漱石本文については、山下浩さんが雑誌小説復刻全集、新聞小説復刻全集で校訂してはじめて明らかになった異同などある。 資料的価値と使い勝手は少しジレンマがありますが。 他方、初刊単行本を底本にした若草書房『漱石文学全注釈』シリーズが注、本文ともに好みだが、四冊で刊行が止まっている。
2012-04-24 01:16:35貼っときますね。 山下浩「漱石初出復刻全集三部作を編纂して――本文研究から書物史へ――」 http://t.co/HcRDWf04
2012-04-24 01:24:58引用1. … しかし私が、とりわけ本文編纂者(textual critic)として、異議をはさまねばならないのは、この方面の、いわゆる「作者の死」や「テクスト論」の批評が真っ盛りの中で、新しい『漱石全集』(岩波書店)が、まことに奇妙なことに、それとは文字通り正反対のコンセプトの
2012-04-24 01:29:052 「自筆原稿が現存するかぎりはこれを底本にして、漱石が書いたままのかたちを読者に提供する」と謳う本文を提供してしたことであった。さらには、「作者」よりも「読者」に力点を置くはずの研究者が、この新全集の本文を平然と使用し、引用している事実であった。
2012-04-24 01:29:263 これは理屈に合わない。こうした立場の批評においては、漱石当時からの、多くの読者の目に触れ、歴史的な洗礼も受けてきた「社会的産物」たる初出や初版の本文の方が、そこにどれほどの「誤植」が含まれていようとも、自筆原稿を過度に重視した新全集の本文よりも相応しいに決まっている。
2012-04-24 01:29:34QT 文脈をまったく理解してませんが、MSS.を参照したり、生前刊行各版の比較対照したり、現行著作集の問題点を指摘したり、って日本のヒューム社会思想業界でもいまは普通にやっているような。広大のY先生のお仕事を踏まえると、ほかの思想家についても珍しいことではないはず。
2012-04-24 01:33:05QT 正直なところ、坂本ゼミ(院ゼミ)でヒュームの手稿コピーが配られたときには、ここまでやるんだなあ、と思いました。
2012-04-24 01:37:09Dickinson については、独特のダッシュを重要視する研究を受けて The Manuscript Books of Emily Dickinson を当たったことがあったのを思い出した。といって直筆を楽しむ以上のものをそこから得る能力はこちらになかったのだが。
2012-04-24 01:39:54「生前刊行各版の比較対照」、本文校訂を含めて文献学の手法を体系的に身につけ研鑽する機会だが、アクセスが難しいように思えたとしても「求めよ、そうすれば与えられるであろう」という類いの事柄でもあるのだろうな。
2012-04-24 01:51:49あと、妻の話では、本文批評の訓練を受けてない者にとっては、いきなり手稿を突きつけられても途方に暮れるだけじゃないだろうか、とのこと。たんに手稿みれば済むという話ではなさそうなのだよね。
2012-04-24 01:55:22それでなくても、ある思想家が、その代表的な著作で書いていることと矛盾するようなことを、書簡とか日記で書いていた場合に、その矛盾をどう評価するかは大問題だったりする。
2012-04-24 01:57:22Hume 自筆書簡の一部は中央大学のデイヴィド・ヒューム・コレクションにて閲覧可能。Nancy Orde への書簡も含む。http://t.co/C1LiYn3c
2012-04-24 02:02:39ちらみに、ルソー研究者ドラテがルソー自筆から起こした『ジュネーヴ草稿(プレ社会契約論)』はかなり怪しい。ということを友人が改めて起こして言っていた。俺も手稿持っているので色々みたけど、確かに怪しい。というか、ドラテも読めないはず。
2012-04-24 02:07:23現在翻訳中の『化学教程』ももとは未刊行マニュスクリプトオンリーで、底本にはタイプ打ち版使っていますが、マニュスクリプトも見ながらやっています。エディションによっては意外とタイプ落としが多い。うん、地味だ…。
2012-04-24 02:09:26今後はマニュスクリプトではなく、壊れた文書ファイルから文字情報を復元するコンピューターマニュスクリプト研究が流行る!!…いやぁ、寝る準備しよ。
2012-04-24 02:11:34@odg67 プレイヤード版『ジュネーヴ草稿』がかなり怪しいので…本当にあの草稿は読めないです…手に入れた時卒倒しました。
2012-04-24 02:14:19