ザ・ファンタスティック・モーグ #6

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

FLAAAAASH!台座上のライトアップ照明装置すべてが突如、真っ白に極大発光!台座上でせめぎ合う二者を直視できぬほどのグレアで包み込んだ!「グ、グワーッ!?」 20

2012-04-10 16:43:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

昼の日照より、閃光弾よりもはるかに強い光で包まれたカコデモンは、たまらず台座上へ転げ落ち、のたうちまわった。「グワーッ!?グ、グワーッ!?」照明装置は自ら発した光のために主要部品が焼き切られ崩壊!「ナンシー・リー」ニンジャスレイヤーは呟く。そしてカコデモンの頭を踏みつけた。 21

2012-04-10 16:49:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そう、照明装置を用いた罠はナンシーとニンジャスレイヤーとが事前に示し合わせたフーリンカザンだ。ナンシーは本社のUNIXを通じ企業墳墓の全設備を掌握、ニンジャスレイヤーをヒトミのもとへ導いた。彼女は定点カメラで戦闘状況を監視、タイミングを見計らい、照明装置を暴走させたのだ。22

2012-04-10 17:02:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アクマニンジャ・クランの闇の力、アクマ変身は、ジツの使い手に無視できぬ弱点を作り出す……強い光だ。昼の光程度であれば何の問題も無いが、閃光を受ければその身体は激しく苛まれ、ダメージを受ける。ナンシーは先程の逃走劇の中でカコデモンが見せた光への異常な反応を見逃しはしなかった! 23

2012-04-10 17:08:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カコデモンの変身は既に解け、虫の息である。「オヌシを殺す」ニンジャスレイヤーは頭を踏みつけたまま宣告した。「オヌシはアマクダリ・セクトの犬であろう」「アバッ……!」「あの童はオヌシのブザマをIRCでモニタリングしておるか?」「アバッ……!」 24

2012-04-10 17:14:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「このザマでは、インタビューどころかハイクも詠めまいのう」ニンジャスレイヤーはカコデモンの頭を力を込めて踏みにじった。「アバーッ!」「聴いておるかラオモト・チバ。幾らでもニンジャを送って参れ。全て喰ろうてやるゆえに。ニンジャ殺すべし!」「アバッ、アバッ……」 25

2012-04-10 17:20:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは足を振り上げ……振り下ろした。カイシャク!カコデモンの頭は一撃で踏み砕かれた。「サヨナラ!」爆発四散!見下ろすニンジャスレイヤーの不吉な瞳の光が、ゆっくりと薄れてゆく。彼は身を翻した。 26

2012-04-10 17:26:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウワアアアアーッ!ウワアアアアーッ!ウ、ウオオオオオーッ!アアアアアーッ!」平安アンティーク陶器のフクスケが飛ぶ!壁際のネヴァーモアは微動だにしない。その顔のすぐ横でフクスケが壁に当たり、粉砕!「ウアアアアーッ!ウアアアアアアーッ!ウアアアアーッ!」28

2012-04-10 17:29:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

激昂したラオモト・チバは次にオーガニック羽毛クッションを荒々しく掴み、引きちぎった。羽毛が噴出し宙を舞った。「ウアアアアアーッ!アアアアアーッ!」「若」ネヴァーモアは痛ましげに呟く。だが、聞こえぬようにだ。同情を向けられれば尚更いきり立つのがチバなのだ。 29

2012-04-10 17:34:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「畜生!畜生!畜生!役立たず!役立たず!カコデモン!役立たずのクズカス!ぼ、ぼくに……畜生!ニンジャスレイヤー!ぼくに、あいつ、ぼくにウアアアーッ!」チバは床を殴り始めた。拳の皮が裂け、血が滲む。ネヴァーモアは止めに入るタイミングを測り始めた。 30

2012-04-10 17:39:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「若……」「早くしろ!何やってる!気の利かない愚鈍なカスめ!」チバが憎しみの込もった涙目でネヴァーモアを見た。「は、すぐに」彼は頷いた。つまり、オイランを呼んでこいという事である。ネヴァーモアは戸口に向かうが、足を止めた。ショウジ戸の向こうに人影。彼は舌打ちした。 31

2012-04-10 17:50:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ショウジ戸を引き開けると、そこに膝まづいているのはやはり影だ。目の錯覚のようでもある。だがそれは実体なのだ。ニンジャである……その竜頭のニンジャは、いかなるジツの作用か、頭からつま先まで繋ぎ目の無い、陽炎めいて輪郭を揺らがせる黒一色の身体をしている。32

2012-04-10 18:00:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ドーモ、シャドウドラゴン=サン」ネヴァーモアは睨み下ろした。「ドーモ。ネヴァーモア=サン」シャドウドラゴンは頭の前で掌と拳を合わせた。「アガメムノン=サンからの御手配にて」彼は背後を身振りで示した。豊満な胸の谷間をさらす金髪のオイランが三人、艶やかな笑みを浮かべて跪く。33

2012-04-10 18:04:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」ネヴァーモアは石のような沈黙と共に、怒りに任せてこのニンジャとオイラン達をズタズタの肉塊に変える光景を幻視した。 34

2012-04-10 18:09:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

夜明けのタマ・リバーを背に、土手を歩いてくる二者あり。一人は赤い髪の痩せた女。一人は老婆である。赤い髪の女は憔悴した様子であったが、徹夜が理由では無い。苦い顔で時折老婆を見る。その老婆の背筋は真っ直ぐで、猫背で歩く赤い髪の女よりもしっかりとした足取りだ。 36

2012-04-10 18:23:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おばあちゃん、なんでそんなに元気なんだよォ……」「なかなかイイじゃないか!エッ!アンタのその、カルチャーも!カルチャー!フェフェフェフェ!」モナカ老婆は笑った。「暴動明けの朝!爽やかだね! アタシャ理解があるからね!」「よく言うぜ……まぁ、もういいよ、アタシの負けだよォ」 37

2012-04-10 18:31:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アタシャ詳しいよ!いいかね、カナガワとアベ一休は……」「ジャンルが違う」ブレイズが言った。「そうね、そうね、詳しいねおばあちゃん、そうだよ、よかったよね……」「なあ、ブレイズ=サンや」「ア?」老婆がブレイズを見て微笑んだ。「ありがとうねェ」 38

2012-04-10 18:37:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何を……」ブレイズは鼻白んだ。「やめろよ!だから、もうイイって言ってンだ。あの野郎からカネは取るし!ビジネス!だから、やめろよそういうの!」彼女は老婆から目を逸らし、トレーラーハウスを見た。車の前に三人。「アァ?」ブレイズは手をかざして目を凝らした。 39

2012-04-10 18:46:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブレイズの隣で、老婆はにわかに震え出した。「まさか……まさか」その目に大粒の涙が溢れた。「エ?何?おばあちゃん、エ?」ブレイズは遠くの三人と老婆とを交互に見た。「エ?」「ヒトミ!ヒ、ヒトミ」踏み出す、一歩、二歩。「こんな事が……アタシャ……何だい……何てこった……」 40

2012-04-10 18:51:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「母さん!」駆け出すヒトミの背中を見ながら、ナンシーは隣のフジキドに言った。「貴方、死ぬはずが無いとか言ってたじゃない、あの時。……あの文面でそう思う?実際遺書じゃない」「自殺する者が、わざわざハッキングの電信まで使って試みはすまい」「そういう物かしら?」 41

2012-04-10 18:58:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「収まるべきところに収まった」彼は言った。ナンシーは肩をすくめ、「そうね……モナカ=サンにとってみれば、ニンジャに命を狙われたと思ったら、ずっと会っていなかった息子さんと感動の再会……ただただビックリ、ってとこかしら。ファンタスティック」「墓から生きた人間が帰って来たわけだ」42

2012-04-10 19:09:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何なんだよ!アタシにも説明しろよ!」ブレイズが叫んだ。「何なの?これ?もういいの?終わりなの?アタシにカネ払……ブッダファック!?そこの女!お前!」ナンシーを指差す。「お前ッ!昔のアレ、忘れてねェぞ!」 43

2012-04-10 19:21:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「私のせいでご機嫌ナナメみたい」ナンシーは微笑んだ。「会社で発見したデータの件は、後でね……断片に過ぎないけど、どこかで見た顔だった」「うむ」フジキドは頷いた。「待てよ!」ブレイズの怒声。ナンシーは去り際、彼女に手を振った。 44

2012-04-10 19:27:02