牧眞司さんによる日本SFセミナー2012のまとめ

SFセミナーのまとめです。
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牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「ぎんせ/ぎんぜ」については、音声学的な見解はいろいろ言えるでしょうが、日本SF史的にみれば、正当な発音もしくは正統な発音などは存在しない。そもそも銀背という呼称が発生した(もしくは、ある程度の普及をみた)のは、だいたい1980年代前期、早くともせいぜい1970年代末。 (続く

2012-05-08 09:05:05
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

HSFSが刊行されていた当時(74年まで)はSFファンダムに銀背という呼び方はなかったというのが、高橋良平、水鏡子、牧眞司の証言。ファンジンなどにも銀背という表現は見あたらない。「HSFS」「SFシリーズ」で通じた。 (続く

2012-05-08 09:09:40
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「早川書房の内部文書に銀背とある……」という噂も出たが、なんだか都市伝説っぽい。もし、それが事実だとしても、HSFS刊行当時ではなく後年のことではないか(ファンダムで銀背と呼ばれ出してから逆輸入された)。――というような話を、SFセミナーではしました。 (続く

2012-05-08 09:12:39
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

まあ、いずれにしても「ぎんせ/ぎんぜ論争」というのは、シャレでつけた企画名で(……なんだろうね。つけたのは実行委員会なので、ぼくは知らない)、本当の趣旨は、叢書そのものの紹介やディスカッションなので。 (続く

2012-05-08 09:14:52
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ところが、昨日、白石朗さんから〔今岡さんは銀背編集者だったころ「ぎんせ」と発音していたとか〕という情報が寄せられました。今岡清さんは長いこと早川書房に勤務されSFMの編集長も務めたかた。中島梓さんの旦那さんといったほうが通りが良いか。 (続く

2012-05-08 09:21:49
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「ぎんせ/ぎんぜ」は呼びたいように呼べばいいというのは、この単語についてはアクセントの関係もあって、清音/濁音の聞こえ方にそれほど大きな差異がないから。「ぎんせ」派のひとと「ぎんざ」派のひとが会話しても、互いにそれほどの違和感を持たずに通じるのではないかな。 (続く

2012-05-08 10:13:24
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

そんなふうに思うのは、ぼくの耳が粗雑なせい? 聴覚機能そのものに異常はないのだけれど、音声の認識がじゅうぶんに発達していないところがあるみたい。ヒアリングがずいぶん苦手。外国語だけでなく日本語も。

2012-05-08 10:14:49
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「銀背」という呼称の発生(もしくは普及)について。1970年代半ばからファンダムに出入りしている経験に基づいていうと、ハヤカワ文庫SFに青い背表紙のものが登場し、それを従来の白い背表紙と区別するために「白背」「青背」と呼び慣わすようになり (続く

2012-05-08 10:36:20
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

その方式がHSFSにも適応されていった――というのが、もっとも妥当な理解だと思う。 (続く

2012-05-08 10:36:35
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ちなみに、文庫の「青背」という呼び方もすぐに生まれたわけではなく、ある程度の冊数が刊行されてからのはずだ。白と青があるのは恣意的ではなく、有意な区別と受けとめられるのが前提なので。 (続く

2012-05-08 10:36:50
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ちなみに、ファンジン〈オービット〉5号(1977年秋発行)の「SFマニア統計室(2)」では、まだ青背という呼称は用いられておらず、「背表紙が青い早川文庫」と記述されている。 (続く

2012-05-08 10:37:04
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

いっぽう、「銀背」という記述がふつうに用いられている例としては、1983~4年くらい(? 現物がすぐ出てこないので未確認)のファンジン〈空想科学小説〉に、「銀背にラブコール」というような連載コーナーがあった。 (続く

2012-05-08 10:37:19
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

同誌はぼくの大学SF研の後輩たちが出していたもので、この企画のために、ぼくの手持ちのHSFSを何冊か貸した。そのとき「ああ、若いファン連中はSFシリーズのことを銀背って呼ぶんだ」と思った記憶がある。

2012-05-08 10:37:33
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「背」がらみで言うと、SFM初期の中閉じ製本のものを「丸背」と呼ぶのは、ずいぶん昔からファンダムでは一般的だった。「丸表紙」という言い方も聞いたが、そちらはどこまで一般的だったかはわからない。「丸背」に対する言葉は「角背(かくせ)」。

2012-05-08 10:45:51
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

誤解されると困るのでつけくわえておきますね。ぼくは「昔は銀背なんて呼称はなかった」→「それは誤用」と言っているのではありません。通じればぜんぜんOKなので。ただ、「ベテランのSFファンは銀背と呼び慣わしていた」という理解は、歴史的に誤解だというだけです。 (続く

2012-05-08 10:57:18
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

まあ、〈空想科学小説〉で「銀背にラブコール」をやっていたファンだって、いまや40代半ばを越えている。若いひとたちからみれば、彼らもじゅうぶんにベテランか。ぼくとの年齢の違いも誤差範囲? (続く

2012-05-08 10:57:35
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

あー、良平さんも水鏡子師匠もぼくも、みんな同じ世代だと思われているかも。違うんですよ、おふたりに較べれば、ぼくなんて青二才なんですよ。

2012-05-08 10:57:50