浮気が発覚した旦那と激怒する妻を仲直りさせたミルトン・エリクソンの妙技
実際、この事例には後日談があって、この後、追い出されたメイドは数年後にまたこの夫婦のもとに戻ってきて、仕事をさせてくれと言ってきたそうだ。夫婦は二人とも憤慨して追い払った。普通の感覚だと戻ってはこれないと思うので、このメイドは自己中心的でかつ依存的性格の持ち主だと思われる。
2012-03-30 10:29:54メイドはこのぐらいひどい目にあわされてもめげない、懲りないタイプだったのだろう。だから、ここまでわかりやすくメイドを敵に回して追い払う儀式が必要になったとも考えられる。
2012-03-30 10:32:11メイドもエリクソンの指示に従わず姿を消してしまえば儀式に参加しなくてすむわけだが、それはしなかった。自ら望んで儀式に参加したわけだ。経済的事情がそれを許さなかったのか、性格が依存的で自ら離れることができなかったのか、その辺はよくわからないが、この儀式は夫婦のためによく機能した。
2012-03-30 10:33:52こう考えると夫にとっても、妻にとっても、場合によってはメイドにとっても、このエリクソンの介入は有益だったと思われる。メイドは「時には取り返しのつかない行為があるのだ」ということを実際に学ぶことができるわけで。
2012-03-30 10:35:21カップルカウンセリングのポイントの一つとして、「双方に不公平感を持たせない」という要素がある。夫には行動の変化を求め、妻にはそれを求めなかったりすると、夫はそのカウンセリングに不満を持つ。夫と妻は公平に扱われなければならない。
2012-03-30 10:36:30しかし、メイドはいずれ切り離される人間であり、夫、妻と同じように公平に扱われる必要がない。この夫婦はずるい、私ばかりが損をした、と思って夫婦から離れてくれれば、それこそ「夫婦間の関係改善」という当初の目標を果たす。その上、メイドは新たにやり直すチャンスを得る。
2012-03-30 10:38:10夫、妻、メイドがいがみ合って全てがバラバラになるよりは、夫と妻のカップルだけは関係が守られた方がよい。また、夫と妻とメイドがいつまでも複雑で不健全な三角関係を演じ続けているのは最悪だ。だれも幸せにならない。
2012-03-30 10:39:51このような視点からエリクソンの介入を眺めると、極めてプラグマティックな判断であったとも考えられる。非常に合理的だ。結果の最大化を優先した介入といえる。倫理的な問題があるのかないのかといえば、今の時代だったら「ある」と考える人も多いだろうとはおもうけれども。
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