仕事学のすすめ「人生哲学的仕事論(姜尚中) 第2回 逆境から天職を得る」書き起こし・ほぼ完全版
- toshihiro36
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姜:家庭的には非常にこじんまりとした…埼玉の公団住宅みたいなところで。非常につつましいといえばつつましい生活があって、しかし主夫業そして非常勤をやりながら。今でいうと非正規雇用に近い不安感があったんでしょうね。その時かなり反問はしてましたね。
2012-05-11 15:33:08姜:反問している時にいろんな経緯があってたまたま教会にいらっしゃった土門一雄という…合同教会にいらっしゃった方といろんな縁があって知り合いになって、あの時は彼に私淑して洗礼を受けたんですね。その中で彼が私に残した言葉は、聖書の中にある「すべてのわざには時がある」と。
2012-05-11 15:39:48姜:これはなかなか意味深長で、多分牧師さんは僕の姿を見て焦っていると思ったと思うんですね。「すべてのわざにはときがある」と。植えるに時があり、生まるに時があり、死ぬるに時があり、そして踊るに時があり、笑うに時があり、悲しむに時があると。
2012-05-11 16:05:25姜:ここから教えられるたことは…その時僕は不遇かもしれないけど、必ず時が巡ってくるんではないだろうかと。だからその時のためにただそれを待つのではなくて、やっぱり日々の「今とここ」を頑張るしか…
2012-05-11 16:09:44<ナレーション> その後、土門牧師は姜さんの人生で大きな役割を果たします。土門牧師の紹介で姜さんはICU・国際基督教大学の助教授という定職をようやく得ることができたのです。それは姜さん37歳の時でした。
2012-05-11 16:15:00姜:「わたし」とは今まで出会ってきた人のことをいうという言葉が史誌の中にあるらしいんですけど、まさしくそうだったと思います。学生時代の出会い、それからドイツでの出会い、それから帰ってきてからの埼玉での出会い。その人たちと出会わなければ多分僕は今のような仕事はしていなかったと思う。
2012-05-11 16:26:19姜:全然してません。ただもしかして何か言えるとしたら、多分僕は無駄なことをしていたからだと思います。狭い意味で…今はコスト的な意味で「無駄はなくせ」と言われますね。そういう意味での無駄ではなくて、人生の中でショートタームで見ると無駄に見えて非常に大切なことがあるはずですね。
2012-05-11 16:35:52姜:そういう世界に結構自分は顔を出して、そこで結構いろんなことをやってた気がするんですね。学生時代も僕と同じような境遇の人のサークルで、授業そこのけでやってましたし。ドイツでも本来の自分の仕事に熱中していれば出会わなかった、またそのために時間を割かなくてもよかった人に出会って。
2012-05-11 16:40:53姜:それから上尾でも僕がある社会的な問題に顔を向けるようになって、人(土門牧師など)と出会ったんですね。やっぱり何らかの形で無駄なことをやってきて、その延長上に今があると思うんです。だから逆に言うと、てきぱきと人間関係をビジネスライクに処理しなかった面があるかもしれません。
2012-05-11 16:46:30トランスレート(野田さんによるまとめ)
野田:みずからの生きる道をこれと一つに決め、しゃにむに突き進む生き方もあるけれども、力をため時を待つ生き方もあるのだと知りました。「すべてのわざには時がある」この言葉は私にとっても大切な言葉になりました。
2012-05-11 16:52:50野田:また、「一見無駄に見えるような活動も人との出会いには大切なのだ」という言葉も心に残りました。あの松下幸之助さんも「経営者に必要なのは運である」と。そして「その運をつかむには、徳を積むことなのだ」と言いました。
2012-05-11 16:56:59↓前回のまとめ