そんな悪しき妖かしを封ずるのが我が血族の命脈であり、土御門本家を裏から支えてきた陰陽師部隊であった。今宵も休ませては貰えぬようだ。 #書き出し
2012-02-26 02:11:56恋の味はレモン味。だけどレモンの実はすっぱいし、皮は苦い。この夏そうだった。僕は海の家でバイトをしてた。店長はビンテージのアロハを着こなす理想の中年だった。現役の頃のサーフボードもビンテージ。店内に飾られていた。海の男の焼けた素肌を見るたびにキュンとした。 #書き出し #BL
2012-02-26 16:48:36