原生林と荒廃人工林

間伐遅れの荒廃人工林は暗くなるので下草が少ないが、成熟した広葉樹の自然林も暗くなって下草が衰退することがある。両者は同じものなのであろうか? いやぜんぜん違います、というオハナシ。
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大内正伸 @tamarinSHIZUKU

原生林と荒廃人工林と、表土の微生物量はどのくらいちがうのか? 腐葉土が多く環境条件がいい所では1グラムの土の中に10〜100億匹の微生物がいるといわれる。一方、砂漠のような砂地では1グラム中に10匹くらいしかいない。荒廃人工林は「緑の砂漠」とはいえ本物の砂漠よりは多いと思うが。

2012-03-02 21:49:59
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

荒廃人工林の表土の微生物が少ないのは、スギ・ヒノキ以外の植物がなくなり腐葉土の原料補給がないからだ。林床にあるのはスギ・ヒノキの落ち葉だけ。これは難分解物質で、土に還るまでものすごく時間がかかる。

2012-03-02 21:54:03
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

自然林が成熟すると、やはり林床が暗くなり下草が少なくなることがあるが、多様な広葉樹の落ち葉が常に補給される。常緑樹(照葉樹)は葉を落とさないと思っている人がいるが、実は春先に古い葉を大量に落とす。山に住んでいたとき、春先にシラカシの防風林の落ち葉かきをよくやったものだ。

2012-03-02 21:59:11
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

また、広葉樹の多い自然林はそこに生息する虫や鳥の数が、荒廃人工林に比べてこれまたケタ違いに多いのである。もともとスギ・ヒノキに依存する昆虫の種類は、他の広葉樹に比べて極端に少ないが、生物ピラミッドの底辺である微生物も少ないわけだから。で、虫や鳥の糞・死骸も森の土を肥やすわけです。

2012-03-02 22:07:34
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

いま山に住んでいる人はカメムシに悩まされている。家中のあらゆるすき間に入り込んで越冬し、春先に大量にはい出してくる。触ると臭くてたまらない。年寄りに訊いてみると「昔はこんなにカメムシはいなかった」という。実はこのカメムシ、スギ・ヒノキの球果で繁殖するのだ。これで激増の謎が解ける。

2012-03-02 22:16:19
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

たとえばコメツガやオオシラビソといった亜高山の針葉樹の自然林は、林床は暗く下草がない場合が多い。だが、よく観察すると地表には苔が多くて表土の流出が護られている。また、キノコが大変多い。永い時間をかけてできた自然の針葉樹林には、それに適応した生物が共存している。

2012-03-02 22:37:21
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

まさか「原生林は下草が少ないから間伐が必要だ」などというバカはいないよね。昔いたのでチビットつぶやいてみたw。

2012-03-02 22:51:19