NHK:マイケル・サンデル究極の選択「許せる格差 許せない格差」 書き起こし・ほぼ完全版

3月19日夜に放送されたものを文字起こししています。 ゲスト:猪瀬直樹 竹中平蔵 古田敦也 眞鍋かをり ピース又吉 他に、東京・上海・ボストンの大学とインターネットでつないで、格差・公平さ・正義についての議論をしています。
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とし @toshihiro36

サンデル: 猪瀬さんはどうでしょうか。古田コミッショナーになにか助言はありませんか?

2012-03-20 10:34:30
とし @toshihiro36

猪瀬: やっぱり優勝するためのチームですよね。優勝するためには、眞鍋さんのような年棒年俸の高い選手がより活躍してくれないと優勝できませんよね。つまり、優勝するためにインセンティブが必要であって、そのためには一定の年俸である程度差をつけながらマネジメントするのが当然だと思いますね。

2012-03-20 10:40:55
とし @toshihiro36

竹中: 私が又吉さんだったら「今のような低い年俸だとプロ野球選手をやめて無難なサラリーマンになろうと。東京都の職員になろうと思うかもしれませんね」と。

2012-03-20 10:50:27
とし @toshihiro36

サンデル: わかりました。ではコミッショナーに聞きます。いろんな主張を聞いたうえで、あなたはどうしますか?

2012-03-20 10:52:26
とし @toshihiro36

古田: 今現在、日本で行われている最低年俸制度というのがひかれていまして、1軍でいいますと1500万だったかな…そういうのは保障されています。その上に能力給という形で若手育成選手。最高の年俸で…推定ですけど4億から5億ぐらいもらっている選手がいると思います。

2012-03-20 10:58:15
とし @toshihiro36

古田: そこに差が出るのは仕方がないと思っています。

2012-03-20 10:59:22
とし @toshihiro36

サンデル: つまり、市場原理に従って払う。ただし最低賃金の保障はすると。 わかりました。ここまではウォームアップです。ある架空の会社が今日の番組の舞台です。その会社では最近ヒット商品が生まれ、臨時ボーナスが支給されることになりました。

2012-03-20 11:03:09
とし @toshihiro36

サンデル: そのボーナスを社員にどう分配するのか、アニメを見て考えてみてください。

2012-03-20 11:04:57

アニメが流れます

とし @toshihiro36

【アニメ】役員「ご存じの通り、この新しいスマートフォンの大ヒットでわが社は今期莫大な利益を上げることができました。おかげで実に100万ドルもの余剰金が生まれました。社長はこの100万ドルを特別ボーナスとして、全社員100人で分配しようと決断されました。」

2012-03-20 11:10:23
とし @toshihiro36

【アニメ】役員「さてこれからその分配方法を決めたいと思うのですが、ここは社長を含む私たち役員10人に総額の半分50万ドル支給し、残りの50万ドルをそれ以外の社員90人で分けるということでどうですか?」

2012-03-20 11:15:49
とし @toshihiro36

【アニメ】開発チーム社員「ちょっと待って下さい。今回の大ヒットは私たち開発チームの成果です。独創的なアイデアを出して新製品を生み出したのは私たちです。ですから、その成果に対する報酬として私たち開発チームが総額の半分、50万ドルを受け取るのが当然なんじゃないですか。

2012-03-20 11:20:07
とし @toshihiro36

【アニメ】一般社員「いやいや直接の成果を上げたのは開発チームかもしれませんが、これは会社全体の利益です。全社員に平等に分配すべきじゃないでしょうか。だいたい役員も開発チームも日頃から高い給料をもらっているじゃありませんか。こういう時こそ一般社員に還元すべきだとは思いませんか

2012-03-20 11:25:36
とし @toshihiro36

【アニメ】役員「いや、それはおかしい。新製品開発の決断をし、リスクを引き受けたのは私たち役員だ。今回は成功したからよかったが、失敗していたら私たちは役員を解任されていただろう。成功報酬は当然私たち役員が最大であるべきだと思うんだが。」

2012-03-20 11:29:28
とし @toshihiro36

【アニメ】開発チーム「社長はどうお考えですか?いったい誰の言い分が正しいか、社長が決めて下さい。」

2012-03-20 11:31:49

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

サンデル: さあ、どう思うだろうか。もしあなたがこの会社の社長だったらどうするか。どのように分配するのが一番フェアなのでしょうか。猪瀬さん。

2012-03-20 11:34:10
とし @toshihiro36

猪瀬: このまま経営者に50%渡すと、これはちょっと問題かなというふうに思いますが。しかし最も功績があるのは開発チームだと思いますね。というのは、新しい開発がまたできれば次に会社が成長しますから、開発チームに功績があるんじゃないかと。

2012-03-20 11:38:05
とし @toshihiro36

サンデル: アイデアを出し新商品に最も貢献した開発チームに報いるべきだということですね。

2012-03-20 11:40:02
とし @toshihiro36

猪瀬: 3番目の社員全員に同じように配るというのが、日本ではこれまでの慣習というか…「それであっては、これからの日本は沈んでしまうであろう」と言われているんじゃないでしょうか。

2012-03-20 11:42:54
とし @toshihiro36

サンデル: ボーナスは平等に分配すべきだという3つ目の選択肢は、公平ではあるかもしれないが、それでは経済がダメになると?

2012-03-20 11:44:53
とし @toshihiro36

竹中: いい製品を開発した研究者がどれだけ開発してもお金にならないということになれば、別の会社に移ったり別の国に行ったりする。そして自由な研究をする自由があるわけですから。

2012-03-20 11:47:45
とし @toshihiro36

サンデル: あなたは社員を会社につなぎとめるための報酬という面を強調されました。ということは、優秀な開発者や最高の野球選手により多くの報酬を与えるというのは、一見道徳的に正しい主張に見えて、実は彼らを引きとめておくための一種の賄賂だとは言えないですか?

2012-03-20 11:52:39
とし @toshihiro36

竹中: それがどうして賄賂でしょうか。その価値を生み出しているわけですから。さっき言ったようにベースボールで言うならば、古田さんがいなくなると菅局の動員数がグッと減って、その分球団の収入が落ちる。それを補うということですから、その労働が生み出す価値が評価されてのことだと思います。

2012-03-20 11:56:56
とし @toshihiro36

サンデル: 議論のはじめでは優秀な社員や野球選手に多くの報酬を払うべき理由は、会社やチームにつなぎとめる必要があるからだということでした。彼らにモチベーションを与えるべきだと。しかしそれだけでなく、倫理的な根拠もあるという意見が出ました。

2012-03-20 12:00:55
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