ポランニー『経済の文明史』(講談社学術文庫)を読了した。要点を一言でいうと、市場経済を理解するには非経済的制度を含めて分析することと、非市場経済との比較を通して理解することが肝要であるということだろうか。関連文献を読んでさらに理解を深めたい。
2012-02-26 22:46:18柄谷行人の議論に出てくる「互酬」「再分配」「商品交換」という用語を、私が初めて見たのは、確かポランニーだった。柄谷は「アソシエーショニズム」という概念を用いて、理想の共産主義を追求しているように見える。ポランニーが追求したのは何だったのだろうか。
2012-02-26 23:03:56今回ポランニーの本を読んで「発見」したことは「償い」について。「聖礼上の責務や社会的責務の違背は…支払いによってではなく、正しい性質の行為によって償われる」というところは現在の罪への償いも同様ではないか。カネをいくら払ったかではなく、その行為そのものの性質が肝要というわけだ。
2012-02-27 01:43:51例えば、1965年の日韓国交正常化以降、日本は韓国に多額の経済協力資金を提供した。また、「村山談話」の精神で「アジア女性基金」を設立したりもした。だが、そもそも日本が植民地支配に対する法的責任を認めていない限り、それらのカネは償いといえない。
2012-02-27 01:47:37たしかに「村山談話」は戦後補償運動の成果であろう。私もそれを否定するつもりはない。だが、日本政府はこの談話とアジア女性基金をセットにできるし、「日朝平壌宣言」に「日韓方式」とも取れる請求権問題の解決方式を明記させた。つまり、「村山談話」をもって日本政府は巧妙に償いを避けている。
2012-02-27 01:52:32例えば、「村山談話」に「痛切な反省」という言葉がある。また、日本語の「お詫び」は、少なくとも戦争責任、植民地責任問題の文脈では決して「謝罪」の意味で使われていない。いわば、「深く同情する」というべきである。罪を認めていない者が使う言葉なのだから、そのように解釈するしかない。
2012-02-27 01:57:52もっとも、自衛隊があるからといって、憲法9条がまったく無意味ではないように、村山談話を手がかりに、戦後補償問題の解決を目指すという運動も無意味ではない。ただ、憲法9条も村山談話も完全ではなく、僅かな隙がある。ここをクリアすることこそ、平和構築のための課題だと思う。
2012-02-27 02:06:44