ＮＨＫ・クローズアップ現代「社会を変える“女性の起業”」書き起こし・ほぼ完全版　#nhk

とし @toshihiro36

菊永：私が彼からもらったピアスを紛失しまして…じゃあピアスキャッチが外れなくなればって、図面を書いたんですけど。結構、需要があることがわかって・・・

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<ナレーション>　昨年には大手通販サイトのアクセサリー部門で、売上ランキング第１位を獲得。この３年で累計３億円を売り上げています。実は菊永さんのビジネス、地域の産業を活性化することにつながっています。携帯電話の部品など精密機械加工の工場が集積する、長野県・岡谷市。

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<ナレーション>　ピアスキャッチの製造を依頼しようと、菊永さんが初めてこの地を訪れたのは４年前。不況で受注が激減し、地域の工場全体が厳しい経営を強いられていました。プレス加工の工場を経営する、松嶋勝志さんです。

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<ナレーション>　通常、アクセサリーの製造は宝飾品の工場に依頼するのが業界の常識。その枠にとらわれず飛び込んできた女性起業家の熱意に押され、これまでにない仕事を引き受けました。松嶋さんは地域の仲間の工場にも声をかけました。

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<ナレーション>　精密なバネの製造、１０００分の１ミリ単位で削る加工、そして細かいパーツの組み立てなど、それぞれ得意な分野を持つ４社が工程を分担。それまでほぼ部品の下請けしかしてこなかった工場が団結し、自分たちで一から完成品まで作り上げるという新たな生産モデルを実現しました。

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松嶋：（開発から製造まで）すべて一緒にやらなきゃいけないところに、難しさもあるけれど、やりがいもありますよね。

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<ナレーション>　今では、これらの工場の主力製品となったピアスキャッチ。新たな製品の開発も始まり、さらなる業績の拡大も期待されています。

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国谷：今夜はスタジオに３１歳の時に自ら起業され、現在も経営の最前線に立っていらっしいます、秋山咲恵さんにお越しいただいています。そして現在審査が進められています日本政策銀行による女性起業家のビジネスプランのコンペの審査員も務めていらっしゃいます。

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国谷：今のピアスキャッチそして授乳服、これらはまさに女性の視点で開発された製品ばかりなんですけども。本当に埋もれた需要を、起業家たちがどんどん掘り起こしている。

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秋山：そうですね。私も拝見して、とても素晴らしいと思いました。特に光畑さんのケースでは、切実な思いから生まれた製品が多くのお客様の共感を呼んだということが一つ。あともう一つは働き方についての切実な思いが、新しい働き方を実際に実現する原動力になっていると。

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秋山：あの職場の映像は私が見てもショックだったので、男性の方は少しびっくりされたかもしれませんが。私はたぶん多くの女性が共感を感じてらっしゃるんじゃないかと思います。

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国谷：そうは言っても、起業するというのはなまやさしいことではないですよね。むしろ、そういった女性たちが起業というリスクをとる…一歩を踏み出さざるを得ないという社会的背景というのは、どうご覧になりますか？

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秋山：私自身が男女雇用機会均等法の１期生世代というのもあるんですけれども、なかなか男性のように会社に入ってキャリアを積んでいく中で、子どもを産んだり結婚をしたりということと両立できる選択肢が、ものすごく少なかったという思いがあります。

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秋山：ですから、なんとかそれを両立する方法として…ある意味その切実感から、起業という選択肢が女性の間に広がっているのではないかと思います。

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国谷：そうした起業が広がる中で…こちらのグラフをご覧いただきたいんですけれども。女性の経営者が雇う従業員の、女性が占める割合が９割近くに上っている。今月末に公表される見通しの中小企業白書でも、女性が起業することによって女性の就労も推進されると指摘される予定になっていると。

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秋山：そうですね、Ｍ字カーブの問題は一言で言って、もったいない。私の同世代の女性でも能力と意欲がありながら、いったん子育て・結婚で最前線を離れて…その後なかなか現役に復帰するチャンスがないまま時間が過ぎてしまったという人たちがたくさん埋もれています。

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秋山：彼女たちが復帰する受け皿が必要だと思うんですけが、これはたくさん代替えのいる大企業ではなくて、例えば当社のような規模の小さい起業の方が…少ない人数で役割分担しながら柔軟に仕事を回していかなければならないという必然性があるわけですから。そういう所が受け皿になればと期待します。

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国谷：そういう意味では、せっかく育った人々を…小さい企業だからこそ、きちっと働き続けてほしいというニーズがあるということですか？

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秋山：そうです。私自身、製造業ですけれど当初１５％女性社員がいて…非常に優秀な方が多いので、彼女たちが出産・育児を考えた時に「この会社で働き続けられるかしら？別の道を考えた方がいいのではないか？」と思わないようにするためにどうすればいいかというのが経営の課題でもあります。

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国谷：そういったことで、女性にとっても働きやすい環境が生まれるんではないかと思うんですけれども。　こうして期待が集まっている女性の起業なんですけれども、実態を見ますと起業がやや減ってきていますし、廃業するケースも少なくありません。

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国谷：どんなサポートがあれば、一歩を踏み出す女性たちが増えるのか。そして、どうすれば持続可能になるのか。探っていきます。

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<ナレーション>　現在、起業を目指している山口美紀さん（４２）です。エステサロンを開業するために、いま物件を探しています。化粧品会社が運営するエステサロンの店長を務めてきた山口さん。過労で体調を崩し、自分のペースで仕事がしたいと起業にあこがれるようになりました。