【ほうかご百物語】妖怪についてつらつらと(あんこーる)
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※文献を基にした概説メモ
参考文献は[1]『アイヌ民譚集 付、えぞおばけ列伝』(知里 真志保訳、株式会社岩波書店、1981)、[2]『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)[3]「全国妖怪語辞典」『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』(谷川 健一編纂、三一書房、1988)。
2012-07-06 07:30:12昔のアイヌでは、春から秋に掛けては海辺の夏村に住んで、そこの掘立小屋で漁をして暮らし、冬の間は山の手の冬村の竪穴小屋の中で暮らす、という生活を行っていた。
2012-07-06 07:31:06そのため、夏は山の手の冬村が、逆に冬は海辺の夏村が軒並み空き家と化す。オハチスエは、こうした空き家を狙って勝手に住み込むという[1]。
2012-07-06 07:31:08その姿は魚皮製の粗末な服を身に纏った毛だらけの爺で、人の真似もよく行う。しかし、その性質はきわめて凶暴で、よく切れる刀を持つ。その刀で多くの人畜を殺傷したという話が樺太の各地で伝説として語られていたという[1][2][3]。
2012-07-06 07:31:19『えぞおばけ列伝』にはそうした伝説の一例が記されている。ある部落の豪胆な男が他の部落に遊びに行ったが、その部落は既に冬村に移動した後で、夏村はもぬけの殻だった。
2012-07-06 07:31:36そこで男はオハチスエに遭遇し、辛くも逃げ出した男と入れ替わりに、男の犬橇を引いてきた犬のうちの2頭がオハチスエに襲い掛かったが無残にも惨殺された。後日確認したら、犬の骸は家の中のあちこちに飛散していた、という話である[1]。
2012-07-06 07:31:38『妖怪事典』や『全国妖怪語辞典』では名前の意味、空き家を狙って住み込むこと、姿と性質といった基本的な点しか記述がないため、集落の中でたまたま空き家になった家を狙う妖怪なのかと考えていたら違っていて個人的には驚いた。
2012-07-06 07:31:56ある物事(この場合は妖怪)を知るためには、やはりそのバックグラウンド(妖怪を伝承として語る人達(部落・集落)の暮らしや文化)まで把握しないと、その物事は正しく把握できないのだな、と改めて感じた例であった。やはり原典はなるべく確認を取りたいとも思った。
2012-07-06 07:32:01※作中との比較
以下、『ほうかご百物語』あんこーる作中との比較。作中ではその姿の記述が少々と、苦戦した、という話しか書かれていない(記述があるのは10行足らず)。しかし、その姿は伝承通りといえそうな感じ。錆びた刀を持っていた、と書かれているけど、果たして錆びた刀で切れるのか?
2012-07-06 07:32:20…とはいえ、『ほうかご百物語』の中に登場する妖怪はおおよそ伝承に忠実なので、見た目は錆びた刀でもものすごくよく切れるという不条理は作風から簡単に想像できる。
2012-07-06 07:32:52きっと白の字が「錆びた刀なのになんであんなによく切れるんですか?!」って驚いて先輩が「オハチスエは「よく切れる刀を持つ」という設定を持つ妖怪だからにゃー。見た目よりも伝承が優先されるっていうだけでしょ。」と冷静に分析する様子が容易に想像できます。
2012-07-06 07:33:09凶暴な性質だし武器は持っているし、ということを考えると苦戦したことも納得。というより、むしろよく無事で勝てたなーとも思う。流石イタチさん。以上。
2012-07-06 07:33:19※頓鈍坊について
※文献を基にした概説メモ
参考文献は『天狗の研究』(知切 光歳、株式会社原書房、2004)。…まともに記述した本がこれしか見付かりませんでした。はい(汗)。
2012-07-16 17:10:22「頓鈍坊」は、江戸時代中期頃に成立したと見られる『天狗経』の中に列挙される四十八天狗のうちの一体、「板遠山頓鈍坊」のことと考えられる。
2012-07-16 17:10:38この『天狗経』の中に列挙される四十八の天狗の中には愛宕山太郎坊や鞍馬山僧正坊といった、誰もが知っているような有名な天狗も勿論名前が挙げられているが、一方で日向尾股新蔵坊というような、他ではちょっと聞かなさそうな名前も混じっている。
2012-07-16 17:10:42板遠山頓鈍坊も他では名前を聞かない天狗の一角で、天狗全般、さらに四十八天狗についても詳述を試みている知切 光歳著『天狗の研究』でさえも、(他の天狗は出自県を独自に推測して割り当てているにも関わらず)この板遠山頓鈍坊のみは不詳とし、
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