ベースになったついのべ作品と、それに対するついりみっくす作品の順でまとめています。作品それぞれと、キーワードに着色しました。なお、前回のまとめは こちら です。
今夜もアンデルセン『 #人魚姫 』意訳。ついに王子が運命の出会いを果たしましたね。我らが主人公、人魚の末姫さま以外の乙女と。さあ、きらびやかに残酷な続きをどうぞ…。
2012-04-16 23:18:09#twnovel 喜ぶ王子さまの手に、末姫さまはキスしたわ。心がもう砕け散ったように感じながらね。王子の婚礼の朝が来れば、運命は姫さまに死をもたらして、彼女を泡へと変えてしまう…。あらゆる教会の鐘が響き渡り、王子と王女の結婚を告げる使者たちが街中を駆け巡ったわ。 #人魚姫 171
2012-04-16 23:23:32#twnovel 国の至る所、あらゆる祭壇の上で、香油が高価な銀のランプで燃えてたわ。牧師たちが香炉を揺らしている間中、花嫁と花婿は手をつなぎ、そして、主教さまの祝福を受けたのよ。絹と金のドレスをまとった末姫さまは、花嫁のヴェールの裾を握って立ってたけれど…。 #人魚姫 172
2012-04-16 23:31:48#twnovel でも、末姫さまの耳にはもう祝福の言葉は何にも届いていなかったし、その瞳に神聖な儀式が映ることもまったくなかったわ。まもなくやって来るであろう自分の死と、この世で失ってしまったすべての物事を、ずーっと考えていたのだもの…。 #人魚姫 173
2012-04-16 23:39:32#twnovel 同じ日の夕刻、大砲のとどろきと国旗の波に囲まれながら、花嫁と花婿は船に乗り込んだわ。金と紫の王族専用テントが船の中央に設えられて、柔らかなクッションで満たされていた。静かな涼しいその夜を、花嫁と花婿が二人ゆっくり過ごすことができるようにってね。 #人魚姫 174
2012-04-16 23:48:42#twnovel 帆に風をはらませて、船はほとんど揺れもせず、軽やかに透明な海を滑って行ったわ。夕闇が迫ると、色とりどりのランタンが灯されて、船員たちが陽気に踊ってた。その光景を見た末姫さまは、初めて海の上まで来た日のことを思い出さずにはいられなかったのよ…。 #人魚姫 175
2012-04-16 23:53:57#twnovel 喜ぶ王子さまの手に、末姫さまはキスしたわ。心がもう砕け散ったように感じながらね。王子の婚礼の朝が来れば、運命は姫さまに死をもたらして、彼女を泡へと変えてしまう…。あらゆる教会の鐘が響き渡り、王子と王女の結婚を告げる使者たちが街中を駆け巡ったわ。 #人魚姫 171
2012-04-16 23:23:32一人残された私でも、今さら死を恐れたりなんかしない。また王子が酷いとも、王女が憎いとも思わない。ただ一つ辛いことがあるとすればそれは泣けないこと。慰めの言葉も励ましの言葉もいらない。私はただ声の限りに、魂を吐き出すかのように思いっ切り泣きたかった。@1_dark #twremix
2012-04-17 00:12:18#twnovel 帆に風をはらませて、船はほとんど揺れもせず、軽やかに透明な海を滑って行ったわ。夕闇が迫ると、色とりどりのランタンが灯されて、船員たちが陽気に踊ってた。その光景を見た末姫さまは、初めて海の上まで来た日のことを思い出さずにはいられなかったのよ…。 #人魚姫 175
2012-04-16 23:53:57海の上は何もかもが新鮮で輝いて見えた。まるでランタンが踊っているようなこんな光景。そして初めて恋をした。自分の持ちうるすべての愛を注ぎ出せるほどの相手と出会った。お父様お母様。先に逝く最大の親不孝をお許しください。でも私は確かに幸せでした。@1_dark #twremix
2012-04-17 00:21:59
アンデルセン『 #人魚姫 』日本語意訳 まとめ Vol.2 http://t.co/OZcD8nRM 「振り香炉」の優美なイラストと、デンマークの王子さまの結婚式動画も入れて更新しました。
2012-04-17 00:45:24
アンデルセン『 #人魚姫 』。ついに王子が、人魚姫が夢見たとおりの結婚をしましたね。人魚姫以外の女性とですが…。末姫さまの命はあとわずか。さあ、続きをどうぞ…。
2012-04-17 23:13:35#twnovel かつて目にしたのと同じ、豪華で陽気なお祭り騒ぎ。まるで何かに追われるように、風を切って飛ぶツバメのように、末姫さまは舞人たちの中に身を投じていったわ。観客たちは驚きとともに喝采を送ってた。神がかって舞い踊る、姫さまの過去最高の姿にね。 #人魚姫 176
2012-04-17 23:15:32#twnovel ナイフで切り裂かれるような痛みが、姫さまの繊細な足を襲っていたけれど、姫さまはもうそれを感じてはいなかった。だって胸を突き刺す痛みの方が、ずっとずっとつらかったんだもの。末姫さまは十分よくわかってた。これが最後の夜になるってことを…。 #人魚姫 177
2012-04-17 23:24:42#twnovel 王子さまと同じ空気を吸えるのも、偉大な大海原を、星の輝く紺碧の天空を見ることができるのも、これが最後だって…。もう物思うことも、夢見ることもない永遠の暗闇が、不死の魂を持たない、いいえ、持つことの叶わなかった姫さまを待ち受けているだけだった。 #人魚姫 178
2012-04-17 23:35:07#twnovel 甲板の愉快な浮かれ騒ぎは、真夜中まで続いていたわ。姫さまは笑って、笑って、そして踊り続けてた。心の奥でずーっと死を抱えながら、舞い続けていたの。その間、王子さまは可愛らしい花嫁にキスしたり、触れたり。花嫁は王子さまの漆黒の髪で遊んでたわ。 #人魚姫 179
2012-04-17 23:47:21#twnovel やがて二人はたがいの腕をからませながら、豪奢なテントの中へと消えてった。そうして甲板の上は静まりかえり、動くものの姿もなくなったの。残ったのは、舵の前に立つ操舵手くらい。末姫さまは白い腕を船べりに投げ出して、ぼんやり東を眺めてた…。 #人魚姫 180
2012-04-17 23:56:19