「この書き出しいかがですか」応答側、「書き出し」

ゆうり☆ノア @yuuri_noah

君は月の裏側にいるのだと、思うことにしている。 無言の君に僕は話しかけ続ける。病人に話しかけることは必要と言われたから。「よく眠れたかい？」無言の君に僕は愛おしいと感じた。ふと、君が話したらどうしよう、と思った。……そうだ、二人で月へ行こう、二人なら飛べるはずさ。＃書き出し

コーヒー豆 @C_beans379

間違いなく俺の方が君よりバカだった。惚れてるくせに、俺を振った君。馬鹿。隠れたつもりで泣いた君。全部知ってんだよ、馬鹿。でも君を迷わず抱き締められなかった俺の方が、呆れるほどの馬鹿だった。空っぽになった君の家を通り過ぎ、 唾を吐いて、堪らず泣いた。 #書き出し #twnovel

すだち🌱暁月6.55済 @ExrioDyuri

ポケットに手を突っ込んだ。慌てて引っ張り出した飴を、そろそろと差し出す。彼女は一瞬目を丸くしてから、「こういう時はハンカチじゃないの」と言う。「あ、そうか、あの、」「ありがとう」どうやら泣き止んでくれたみたいだ。 #書き出し (@wa_kun)さんのお借りしました。

ゆうり☆ノア @yuuri_noah

あの人は素直じゃない。 いい加減私に振り向いてくれないかな。毎日一番に彼に話しかけているけど反応なし。お弁当を作ってくるけど受け取ってくれない。でも、私は諦めないんだから！ でもいい加減疲れたなー、屋上にいた私の元に彼が柵を乗り越えて来た。彼を突き落とした、これで一緒。＃書き出し

ゆうり☆ノア @yuuri_noah

ここはいつも劇場の外だった。 誰に見られるわけでもなく、一人でいる。声をかけてくる者などいない。一人で小さな劇をする。もちろんお金なんてもらえない、時々おいていってくれる人はいた。それだけで食いつないでいた。僕はきっとあの舞台にたつ、そしてあいつらを…… ＃書き出し

向坂くじら🟡初小説掲載「文藝」夏季号4/6発売 @pomipomi_medama

テディベアの瞳には色がない。物心ついた時には側に居た小さなビーズの瞳。昔はどこに行くにも共に出掛けて、学生になるとベッドの中で、私の涙も悪夢もこの眼で見つめてきたのだ。「さよなら」整理した部屋に佇む彼に、そっと声をかけた。私は、明日妻になる。#書き出し @nipa0_0apin

ソヨゴ／新刊通販中 @syg_ori

テディベアの瞳には色がない。彼らはこの世界を見る時に一切のフィルターを通さず透明に見つめられるのでしょう、僕の目は青、君の目は茶、僕らは僕ら越しにしか世界を見れない。ああ、神様に近いのは、生き物というよりむしろ無機物の方なのかもしれない。心は、不純物。それ無きが無垢。 #書き出し

千早 @tatsuya_chi

あなたは向こう見ずすぎるのよどうして背中に目玉がないの？いつもお前は戦いの前にそう言うな。でもさ、目玉がない代わりに、おれの背中をお前が守ってくれる。おれの背中をお前が守ってくれるから、おれは向こう見ずに、争いに身を投じることができる。そうだろ相棒。 #書き出し ＃twnovel

向坂くじら🟡初小説掲載「文藝」夏季号4/6発売 @pomipomi_medama

涙と海は、零度じゃ凍らない。僕の台詞に、彼女は濡れた睫毛をわずかに伏せた。「塩が混じっているからでしょ」「そうじゃない。海が凍ったら多くの命が死んで、多くのひとが悲しむから」「私の涙が凍ったところで、誰が悲しむの」ああ、言わないと、解らないか。#書き出し @nipa0_0apin

深青 @synnblue

「私ね、夢があったんだ」うつむき加減の君が話し出す「風に乗って世界中を駆け回って」そんな子どもじみたことを「君の街まで旅をして」行きたければいけばいいさ「いっぱい君に届けたかったの」そんなことよりずっと一緒にいよう「だから」「うん。サヨナラ」あれ以来君が夢に出てこない　#書き出し

ゆうり☆ノア @yuuri_noah

きっともうすぐ地球は滅びるんだ。 そう、僕の直感が訴えていた。いつもと変わらない朝だった。「ねぼすけ、おいて行くぞー？」幼馴染の声に慌ててカバンを持ち玄関をでる。……退屈な授業は終わった。「今日は地球が滅びる日だね、早くテレビ中継見ないと」別の星の滅びる様は面白い。 #書き出し

嘘つきプラム @ps_plum

「お前なんか、死ねばいいんだ」魔女は呪文も唱えず怒りのままに暴れだした。王子は剣を振り下ろし、少女はただ王子を見つめている。魔女が血を流そうと少女は何も感じない。魔女の命を奪ったことに罪の意識など生まれない。そう、この世界は少女が幸せであれば、死でさえ他人事なのだ。 #書き出し

*ris* @xcatenax

影だけ重なった指先が、触れる事は無い。本当に近いこの距離が、本当は一番遠いと初めて知った瞬間。「好きだ、よ」「俺も」言葉だけが、虚しく響く。悲しくても、現実を見たくなくて俯けなかった。 #書き出し #twnovel @uryu_uryuryu

水木ナオ @nayotaf

#twnovel ポケットに手を突っ込んだ。服の形が崩れちゃうよ、と顔をしかめたのは一人目の彼女。転んだら危ないでしょ、と叱ったのは二人目。だったら私と手を繋いでよ、と甘えてきたのは三人目だった。目線の先には手を振る女の子の姿。さて、四人目はどうかな。 @wa_kun #書き出し

ゆうり☆ノア @yuuri_noah

「お前なんか、死ねばいいんだ」 そう言ったのはまだ幼い少年。「そのセリフ10407回目だ」この子の親(勇者)には借りがある、私は元魔王だ。そのため、子守りをしているわけだが、これは将来が有望だな。 ＃書き出し

○まる （黒苺） @rosekinmokusei

「お前なんか、死ねばいいんだ」「‥‥それは、死んだら貴方の元へ行けるから？」「‥‥‥‥そうか、俺死んでたのか。じゃあ来るな」「どっちよ」「知るかよ、知らん。もうお前なんか知らない。‥‥さっさと他の奴と付き合ってろ」「ﾌｩ‥‥相変わらず矛盾だらけね」 #書き出し

@hadame_sizima

ポケットに手を突っ込んだ。長年の悪い癖と理解しながら直せないものの一つだ。きっかけは思い出せないが、強いていえば中学生の頃にかっこつけて始めたのではなかっただろうか。歩きながら何度も転びそうになり、それでも断固として手を晒すことはなかった。…われながら馬鹿くさい。 #書き出し

@hadame_sizima

ポケットに手を突っ込んだ。じんじんと痛む霜焼け気味の手を二月の風から庇い、駅へ向かう。ーーー今日は風が冷たい。頬に吹き付ける霰とも氷ともつかぬそれが容赦なく僕を叩く。擦れる度小さく肌に傷がついているような気がした。それでも僕は駅へ向かわねばならない。#書き出し

ゆうり☆ノア @yuuri_noah

｢夢と愛って似てるよね｣と君は呟いた。僕はその言葉に不安感を煽られた。なぜだろう？ 僕らは付き合っている……はずだろ？ 愛し合っているだろ？ 明日は結婚式だよな。お前の晴れ姿、楽しみだな。……違う、これは夢だ。俺は彼女にふられた。そして明日は、結婚式。さて、 準備だ。 #書き出し

*ris* @xcatenax

｢夢と愛って似てるよね｣と君は呟いた。「……何処が」「見えない。幻」端的な話し方をして、相変わらず素っ気無い。慣れてしまえば、心地好いけれど。「嫌い、かい？」「さぁ？　でも、無いと人間は生きて行けないわ」諦めた、表情。 #書き出し #twnovel @nipa0_0apin

七歩 @naholograph

最果ての森の奥には、魔女が住んでいる。魔女は森を、否、森で守っていた。魔女は知っていた。最果てであるが故この森の向こうで世界が途切れる事を。二度と戻れぬその奈落。魔女は人を守っていた。甲斐なく人は森に入る。惑わせる魔女。守られているとも知らず、彼は魔女を倒さんとする。　#書き出し

向坂くじら🟡初小説掲載「文藝」夏季号4/6発売 @pomipomi_medama

そういえば、空を「青」と決めたのは僕の幼馴染らしい。「だからまあ、実質海の青もラピスラズリの青も、私が決めたことになるかな」そう言ってからからと笑う。「そういうものなの？」「そう。全部元は空の青なの」それなら僕を見つめる眼の透き通るような青は、どこから来たのだろうか。 #書き出し

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

博士は女装しようと思った。それも服装を変えるだけではなく、肉体も女性化する薬を開発した。だが早速使用して女性化するや否や今度は男装したくなり、また新薬開発。それで今、博士は体だけ女になったり男になったりを繰り返している。 #書き出し @tatsuya_chi @keigomi29

嘘つきプラム @ps_plum

なんで愛してくれないのって、そりゃお前が玉ねぎだからじゃん。…だから剥かなきゃ食べれないんだってば。別に深い意味はないって。ってか俺のこと嫌いじゃん。いっつも泣かせてくるし。…あれ？いじけてる？もう、こっち向いてよ。真っ白なお前も綺麗に染まるお前も全部、好きだからさ。 #書き出し

うりゅ @uryu_uryuryu

「さぁ、愉しい鼠算でもはじめましょうか」ハッキリと女はそう言った。僕の下腹部にまたがって、長い髪で顔を隠す。真っ赤な唇が薄く開くと、円を描いて水音を鳴らした。「僕はそんな、つもりじゃ」微笑む女の美しさに目がくらんだ。#書き出し