「たくと国道」

つぶやき小説。
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@tsuchida_jaco

友人はすっかり夢のなかへと落ちていったたくを抱えながら「それがわからないんだよ。おれは慢性の鼻炎だからさ。へへ」とまた笑った。 もう慣れてしまったのか、不思議ともう嫌悪感はなかった。 「そうか、お互い鼻をお大事にな」 僕がそう言うと、友人は頭を抑えて笑った。48

2012-03-24 19:27:36
@tsuchida_jaco

帰りに際に、たくの口から大きな白い息が飛び出すのを見た。それは人のような四肢があって、友人から降りて床を這い、そして隣の通行人の鼻へと入っていったように見えた。しかし通行人も、二人もすぐに雑踏のなかに消えていったので、もういちど確かめることはできなかった。49

2012-03-24 19:31:15
@tsuchida_jaco

僕は自分の息を大きく吐いてみたが、いくらやってみても白くはならなかった。いまがどれだけ寒い冬だといっても、駅の中で白い息を吐くほうが難しいのだ。これから春になって、そうして夏になる。二人はきっとキレイなひまわりを咲かせるだろう。それは照れずに、きっと満面の笑顔だろう。完

2012-03-24 19:35:43