2012年3月19日

ちょっと、簡単にクトゥルー神話の紹介をしてみました

TWクラスタで少々クトゥルー神話についての話が出ていたので、語ってみました。 ツイート当時、手元に資料がなかったので、内容は浅いですが……。 とは言え、これで興味を持って頂けるなら、ツイート主としては幸いです。
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幻楼斎/西野都 @genrousai

TWクラスタにクトゥルー神話の波が来ているので、ちょっとあらましを解説しておきましょう。クトゥルー神話は、ホラー小説を主体とする作品群により構成された、創作神話です。その始祖は、20世紀初頭のアメリカの作家、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトです。

2012-03-18 15:27:36
幻楼斎/西野都 @genrousai

ラヴクラフトは、「人知の及ばない、神としか呼ぶしかない余りに巨大な存在」をいくつか創造しました。これは、当時のホラーが、すでに手垢の付いた吸血鬼や人狼などのクリーチャーに頼ることが多かったからと言われています。新しいものへの試行錯誤から、クトゥルー神話は産声を上げました。

2012-03-18 15:34:38
幻楼斎/西野都 @genrousai

例えば、『クトゥルーの呼び声』では、主人公は大伯父の研究から、南太平洋に沈む超常の存在を知ることになります。その存在、クトゥルーは、人間には理解のできない思考と姿、更に恐ろしい夢を送ることによる、狂った崇拝者への恐るべき影響力を持つ異形として描かれています。

2012-03-18 15:46:48
幻楼斎/西野都 @genrousai

ちなみに、「クトゥルー」という名前も、真の名は人間には発音できないので、それを無理矢理人間の声帯で発声しているという代物(スペルはCthulhu)。そして、存在が巨大すぎるが故に、人間は気にもとめていません。こうした神々がクトゥルー神話を構成するようになりました。

2012-03-18 15:51:33
幻楼斎/西野都 @genrousai

ただ、ラヴクラフトは神話としての体系化を志向していませんでした。当時、文通魔であったラヴクラフトは、同業の友人たちと話に使うアイテムや邪神を融通し合っていて、これが世界観の緩やかな繋がりを生むことになります。ただ、同じ名前でも、設定が作家ごとに微妙に違ったりもしているのですが。

2012-03-18 15:53:02
幻楼斎/西野都 @genrousai

ただ、作家生活の後半においては、世界観の統一の試みがありました。『インスマスを覆う影』や『狂気の山脈にて』などは、その傾向が強く現れています。同じ固有名詞を使い回し、時系列もある程度合わせるようになっていました。

2012-03-18 16:06:41
幻楼斎/西野都 @genrousai

しかし、ラヴクラフトは商業的に成功した作家とは言えませんでした。その作品はパルプ雑誌に主に掲載され、生前に出版された単行本は1冊のみ。そしてラヴクラフトが1937年に亡くなると、ラヴクラフトと友人たちの企みも沙汰やみになってしまいました。

2012-03-18 16:07:31
幻楼斎/西野都 @genrousai

ラヴクラフトの作品は、一時忘れ去られます。しかし、忘れていない者もいました。ラヴクラフトの文通相手の一人でもあった、オーガスト・ダーレスです。

2012-03-18 16:15:06
幻楼斎/西野都 @genrousai

彼は友人のドナルド・ワンドレイとともにアーカム・ハウスという名の出版社を設立。そして師と仰ぐラヴクラフトの作品集を出版したり、残されたメモから話を作って共著扱いで出したり、そして新しい要素を色々と追加して、「クトゥルー神話」として体系化したのです。

2012-03-18 16:21:13
幻楼斎/西野都 @genrousai

ここに至り、ラヴクラフトとクトゥルー神話は広く知られるようになりました。体系化がなされたことで、後続の作家が入りやすくなり、神話作品は広がりを見せました。ただし、神話にリスペクトされた作品の上梓を制限しようとしていた節もあり、そこは非難されてます(トンプソン『深淵の王者』)。

2012-03-18 16:28:33
幻楼斎/西野都 @genrousai

日本では、戦前に雑誌『宝石』で江戸川乱歩が紹介していた他(森瀬繚さんにご指摘いただきました)、戦後に高木彬光がネタを使ったり、翻訳が入ってきたりしました。80年代になると、菊地秀行や栗本薫などが神話作品を書くようになり、後続の作家も現れるようになり、今に至る感じです。

2012-03-18 16:33:06

クトゥルー神話の世界観(簡単に)

クトゥルー神話の世界観は、実は一言で語るのが難しいです。
後述するラヴクラフト原神話とダーレス神話のどちらを取るか、また作家によっても若干の違いが存在しています。
初期作家だと、クラーク・アシュトン・スミス辺りは独自の境地を切り開いていました。

それを念頭に置いた上で、以下の紹介を読んで頂ければ幸いです。

幻楼斎/西野都 @genrousai

さて、概観をざっとやったところで、神話の内容にも軽く触れておきます。クトゥルー神話は、前述の通り余りに巨大な異形の存在と、人間との関わりが主となります。あまりに人間と違いすぎるその存在は、人の脆弱な精神に容赦なく負荷をかけ、狂気へと追いやります。

2012-03-18 16:38:18
幻楼斎/西野都 @genrousai

神話作品では、こうした存在(神とは限らない)を知ってしまい、狂気に追いやられることが多くあります。世界の真実の姿は、人が理解するにはあまりに狂気に満ちた世界なのです。そして、それらの扉になるのが『ネクロノミコン』などの魔道書です。狂気の知識は、やはり人を狂気と破滅へ追いやります。

2012-03-18 16:43:25
幻楼斎/西野都 @genrousai

ラヴクラフト周辺の作品は、こうした巨大な存在に翻弄される人の姿を多く描いています。一方、ダーレスの体系化以降は、狂気の知識を携え、人に仇なす邪神を星辰の彼方に追い返す、という邪神ハンターものが増えたと思います。この傾向の違いから、原神話、ダーレス神話と分ける向きもあります。

2012-03-18 16:48:37
幻楼斎/西野都 @genrousai

ただ、かつてダーレスの勝手な創案と非難された、超越的善(?)存在「旧神」は、どうもラヴクラフト本人も設定に一枚噛んでいたらしく、完全に原神話とダーレス神話を切り分けるのは難しいようですが。

2012-03-18 16:51:49

クトゥルー神話の邪神

クトゥルー神話には、多くの神々が存在します。
その姿、能力、人間への態度などは様々です。
しかし、クトゥルー神話で重要なファクターなのは間違いありません。
というわけで、1ツイートで少し解説。

幻楼斎/西野都 @genrousai

クトゥルー:遙か昔に、銀河の彼方から地球に飛来した邪神。人間が見ると、蛸に似た頭と鉤爪のある手足、一対の翼を備えた人型に見える。南太平洋の海底にあるルルイエという都市で眠っているが、彼に奉仕する半魚人「深きもの」や人間の狂信者はクトゥルーの復活をもくろんでいるとされる。

2012-03-18 17:04:46
幻楼斎/西野都 @genrousai

ナイアルラトホテップ:かつてエジプトで崇拝もされていた邪神。千の姿を持つとされ、人の姿にも変身可能。その能力から、邪神復活などの目的で暗躍することが多く、人気も高い。闇をさまようもの、月に吠えるものなどの異称・異形がある。

2012-03-18 17:17:43
幻楼斎/西野都 @genrousai

ヨグ=ソトース:「一にして全、全にして一」と呼ばれる邪神。人の目には、球体の集積体として映る。時空の外に存在するとされ、ウムル・アト=タウィルという彼の化身が、銀の鍵の門を守護しているとも言われる。

2012-03-18 17:26:51
幻楼斎/西野都 @genrousai

アザトース:銀河の中心に座す白痴盲目の邪神。不定形のフルート奏者によって常に慰められている。旧支配者と言われる邪神の群れを率いて反乱を起こしたため、彼の知性は旧神によって奪われたと言われるが、一方で元々から白痴盲目であり、神ですらない恐ろしい何かであるともされる。

2012-03-18 17:34:20
幻楼斎/西野都 @genrousai

ハスター:「名状しがたきもの」の異名を持つ邪神。ヒアデス星団の暗黒星にある、黒きハリ湖に座するとされる。ダーレスによれば風属性の神で、水属性のクトゥルーとは仲が悪い。ハスター本体の容姿描写はほとんどないものの、化身とされる「黄衣の王」は比較的よく知られている。

2012-03-18 17:42:57
幻楼斎/西野都 @genrousai

シュブ=ニグラス:「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」と異名をとる邪神。豊穣の女神らしい。直接出てくることはほとんどないが、祝詞などによく彼女の名が現れる。英国ゴーツウッド周辺には、大規模な教団が存在するらしい。

2012-03-18 17:47:29
幻楼斎/西野都 @genrousai

んー、主要な神というと、こんなところでしょうか?個人的にはウボ・サスラとかアブホース、アトラック・ナチャ、クトゥグァ、イタクァとかもやりたかったですが、長々やりすぎたので、この辺で。

2012-03-18 17:51:14

クトゥルー神話の魔道書

神々と並んで、クトゥルー神話の重要な要素なのが魔道書です。
魔道書は狂気の世界の入り口であり、しかしそれ故に狂気の世界に対抗しうる武器ともなります。
時に本棚に架蔵され、時に登場人物が携える魔道書は、もうひとつの主役なのです。
作中で最も有名な魔道書『ネクロノミコン』が、同時に世界で最も有名な架空の書籍でもある、というのは驚くに当たらないでしょう。

以下のツイートは、彼らの簡単な解説となります。

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コメント

愛・蔵太(素人) @kuratan 2012年3月19日
http://bit.ly/y9Tg55 ←もうちょっと知りたい人はウィキペディア「クトゥルフ神話」の項読むといいよ。
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知花俊輔 @nightmarechild4 2012年3月20日
ああ、コメントに!コメントに!
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幻楼斎/西野都 @genrousai 2012年3月20日
まとめ中で触れた、ダーレスによるC・ホール・トンプソンへの苦情について、きっかけは別の小説だったというご指摘を受けましたので、紹介しておこうかと思います。と言うか、知りませんでした……。 http://d.hatena.ne.jp/Nephren-Ka/20120320
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甘茶 @amateur2010 2012年3月21日
ネクロノミコンとか、他の漫画やゲームで聞いたフレーズが出て来るとワクワクします。矢野健太郎の漫画・邪神伝説シリーズが入り易いかと。 http://bit.ly/GBh3AV
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陸鷹 @Rikutaka_ 2017年8月22日
まぁ、クトゥルフ神話も結構手垢がついてると思うけどね。
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