NHK:マイケル・サンデル究極の選択「許せる格差 許せない格差」 書き起こし・ほぼ完全版
- toshihiro36
- 34333
- 4
- 8
- 124
サンデル: 人一倍貢献している人は、人一倍もらう資格があるということでした。ではこの問題を学生たちはどう考えるだろうか。誰から始めよう。じゃ、上海のウー。
2012-03-20 12:03:46ウー(復旦大学): ケーキを分けるときのルールというのを聞いたことがあります。それはケーキを切り分ける人は、自分の分はみんなが選んだ後で一番最後に取るべきだという教えです。同じように役員はナイフを持ってケーキを切り分ける立場にあるので、配り終わって最後に残った分をもらうべきです。
2012-03-20 12:51:03サンデル「ウーはケーキのたとえ話で説明してくれた。ケーキを分けるときはどうするか。それは公平にすべきだということだね。」 ウー「はい」 サンデル「分配を決める人間が最後に取るべきだという意見だね」 ウー「はい、そうです」
2012-03-20 12:57:20サンデル「他にはどうだろう。上海のクァン、君は」 クァン「ボーナスや利益を平等に配ってしまったら、みんなが他の人の成功に便乗するようになると思います。そういう人はろくな仕事をしなくなるでしょう。自分で苦労することなく、利益を手に入れる方法を見つけてしまったわけですから」
2012-03-20 13:01:51ケイ(慶応院卒): 私は開発チームに報酬の50%をあげたいと思います。やっぱり一番貢献した人たちに、ちゃんと報いてあげたいと思うからです。
2012-03-20 13:06:47ユウタロウ(東大院卒): 役員がボーナスの半分を受け取るべきだと思います。なぜなら、開発チームは去年までは大赤字を出し続け、今年やっと成功したのかもしれません。将来を考え、根気強く投資してきた役員たちの決断がなければ、この成功はありえませんでした。
2012-03-20 13:13:50サンデル: ユウタロウはボーナスの半分は経営陣がもらうべきだと考えている。ただし、その理由は他と同じでインセンティブということだね。今後もリスクに挑み、商品を開発し続けるというモチベーションをを高めるということだ。ローラ、君も意見があるようだね。
2012-03-20 13:17:17ローラ: これは全体の努力による成果なので、ボーナスは社員全員に平等に分配すべきだと思います。アニメの中では社員の給料はすでに差があるということでした。だからモチベーションを高めるための給料の格差はすでにあるわけです。ボーナスは給料とは違う、ご褒美のようなものであるべきだと思う。
2012-03-20 13:22:46サンデル: これは全体の努力による成果だから平等に分けるべきだと、全員で。社長からオフィスの掃除の人まで平等に分配すると言うんだね。 ゲストでどなたか意見をお願いします。眞鍋さん、どうですか。
2012-03-20 13:26:03眞鍋: 私も平等にみんなに配分した方がいいんじゃないかと思います。差をつけてしまうと、すでに給料に差があるので会社の中に不満が溜まってしまって…今後の会社の成長ということを考えると、やはり全員平等支払って…そうすると会社の雰囲気が良くなるんじゃないかなと。
2012-03-20 13:29:34ジェイムス: ボーナスとは報酬であり、貢献に対する金銭的な見返りという意味があると思います。今回の場合、あきらかに社員全員が同じだけの貢献をしたわけではありません。役員たちと開発チームの貢献の度合いを比較して、どちらが上かという問題だと思います。
2012-03-20 13:35:55サンデル: 全員が同じように貢献したわけではない。仮にそれが正しいとしよう。それに実際の経済社会でも報酬は往々にして不平等なものだ。ではそのような不平等な報酬が社会全体の所得や富の配分にどのような影響を及ぼしているか見てみたい。
2012-03-20 13:41:32サンデル: ウォール街占拠の抗議デモでは、社会の1%の金持ちと持たざる99%の比較が話題になった。ではクイズです。日本のトップ1%の富裕層は国の富全体の何%を所有していると思いますか?
2012-03-20 13:45:11古田「10%くらいかなぁ。10~20%くらいじゃないですか」 サンデル「10~20%。では又吉さんはどう思いますか?大丈夫、これで成績をつけたりしませんから」 又吉「恐れずに答えていいということですね。35%!」
2012-03-20 13:49:40サンデル「眞鍋さんはいかがですか?どのくらいだと思いますか?」 眞鍋「でもたった1%なので…日本はそこまで格差がないんじゃないかと思うので、10%もいってないと思います。8とか…8%!」
2012-03-20 13:53:54サンデル: 8%ですね。正解は20%です。トップ1%の人が日本全体の富の20%を所有しています。では、これはアメリカと比べたらどうなると思いますか?アメリカではトップ1%は富の何%を所有していると思いますか?
2012-03-20 13:57:23眞鍋「いや~アメリカのお金持ちは本当にケタが違いそうなんで、半分近くあるんじゃないかなと思います」 サンデル「半分ですか」 眞鍋「40…いや半分でいいです」 又吉「60ぐらいですかね」 サンデル「60%ですか。古田さんはどうですか?」 古田「じゃ、日本より多いので、35%」
2012-03-20 14:03:37サンデル: 正解は40%です。日本では20%、アメリカでは40%。つまり富の格差については、少なくとも社会のトップ1%について言えば、日本よりアメリカではの方が格差が大きいということになります。では、この点についての質問です。
2012-03-20 14:07:17サンデル: 正義や倫理の観点から考えた場合、富の格差を示すこの数字の違いから日本の方がアメリカより公平な社会だと言えるのでしょうか。ゲストの中でそう思う人は何人いますか(挙手を求める)。猪瀬さん、あなたは手を挙げませんでしたね。なぜですか?
2012-03-20 14:11:21