福島で2012年春に考えたこと〜自然と人間について〜

2012年の春、福島県いわき市を訪問。海岸から田畑、阿武隈高地の山奥に開ける集落にまで訪問する機会があった。そこで色々な人々に出会い、そこかしこで対話し、議論し、傾聴を繰り返す中で考えたこと。人間と自然と社会について。エッセイ風雑感。いただいたご質問には、物理学者として回答している。
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MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

環境が人間に与える影響は大きい。その制御可能性は都市部と郡部で天地の差がある。都市化する組織社会、産業主義社会、消費社会の中で最適化をしたい。どうするか。だが産業も組織も消費も、人の生き甲斐にはならない。なぜか。一人ひとりの人間は不合理なものだから?

2012-04-03 08:06:29
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

日本という国、国土の形も、そこに住む人を抜きにあり得ないし、人の生き甲斐も土地、環境、風土風景景観を抜きにあり得ない。そこにさらに人間関係、人の環境、情報環境が重なって立体になる。時間変化軸を加えれば4次元的。

2012-04-03 08:26:48
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続き)目に見える世界だけで4次元。実際は11次元くらいで、そのうち大部分はコンパクト化され普段は目に見えない(笑)。忘れていた次元の広がりに、人はどうやって気付くのかな。それは、人との出会い。自然との出会い。対話。体験。人間と自然と物質に共通するもの。物質的基盤があるから。

2012-04-03 08:40:33
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

田舎に行き、その環境の中で、その土地の人と話をすると、自然と人間と社会を相対化できるような気がする。それは距離感のなせるわざ。物理学ではこういう現象、作業を「粗視化」と呼ぶ。つまり、どうでもよい部分を粗くみて、平均する。そして見えるものがある。

2012-04-03 09:05:26
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

田舎の人たちは、みな謙虚だ。なぜだろうと考える。それは、自然との距離が近いから。自然をよく知り、自然と対話しながら生きている。きっと自然は圧倒的なスケール、強さ、優しさで、人間に語りかけ、人間はそこに知恵を読み取ってきたのたろう。それは実は、科学、物理学の出発点でもあったはずだ。

2012-04-03 09:14:11
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

椎茸マイスターと呼ばれる、旧家のおじいさんに出会う。なんでも10万本の椎茸原木を世話している。たまにトラックで原木を盗みに来る人もいるそうだ。そして一本を大事に押し入れに。その行為の無意味さを冷静に語る。「毎日山に行くのが生き甲斐だから」。生き甲斐とはそういうことかとふと思う。

2012-04-03 09:30:25
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

そういえば、去年の5月、福島市の運動公園の避難所で出会った漁師のおじいさんも同じことをおっしゃっていた。潮の香りをかいで漁をしたいだけなんだ。命、生命の原点はそのあたりにあるのではないか。小学校から、自然との共生と皆が言うのだが。

2012-04-03 09:41:31
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

除染が進むところにも行った。それがどこか自分では分からない。目的も行くこと自体ではない。ある種のフィールド物理学実験。色々な人のお世話になる。その土地の人々の生き方に感銘を受ける。だがそれが目的でもない。人々が環境の中で人間らしい暮らしを回復すること。やっと少し分かってきた。

2012-04-03 09:54:47
刺草〜24年はビル管がんばります。 @balsamicoseZ

@y_mizuno 単原子分子の内部エネルギーは一次元あたりがRT/2で、3次元だから3RT/2と習いました。こういうのはどうなるのでしょうか? 2点間の距離の公式などは?

2012-04-03 08:44:11
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@balsamicose 3RT/2の3は確かに3次元の3。この式で時間要素は、統計平均操作で見えなくなる。時間平均はアンサンブル平均に等しく、実際の統計平均は後者だと思いますが。別の拡張は分子の内部自由度まで考えた場合。それだけで結果は変わりましたね。

2012-04-03 10:44:32
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@balsamicose 二点間の距離の公式は、物理的距離で同じですが、生物的時間も距離も、生物種や状態に依存した距離空間メトリック(尺度のようなもの)もあるのかも。生物の観測可能な変数間にはある種のスケール法則が成り立つことは「象の時間ネズミの時間」のアロメトリー法則。

2012-04-03 12:22:32
TamakiHaruo/JA1QPY @MADLABO

@y_mizuno 一連のmizunoさんのTwには春風の匂いがある。九州の耳川で話をした地質研究者は私に阿蘇から出た石を見せつつ、そこに住む人のありようと生き物の無力さ、バランスと言うのはおかしいけど、そんな感じを話してくれた。生きて死んでいく幸せってのかな。

2012-04-03 10:43:54
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@MADLABO コメントありがとうございます。岩石学、地球科学も学べば面白いのでしょうね。阪神淡路大震災でも、4年くらいして復興の地域性が問題になりましたが、今回は非常に広域で、地域性を抜きに何も分からないと思いました。

2012-04-03 14:13:24
加藤安二 @yasujikato

テレビのニュースの一場面。暴風の東京で大手商社が社員に早期退社の命令。会社が自分達のことを考えていてくれると嬉しそうに答える若い社員。自分の判断では行動できないことに驚愕。 @y_mizuno さんが伝えてくれた自然の声を聴き、自分で判断するのと反対の対応。

2012-04-03 22:08:44
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

都会にいると、あまりにも(一見)便利で、人間の、自分の可能性に気付きにくいのかも。人間の生死も自然の営みも目に見えず。人工物環境ですから。 @yasujikato 自分の判断では行動できないことに驚愕。 @y_mizuno さんが伝えてくれた自然の声を聴き、自分で判断するのと反対

2012-04-04 08:06:00
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

もちろん工学研究分野では「人工物環境」とはいかなるものか、どう改善するか、という意味の総合志向の研究も進む。日本学術会議前会長の吉川弘之『技術知の射程―人工物環境と知 (新工学知) 』http://t.co/fqUmFR7M 学術会議も世界を写像する学問知の限界に気付いている。

2012-04-04 08:25:24
いしかわひさし @cQ_Q

渡辺京二「逝きし世の面影」を読むと、日本人は、3次元軸の縦を暮しとするならば、横軸は土地自然であり、奥行に人との関係性。先生のいうように、そこから幾重にも次元軸が広がっているという感覚はその通りかもしれませんねRT @y_mizuno: http://t.co/kY9DD33q

2012-04-04 14:49:15
いしかわひさし @cQ_Q

まったく同意です。 RT @y_mizuno いや何もない。人への思いも。その思い込みは多重に誤解ですが、学ぶために必要な謙虚さも持たず。@cQ_Q 「この人には土地への思いがない」とつぶやいたことがあります。

2012-04-05 02:00:21
いしかわひさし @cQ_Q

あ、そうだ。よく日本人の村社会とか言いますが、この閉鎖性は、まるで自然の地域特性、限定性に深く関係しているような。だから人はその固有の土地に群生する花のようなものだと思ったりします。 RT 縦を暮しとするならば、横軸は土地自然であり、奥行に他人との関係性。 @y_mizuno

2012-04-04 18:48:45
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

江戸時代から変わらない部分。平成の町村合併で(通信環境前提で)大規模化すると、かえって旧村(江戸時代の村サイズ)の復活が議論される。@cQ_Q 村社会とか言いますが、この閉鎖性は、まるで自然の地域特性、限定性に深く関係しているような。だから人はその固有の土地に群生する花のような

2012-04-05 09:38:52