第6話 「 放課後の先生 」

光野 水栄（Yukue_Hikarino） @Hika_Rarala

【第6話の26】　「まず、添付ファイルを」秋本くんが開く間に、「プリンタ、どうぞ」ハルルが持ってきて、つなぎました。「どうやってグーグルをメールに添付‥って、これ、キャプチャ画像か。やるな！」大助が、感心して言いました。ユリアが印刷し、琴子がクリア・ファイルに入れました。

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【第6話の27】　「落っこちねぇか？ それ持って、風雨の中、飛んでくんだろ？」「鋭いツッコミですね‥」大助と、ささのみことが言いました。「穴を開けて、ひもを通してテープで貼らない？」白い布ガムテープを持った秋本くんが提案しました。「では、今回は、私が」ラファエルが手をかざすと、

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【第6話の28】　「その通りになった！」そこへ、未咲が、早歩きでもどってきました。秋本くんが尋ねました。「お手洗いは、大丈夫？」「今してきたとこ♪」未咲は、即答です。大助が、手短な説明を済ませました。「きらめきよ、星を彼方！」琴子は変身して、プリンセス・クサキになりました。

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【第6話の29】　「そうだった。ホッと‥イリュージョン」未咲は、イリュージョン・ルビーになって立っていました。ラファエルがクリア・ファイルを未咲に掛け、微調整する間に、秋本くんとハルルが窓を開けました。「ショルダー・バッグみたいね」ユリアが、うらやましそうに言いました。

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【第6話の30】　「出動してください！」ささのみことが言った次の瞬間、2人は同時に頷き、ビュッと窓から飛びあがると、まるでスーパー・マンのように空を飛んでゆきました。「もう見えなくなったな」と大助。「質問したいことがっ」「はいっ、何でしょう？」秋本くんの質問タイムが始まりました。

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【第6話の31】　ギュイィィィーーン‥「えっ！？」プリンセス・クサキは、イリュージョン・ルビーをよけさせ、頭上を見ました。それは、ビームでした。「何これ？」ルビーは、自分の肩に落ちたものを拾いました。それは、自分たちの髪の毛――切断されたばかりの、2色の前髪の切れ端でした。

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【第6話の32】　2発目のビーム。2人は空中でジャンプし、とあるビルの屋上へと着地。「ちょっと見せて」プリンセス・クサキが地図を確認する間も、遠くで戦っているような音が聞こえました。そして時折、ビームの音と気配と風圧と、熱を持たない眩しい光が、2人の背後を過ぎてゆきました――。

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【第6話の33】　未咲の部屋。「それ、本当に今、必要か？」「もちろん」大助の問いに、秋本くんが断言します。「2人とも、その感覚は宝です。ずっと大事にしてくださいね」不思議な人が、最初よりも穏やかな声で言いました。シリアスつつも、ほぐれたところで、ささのみことが疑問を口にしました。

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【第6話の34】　「その‥ですね、わたくしは これまで、『スポンサー』という目で見ていなかったので、気づかなかったように思います――。スポンサーの交代が、もし本当に4度目だとするなら、今回のわたくしの前は、どなたが？」「え？ アキハノミコトじゃ？」大助が、きょとんと尋ねました。

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【第6話の35】　「いいえ」ささのみことの即答に、驚く一同。「彼はスポンサーではなく、先生でした」秋本くんとハルルだけが、意味が解った顔になりました。――数秒後、ラファエルがふいに尋ねました。「もしかして、≪お師匠様≫では？」ささのみことは2秒ほど考えて、「はい！」と言いました。

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【第6話の36】　「『師範』っていうのとは、あれ？ 別か？」大助は、混乱してきました。「お師匠様については、ビデオ教材といいますか‥映像がございますので、後ほど」ささのみことが言いました。秋本くんには、ささのみことが頭の中を整理しながら答えたように見え、少し不思議でした――。

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【第6話の37】　不思議な人が「空気を入れ替えましょう」と、窓を少し開けました。窓辺に立ったラファエルの金の髪を、北風がそっと揺らしました。その横顔を見て、秋本くんは思いました。（ラファエルさんには、迷いがまったく無いように見える。どんな挫折も失敗も、理解できる顔をしているのに

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【第6話の38】　不思議だ‥一体どうやって！？ いかに「心が立派」でも、「賢い人」でも、時には泣いたり迷ったりして大人になれたはずなのに。天使は「人間」ではないから？）「どうしたの？」「わたくしも聴きたいです」琴子と ささのみことに促され、秋本くんは、そのまま すべて話しました。

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【第6話の39】　言い終わってから一時停止になる、秋本くんとハルル。「そんなこと思ってたのか」トイレからもどった大助が、手をハンカチで拭きながら言いました。「いつのまに！」と、琴子。「いや、そっちこそ。もう済んだの？」秋本くんに驚いた顔で言われ、琴子は思い出した様子で言いました。

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【第6話の40】　「私、タイム‥あれを押してしまったんです。事故で」―「じゃあ、もし今の自分とはちあわせ」秋本くんが言いかけた瞬間、耳に入ったのは、未咲と琴子の声でした。冷や汗を流す琴子。「窓の外か？」大助が窓辺に立つと、だれか、うしろ姿の人が、説得を始めました。「何の説得だ？」

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【第6話の41】　「もしや、金猫命（きんねこのみこと）ですか？」ささのみことが、ハッとしながら言ったとたん、窓ガラスに爆風のようなものが迫り、部屋は光に包まれました。「全員、気絶したようだな」「はい」「See You～☆」頭上の3人の声。足音と鎧の音が、遠ざかってゆきました。

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【第6話の42】　「はい。私は、金猫命‥」「お願いです！ 募金と思って‥ですね、あなたも出資してはくださいませんか？ 千円以下でも結構ですのでっ」「さしあげます」フワッ‥。――9分後。「ん？」未咲が、ラファエルの優しい手で起こされたときには、会議の真っ最中でした。「うそぉ！」

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【第6話の43】　未咲は、あわてて しゅたっと立ちすぎて、本棚に軽く頭をぶつけました。「う」ハルルが真っ青になって「だ、大丈夫ですかっ！？」と言っている間に、未咲はふり返り、尋ねました。「つ、蕾は？」「無事です」ラファエルがにっこりと言い、蕾の手をひいて、階段を下りてゆきました。

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【第6話の44】　不思議な人は、目で確認いたしました――それは、本当に瞬時でした――！ 部屋を包んだ光は消え去っていて、金猫命も、なぞの3人組も、もう1人の琴子も、もういない。ラファエルと蕾は1階へ。未咲とハルルと自分は立っていて、ささのみことは、いま机の上にすわりました。

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【第6話の45】　物部さっちゃんとユリアがいないので壁を透視いたしますと、トイレに座っているのが、青のモザイクで見えました。便器とトイレット・ペーパーも、同じモザイクで合体して見えます。この場所には可愛らしいトイレのドアが4つ並んでいて、お客さんが1人、別のドアをノックしました。

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【第6話の46】　無事だったので透視をOFFにし、窓を見ますと、水色の小鳥が、大急ぎで飛び去るのが見えました。ほかの全員――つまり、大助、秋本くん、まだ名乗らない少年、プリンセス・クサキの4人は、まだ気絶したまま、床に横たわっています。クサキは、間違いなく、≪現在≫の琴子でした。

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【第6話の47】　不思議な人が これらの確認作業を始めてから終えるまでの間に、未咲は 2回しか、まばたきをしませんでした。未咲の目の健康は、ごく普通の状態で、人より瞬きが多いとか少ないとかいうことは、とくにありませんでした。この不思議な人の能力のほうが、あまりに素早いのです！

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【第6話の48】　未咲は、1歩あるいたところで、姿見に映った自分の姿を目にしました。「こんなとこに、鏡なんてあったっけ？？」その鏡の自分は、いつものセーラー服を着ています。「ほんとだ！」「はい。本当に！ よくそこに気がつきましたね」ささのみことは、感心した表情です。

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【第6話の49】　「ん？ あれれ？」未咲は、――細かいことには気づかないものの――なんとなく不思議に思いました。きょうは朝起きてから今この瞬間までのあいだに、1回もお風呂に入っていません。それなのに、全身くまなくスッキリとしていて、少しあたたかく、髪も乾かしたてのようでした。