ＮＨＫ・クローズアップ現代「やめさせてくれない～急増する退職トラブル～」書き起こし・ほぼ完全版　#nhk

とし @toshihiro36

相談員：「辞めたい」って言っても「代わりが見つかるまで辞めさせない」と言われて…やっぱり給食を作らなければという義務感が先に立って辞められないということになってます。

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<ナレーション>　相談員の須田光照さんです。いまあらゆる業種に退職をめぐるトラブルが広がっていると感じています。

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須田：ＩＴ関係とか不動産関係とか建設関係とか…一般的な考えから言っても、おかしな行為が実は多くの職場で行われていて…そういう（退職の）自由を奪われている人たち・労働者が相当増えているのは間違いないことだと思いますね。

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<ナレーション>　相談は年間５００件以上。この２年で３倍に急増しています。

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相談内容：２０代女性「上司に辞表を出したが、目の前でビリビリに破かれ、あなたバカなのと言われました」　２０代女性「離職票をもらわないと辞められません」　男性「自己退職は認めず、懲戒解雇にして業界で活動ができないようにしてやると言われました」

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<ナレーション>　辞めさせないための企業のさまざまな手法。目立つのは、退職するなら未払いの給料は払わないと脅すケースです。番組製作会社の正社員として働いていた２０代の女性です。どうしても辞めるなら給料のカットを認める誓約書を書くよう、会社側に迫られたといいます。

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女性：（給料）カットについても「あなたはこれ承諾しますね」と言われて、「認めなければ辞めさせてくれないのですか？」と聞いたら…「そうですね」と言われたので、何を言っても無駄だと思ったんで。

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<ナレーション>　一方、正社員として雇ってくれた会社への恩義や再就職への不安が足枷となり、退職を断念せざるを得ないという声も多くあります。長時間労働で体を壊し、半年以上前から退職を考えている男性です。自分を引き抜いてくれた上司の反応を考えると、決断に踏み切れないといいます。

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男性：会社を辞めるということが、会社に対する裏切り行為。辞めたいという思いがあったんですけど、あきらめざるを得ないのかなと。追い詰められて、逃げ場がない感じですね。

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<ナレーション>　ＩＴ企業を辞められずに、苦しんでいた佐藤さんです。今月、ようやく会社から離職票が送られてきました。ところが、そこには退職の理由として目を疑うような言葉が記されていました。会社は佐藤さんの退職届を受理せず、懲戒解雇にしたのです。

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<ナレーション>　本人に重大な過失があったことを意味する懲戒解雇。再就職にも影響が出る可能性があります。

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佐藤：次の仕事ができないようにする嫌がらせだと思っています。理由はもう、こじつけだと思います。頭下げて戻ってくるだろうと。

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<ナレーション>　なぜ社員を辞めさせない企業が増えているのか。退職をめぐるトラブルの相談に応じてきた専門家は、長期化する景気の低迷で企業がゆとりを失っていることが原因だと指摘しています。

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特定社会保険労務士・篠塚：会社にとって都合がいい労働者だから、辞めることを阻止するわけですね。どのように都合がいいかというと…やはり低賃金で真面目に働いてくれる労働者。そういった労働者が辞めることが（企業の）損失になってくるわけですね。

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篠塚：労働者が会社に対して奴隷化するという…そういった状況をつくってきたと私は思っているんですよ。

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国谷：ご覧いただきましたように、退職届を受け取った企業が離職票を発効しなかったり、従業員を懲戒解雇にしたり、未払いの賃金を払わないと言うなど辞めたい人を追い詰めている実態が見えてきました。さまざまなやり方で社員を辞めさせない企業。

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国谷：なかでも多いのは、「辞めたい」と申し出た社員に対して「辞めたら損害賠償を請求する」というケースです。

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<ナレーション>　勤めていた会社に損害賠償を請求された３０代の男性です。８年間勤めたＩＴ企業を退職しました。辞めるきっかけは長時間労働。課長に抜擢され、連日深夜まで働きましたが業績は思うように上がらず、過労から体調を崩すようになりました。

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<ナレーション>　社長に「これ以上働けない」と退職を申し出ましたが、思いとどまるよう言われたといいます。

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男性：「そんなん認めへん」それだけですよ。辞めることを撤回するまでは、部屋から出られない状態で缶詰状態にされて。「じゃあ、辞めへんねんな」と言われたときに「はい」と言うしかなかった。部屋から出るには。もう辞められないんだと思いましたね。

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<ナレーション>　男性はその後、うつ状態と判定され出社するのを止めました。するとその２日後、会社から内容証明が送られてきました。「責任を果たさなければ、損害賠償を請求する予定だ」と記されていました。

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男性：家族はどうなるんだろうとか…人生がね、損害賠償をされたらこの先どうなるんだろうと…ぱっと思いましたね。　こういう形の決まった文書を出すことによって、もっと引き止めたかったんでしょうね。