森林政策等専門家が見る行き過ぎた基準値による里山文化、生物多様性の危機。あるいはご謙遜を合戦

東北地方の大学環境科学の専門家さんの一連のツイートが、これから重要になって来そうな話過ぎて、纏めずにはいられませんでした。 以下考察 放射性物質は生活の至る所に入り込むと言うお話はICRP111でもされているのですが、人間の生活していない山林にももちろん降り注ぐわけです。広大な森林を自然に任せる他国と違い、手入れをしながら野山と暮らす日本の里山文化は100Bq/kgと言う新基準値で危機に立たされています。一方100Bq/kgで守られる物は都市部在住の多数の人間の不安な心です。基準とは何か、リスクとは何か。。。
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moriokahiguma @moriokahiguma

猪・鹿が急増し、農作物被害などにより農村の生活が脅かされている。適当な狩猟圧が必須だが、その動機は食べるか販売。100bq基準になると岩手南部から北関東では狩猟の動機が失われる。毎日食べるわけではないのだから、柔軟な基準がここでも必要だとおもうのだが・・

2012-04-06 11:18:58
Jun TAKAI @J_Tphoto

秋田周辺ではマタギ文化が継承されていますよね。文化の存続危機を招くような基準値は暴挙だとしか思えません。RT @moriokahiguma 岩手南部から北関東では狩猟の動機が失われる。毎日食べるわけではないのだから、柔軟な基準がここでも必要だとおもうのだが・・

2012-04-06 11:23:45
moriokahiguma @moriokahiguma

@J_Tphoto おっしゃる通りです。文化とは別な面でも、猪は増加スピードがものすごく速いので捕らなくなれば数年で大増殖するはずです。文化的にも・実質的にも東北・北関東の農山村を破壊するかもしれません。「食べる」ということを軸にあった仕組みが壊れようとしているのですが・・・

2012-04-06 11:31:45
Jun TAKAI @J_Tphoto

先生の御専門分野でしょうか。この件もどんどん声を上げていかないといけないですよね。RT @moriokahiguma おっしゃる通りです。文化とは別な面でも、猪は増加スピードがものすごく速いので捕らなくなれば数年で大増殖するはずです

2012-04-06 12:00:17
moriokahiguma @moriokahiguma

@J_Tphoto 森林政策と環境社会学が本当の専門ですが、300haの大学演習林管理責任者でもあり生態学もかじっています。一部の人文社会系の学者が放射能問題で自然科学の成果を踏まえない発言を繰り返すのを見てため息をついているところです(苦笑)。もちろんまともな方も多いのですが

2012-04-06 12:06:27
moriokahiguma @moriokahiguma

@J_Tphoto s俺はお互いさまということで。今後ともよろしくお願い致します。本業ではこんな文章を書いていたりします。http://t.co/ABfo1Sna

2012-04-06 12:40:40
Jun TAKAI @J_Tphoto

後でゆっくり拝見します。林業も津波から大きな影響を受けているんですね。(すいません、まだナナメ読みだけです)RT @moriokahiguma 本業ではこんな文章を書いていたりします。 http://t.co/miMHearQ

2012-04-06 12:48:13
moriokahiguma @moriokahiguma

@J_Tphoto もちろんお暇な時にでも。このほか放射物質の影響としてキノコ生産(原木での生産は特用林産といって林業の範疇)、薪・ペレットなどのバイオマス生産、樹皮への付着による製材所での廃棄物対策、セシウムの木質部への取り組みによる製材品汚染、(つづく)

2012-04-06 13:39:09
moriokahiguma @moriokahiguma

@J_Tphoto つづき 林内作業を行う労働者の被曝問題など放射性物質による問題もかなりあります。ただこれも場所によって強弱が非常に異なるので、「最適化」をしていく必要がありますね。

2012-04-06 13:41:25
moriokahiguma @moriokahiguma

津波のあまり知られていない影響。猟師さんのライフルの流失があります。銃を紛失したのは「過失」なので、再度ライフルを持つには10年の散弾銃使用経験から始めなければなりません。原発事故により野生動物の個体数管理が問題になる中、猟師さんそのものがいなくなりそうです。

2012-04-06 18:07:41
moriokahiguma @moriokahiguma

北関東と南東北では100bq基準で猪や鹿の猟ができなくなりました。財政難で無理でしょうが公務員ハンターに撃たせろとの意見もあります。害獣駆除の例もありますから否定はできませんが、食べずに殺すだけの猟は人の営みとしての「狩猟」ではない気がします。人の営みと両立しうる基準の最適化を。

2012-04-06 19:57:56
moriokahiguma @moriokahiguma

@comanya 原発事故の影響+放射性物質の基準引き下げもあり、被災地周辺では猟に出るモチベーションも下がっていますので、狩猟そのものが衰退の危機です。近い将来大きな問題になると予想しています

2012-04-06 20:18:07
moriokahiguma @moriokahiguma

福島でタケノコとフキノトウが新規制値越えとのこと。環境考古学の成果から見れば、東北は縄文から今に至るまで森の恵みをいただく文化の中心地。春の山菜、秋のキノコ・木の実。心豊かになる季節の行事。僕もよく山へ行く。文化・習慣の存続には測定体制の強化が不可欠だと思う。

2012-04-07 11:37:42
上海II @shanghai_ii

原木きのこ、高級品は別とすると、正味しいたけだけだよね、問題は。http://t.co/XrNgLpkc 乾物は全部原木生産だから、これを生換算しても、全部で4万トン程度。しかも西日本はほぼ関係ない。これだけだと、生産物の検査に力を入れるより、元の原木に力を入れないとウソでしょ。

2012-04-07 12:33:56
moriokahiguma @moriokahiguma

@shanghai_ii 原木ナメコも結構ありますね。原木は農地土壌と異なり購入するものなので生産地の森、業者、生産農家のいずれで測るかで、均一性に差が出ます。そういう点が検査の不十分さを生んでいるのでしょう。もちろんいわれるとおり検査は強化すべきです。

2012-04-07 15:34:32
moriokahiguma @moriokahiguma

よく勘違いされるが東北人が山菜にこだわるのは貧しさのせいではない。縄文時代の人口の7割は東北・新潟に暮らしており、落葉広葉樹林がそれを支えていた。西日本はコメ作りがなければ住み難い場所だった。東北の森の利用は数千年の歴史を持つ文化である。放射性物質の問題はそれを途切れかねさせない

2012-04-07 15:55:05
moriokahiguma @moriokahiguma

@shanghai_ii 僕の暮らす盛岡では割とスーパーなどでも見かけるもので(笑)。かつて会津の生産農家を訪ねたときは確かに高級品でした。全体の数量は少ないのですが、被災地に集中しているということかもしれませんね。ありがとうございました

2012-04-08 07:11:59
上海II @shanghai_ii

@moriokahiguma 盛岡で並んでるなら、函館でも並んでる可能性高いなあ。今日スーパーで見てみます~

2012-04-08 10:56:41
moriokahiguma @moriokahiguma

@shanghai_ii 林業関連の仕事をしてるもので、あらためて考えるとそちらの産直などでみたものと勘違いしているのかもしれません。僕ももう一度確認してみます。すいません。

2012-04-08 15:28:37
moriokahiguma @moriokahiguma

原木シイタケから高い濃度のセシウムが検出されている。食べるのは注意すべきだし、子どもには控えるべきかもしれない。生産者への保障の充実も必要だ。でもシイタケ生産の背後にある森林利用に目を向けるとシイタケ生産がなくなると東日本の森の姿に大きく影響することになる。そんなお話。

2012-04-08 15:39:56
moriokahiguma @moriokahiguma

シイタケは人工栽培ができるようになるまで大変な高級品だった。大昔の生産法はナタで傷をつけた原木を森に放置し、偶然、胞子がくっつくのを期待する原始的なもの。その後、シイタケの菌糸のまわった種コマを直接原木に打つ方法が確立し、安定清算が可能になり、安くなった。

2012-04-08 15:47:18
moriokahiguma @moriokahiguma

1950年代半ば、化石燃料への転換「燃料革命」がおきる。農村や都市にエネルギーとしての薪炭や肥料としての落葉などを供給していた里山は経済的に無価値に変わる。その頃、里山内にあるクヌギやコナラを用いて始まったのが農家による原木シイタケ生産だった。

2012-04-08 15:52:10
moriokahiguma @moriokahiguma

原木を産出する里山は、近世江戸期に人が利用してきた森であるから、光要求度の高い陽樹で構成される。放置すれば林内照度が下がるので次世代は違う樹種になる。そうならなかったのは30年程度の短伐期で伐採され、切り株からの萌芽で更新されていたから。シイタケ原木生産は薪炭の代わりになった。

2012-04-08 16:07:37
moriokahiguma @moriokahiguma

燃料革命で危機に陥った里山の若返りの代替になったのがシイタケ原木生産だった。東日本でこれに熱心に取り組み、里山を保全してきた代表県が福島と栃木。DASH村などでも有名になったが里山は生物多様性の宝庫。これは放射性物質問題によって人間の利用がなくなれば失われる。

2012-04-08 16:15:59
moriokahiguma @moriokahiguma

放射性物質によってシイタケ生産ができなくなるということは生産農家への経済的打撃だけではない。里山利用の消失による生物多様性の消失を招くのである。もちろんだから無理をしてシイタケを食べるべきというのではない。シイタケ生産を制限するとき失われるものを広くとらえた対策を考えなければ。

2012-04-08 16:24:04